軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

トランプ大統領の気配り

今朝、横須賀に入港している護衛艦「かが」を訪問したトランプ大統領は、隊員達へのスピーチの冒頭で、川崎で起きた小学生らに対する無差別殺人事件の犠牲者と家族に対して、米国民とともに悲しみを共有すると、哀悼の意を表した。

オバマに比べて「トランプ氏」に対しては、常々酷評するメディアだが、その人間性には月とすっぽんほどの違いがあると感じたのは私だけだったろうか?

何かあるとF-35を買わせる目的だ!と批判するが、もともと脆弱な我が防衛力が、それで一気に向上するのだからいいじゃないか。

すね人の様に抵抗していると、「敵性国家の回し者」という烙印を押されることになるだろうに?

 

 偶々手元に届いた「国体文化」6月号に、「令和を『国防の季節』にすべし・・・待ったなしの東アジア安保環境」と題して、里見日本文化研究所評議員の井上寶護氏が我が国の国防体制について書いているが、その冒頭部分に「『防人』の遭難を悼まぬ国民」と言う項目を立てて、この4月に三沢沖で墜落したF35Aの細見彰里3佐に関してこう書いている。

 

【北国では桜もまだ開花前の四月九日夜、青森県三沢基地に所属する最新型ステルス戦闘機F35A一機が消息を絶った。四機編成の戦闘訓練中で、乗ってゐた細見彰里三佐(41)の行方は四月末現在、不明である。

 十日に尾翼の一部が児つかったところから防衛省は墜落と断定、機体回収と原因究明に乗り出した。だが、現場の青森沖の太平洋は水深千五百メートルもあり、回収の困難か予想されてゐる。

 発生以来、多くのメディアが竸ってこの事故を取り上げた。中の一つは早速地元の町長を引張り出し、いかにも迷惑頗の町長に「又事故が起きないか心配です」などと言わせてゐた。

 あるいはまた、一機百億以上といふ高額の購人費に焦点を当て、全体で一兆円を超える整備計画に疑問を投げかける向きもあった。

 しかしこんな報道を山ほど見聞きしても、なんだかをかしい、しっくりこない。何か大切なことを忘れてゐるやうな、そんな違和心を強く感じた。

 空自のパイロットたちは空で遊んでゐた訳ではない。我らが住むこの日本の空を守るために、危険な夜間訓練に励んでゐたのだ。その中の一機が事故に遭った。直前に「訓練中止」を指示したといふから、指揮官機なのであらう。緊急脱出装置が働いた形跡もないことから、生存の可能性はゼロに近い。

 まだ四十一歳の若さで、一人の優秀な(でなければ戦闘機には乗れない)自衛官が殉職したのだ。先づは不幸にも事故に遭遇した「その人」に対して、真摯なる哀悼の意を表明するのが人の道ではないのか。メディアに所属する人々にもし「惻隠の情」といふものがあるならば、必ずさうしないことには自身の気が済まないのではないかとさへ思ふ。

 しかし管見の限りでは、そのやうなこころ遺ひを見せたメディアは皆無であった。本当に残念である。言ふまでもないことだが、メデイアは見る人、読む者の気持ちを忖度して報道の中身を決める。彼らは人々の欲する物を提供し、欲しない物は無視する。さうしなければ売れないし儲からない。

 これを要するに、まことに遺憾なことではあるが、わか国の輿論の中に、「現代の防人」たる自衛官の死を悼む感情は概して少ない。あってもメディアか無視できるほどしかない、といふことにならないか。亊情は警察、消防など危険な仕事に従事する人々に対してもほぼ同様であらう。

 公私の優先順位の判断、とりわけ「おほやけ」といふ観念を失ふとかうなる。今の日本人はその好見本のやうなものだ。そこでは自衛官も警察官も単なる一つの職業、メシの種に過ぎない。従ってたまたま運悪く殉職したとしても、それを特に悼む気持ちにはならない…こんなところだらうか。(以下略)】 

 

トランプ大統領の“きめの細かい配慮”に比べると、わが国のメディアの人間性欠如が浮き彫りになる。尤もこの事件での犠牲者に対しては、哀悼の意を表するのかもしれないが、憲法にも規定されてはない自衛官は別とでもいうのだろうか?

有難く感じたのでその部分を紹介したのだが、井上氏にはOBの一人として御礼申し上げる。

 

届いた雑誌のご紹介

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雑誌「丸」7月号  

今月は旧日本海軍が誇った「飛行艇」特集である。南方の委任統治領との行き来は、これら飛行艇が受け持っていて、正に太平洋を支配していた。定期空路も開発され、後の民間航空発祥の基礎にもなった。

その技術は、現在では新明和のPS-1に始まるUS-2に継承されている。

懐かしい写真などに感動した。

防研年次報告書も時期が時期だけに注目したい。

資料から:西安事件の張本人は語る

西安事件とは、1936年12月に、張作霖の息子であり、国民政府軍の司令官・張学良が、蔣介石を西安で監禁し、国共内戦の停止を迫ったクーデター事件である。

その結果、蒋介石国共合作に同意し、翌年、日中戦争が勃発して第二次国共合作が成立する契機となった。

事件以前からスターリン中国共産党に対して、蒋介石と日本軍を戦わせて両者を共倒れさせることにより、中国の共産革命を成功に導くよう、指令を与えていたと言われている。

しかし、国民党内部には、共産党と長年に亘る戦闘を継続していたことと、第一次国共合作が失敗したなどの経験から、共産党に対し根強い不信感があったため、国共合作交渉は進まず、蒋介石政府は勢力を回復しつつあった。そこで、スターリンは、モスクワに留学中であった蒋介石の息子の蒋経国を人質に捕り、蒋介石は経国の帰国を条件に国共合作を認めたという。

この様な複雑な外交関係を正確に把握できず、日本政府は「国民党と共産党と言うイデオロギーが異なる両者は水と油、共存できない」と、誤った判断をしていたが、北京郊外の盧溝橋で中共軍のシンパによって“ダメ押し”ともいうべき事件が引き起こされ、遂に日支両軍は衝突、支那事変に発展する。

この様に我が国の歴史上、悔やんでも悔やみきれない事件だったのだが、平成5(1993)年8月19日の産経新聞に、その事件の張本人が裏話を語っている。

ご参考までに掲載しておこう。

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届いた雑誌のご紹介

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雑誌WILL7月号

安倍総理に≪顔を洗って出直して来い!≫辻元清美大義なき負け犬の遠吠え」は今の野党の実態を活写していて参考になる。2大政党、政権交代を要求する以前の問題だろう。

 

鳩山由紀夫、これで『孔子平和賞』なら自ら墓穴」には、気味の悪い写真が出ていて閉口する。

ここでは一枚だけ写真を紹介するが、これが元総理の成れの果て?かと悲しくなる。

韓国内で土下座する姿は「血は争えない」ことを示して余りあるようだが、体調の悪い方はご覧にならない方がいいだろう。

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月刊HANADA 7月号

今月号は「消費税に反対する」特集だと言う。

とっくの昔に国民の関心は薄れているから、「増税カルト集団」は気に病んでいることだろう。上念氏の文を一読あれ!

「97歳、日本共産党は”認知症”だ」も面白い。こっちの方が正真正銘の”カルト集団”」だと思うが・・・

 

改まらない“政治の貧困”

混乱している英国のEU離脱問題、オーストリア副首相が辞意を表明し政情不安定、ウクライナで新大統領が就任、豪州の総選挙でメディアが予測しなかった保守の与党連合が勝利するなど、政治の世界は流動的だが、次は注目されるインドの総選挙が控えている。

この様に世界の政治は刻一刻と流動しているが、その内容の変化には大昔から変わる処はなく、人が入れ替わるだけで、人類全体が進歩しているという実感は伴わない。

だから我が国のこの夏の総選挙にも、大きな変化は期待できないのだろうが、せめて諸悪の根源たる憲法くらいは替えたらどうだろう。

 

今日も、整理中の資料(1993年)の中から、過去をふり返って見て、昔から政治とはそんなものだったのだ、と言う事実を示してみたい。

現状を見て、政治に過大な期待を寄せたり、落胆することも無かろうからである。

 

中でも世界を陰でコントロールしているのは、政治家・軍人・企業が関与した「影の帝国だ」と言う次の論評は興味深い。

 

*平成5(1993)年8月23日読売新聞

 

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地球に混乱を招いているのは、政治の貧困であり、それが助長していると言う説は妙に納得できる。

わが国でもこんなコラムがあった。

*平成5(1993)年8月24日産経抄

 

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世界の趨勢から見れば、何とも取るに足らない政治の動きだが、一般庶民の中には、こんなことを意見を吐く人もいる。

*平成5(1993)年8月24日静岡新聞

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人の数だけ意見はある。それをどうまとめるか?と言うのが政治だとすれば、政治家にはよほどの≪教養と学がある人格者≫が期待されていることになるような気がするが…。

 

届いた書籍のご紹介

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友人のジャーナリスト・西村幸祐氏の近著である。何かと問題の多い《隣国》との付き合い方を解説したものだが、「未来志向の日韓関係なんてありえない!」と言うのが結論だろう。

勿論韓国国民の半数には「親日的な教養人」もいると信じたいが、現政権の行動を見れば、それはかすかな希望としか映らない。国自体が改革(反省?)してことに当たらなければ、期待はできない。

これなどは「政治の貧困」の実例だろう。気の毒な国民だ…

『わにブックス《PLUS》新書』¥880+税

 

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イシキカイカク大学、インターネットチャンネル「CGS」などで協力した気鋭の活動家の新著である。

こんな精神の若者が政治を良くすることが出来るのだと信じているのだが、残念ながら今は旧世代(思考的にも)が政治を取り仕切っている。

早く、「意識改革」を進めないと、後進国を通り超して、開発途上国に一気に転落するのでは?と気掛りである。

「なぜ意識改革が必要なのか」「世の中の仕組みと日本の立ち位置を知る」「日本のビジョンを考えよう」「日本を支える子供たちに必要な力」「12のアクション」「本当の日本をつくる」の6章からなるが、どれも心に迫る内容である。

将棋の藤井聡太7段や10歳で囲碁のプロ棋士となったかわいらしい仲邑薫初段のような「スターチルドレン」がどんどん出現しているから、私はその方にも期待しているのだが、今の子供たちにもぜひ知ってほしいと思っている。それには親たちの意識改革の方が先だろうが・・・

青林堂¥1400+税

 

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航空情報誌7月号。私の愛機だった「ファントム」も、とうとう三菱重工でのIRAN(定期整備)を終了したと言う。

何となく「老朽化」と言う言葉が身に沁みるようで、私同様いよいよ”終活か”と寂しくなる。

せきれい社(本体¥1296)¥1400

 

資料から:国会議員たちの活動と評価

北方領土返還問題に絡めて「戦争」に言及した丸山穂高衆院議員問題で、永田町は連日“学芸会”程度の騒ぎを繰り返している。

メディアは「今回の丸山氏の言動には、与野党を問わず「完全に一線を超えている」「国会議員として非常識極まりない」などと非難ごうごうで、議員辞職を求める声が支配的」だというが、当の丸山議員は議員辞職に抵抗している。

自民党が『国益を損なう発言』と批判しながらも、決議案採決に難色を示すのは、可決しても実効性がないとの理由もある」そうだが、「この発言で失われた“国益”とはいったい何だろう?

あるとすれば、日本人は徹底的に玉抜きになっている!と周辺諸国から笑われた?事だろう。

メディアは別にして、肝心の島民の中にも『暴言だ』と批判する人がいたのには驚いた。先祖伝来の土地を返還させるには、ありとあらゆる手段を行使しなければならないのは国際常識であり、それには「軍事力行使」も当然含まれる。

風雲急を告げるイラン情勢で、トランプ大統領は空母群を現地に派遣したし、北朝鮮に対しても「軍事力行使」を含んだ[あらゆる手段]を机上に乗せて交渉中である。

世界の歴史を見れば「戦場で失ったものはテーブルでは取り返せない」のは世界の常識である事をロシア人は熟知している。尤も米国の小笠原や沖縄返還は異例中の異例だが。

私が平成15(2002)年に2回目の樺太訪問時に、現地の≪森の番人≫と称する公務員が、「自衛隊は何故攻めて来てくれなかったのか?」と言った事があった。

その時、同行した仲間たちのほとんどが笑い話だと受け取った事例を思い出す。

いや、あの時よりも遥かに日本人には「平和憲法」が定着していて、完全に「戦争=悪」と信じきっているようだ。

今回の“暴言事例”もせいぜい党利党略のせめぎ合いに終わり、結局は政治家自身の保身が最優先して幕引きになるに違いない。

情けないことに、法律を順守している自衛隊OBの中にさえも、「戦争=悪」を前提に発言している者がいるようで、「制服を着た区役所職員」と言った、友人の新聞記者の言葉を思い出す。かといって、この憲法下ではどうにもならないが。

残念なのは「島を取り返してほしい島民」の言葉で、議員の発言を「憲法に照らして非難する」のではなく、長期間続いているにもかかわらず、全く成果が出ない日露交渉を進展させるため、外務省に代案を示す意見を述べるべきだろう。

*こんなこともあった!でも外務省は手を打たなかった!参考まで

平成5(1993)年4月27日読売新聞

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今まで見てきて分かったように、ロシアは、無力な者は相手にしない。

クリミヤが良い例だ。軍事力を好んで行使するロシアのような国に通用するアイデアを出さない限り解決するはずはない。

疑い深いロシア人は、善意でご馳走しても毒殺を恐れて箸をつけないと言われる「お花畑の論理」が通用しない相手であることを自覚すべきだろう。

言論の自由」を巡る問題では、先日紹介した栗栖統幕議長はじめ、まじめに発言した自衛隊高官の多くが、シビリアン・コントロール逸脱だ!とされて、首になって去っていった事例を思い出す。近い例としては田母神事案があり、政治家とメディアの言うがままであった。

しかし、これだけは言っておきたい。議員が所属する会派が除名するのは勝手だが、無記名投票で選出された議員の罷免権は、投票した有権者にあると言うことだ。

 

いずれにせよ今回の騒動は「議員の仲間内の発言」だから、主義主張よりも「ナアーナアー」の世界にとっぷりと漬かって財テクに励んでいる方々の「言論の自由」を巡る解決策がどのようなものになるか、ゆっくりと見物させていただこうと思っている。

 

*過去の議員さんたちの活動

その1 平成5(1993)年4月30日朝日新聞

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その2 平成5(1993)年8月4日産経新聞

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その3 平成5(1993)年3月6日読売新聞

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その4 平成5(1993)年1月18日読売新聞

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その5 平成5(1993)年1月18日産経新聞 

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資料から:自己防衛できない日本人

今朝の産経新聞の「談話室」欄に「外国人に頼らず済む方策を」と題して堺市の無職・納谷昭一郎さん(80)が、次の外国旅行体験談を書いていた。

 

【先日、イタリアのローマからフランスのパリまで、バスと電車を乗り継いで旅をした。

 立ち寄ったどの都市でも現地のガイドは開口一番、「スリに注意するように」という。

 特に子供には気をつけなければならない。親がスリをさせるのだ。その多くは移民や国を持たぬ移動民族で、ヨーロッパでは深刻な問題になっている。

 「あの2人組はスリだ」「あの女もそうだ」とガイドが言う。もう顔まで覚えられている堂々とした存在だ。国の治安が良い日本人が、一番被害に遭うそうだ。

 日本では4月、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が施行された。だがヨーロッパの現実を見ると、その受け入れには慎重になるべきではないか。

 外国人にできるだけ頼らずに済む方策を、考えねばならないと思う。】

 

偶々切抜きの中に参考になるモノが出てきたから掲載しておこう。

平成5(1993)年1月25日の産経新聞『正論』である。

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同じ日、栗栖弘臣元統幕議長が、静岡新聞に「首相の安全保障感覚を憂える」と書いている。首相の「安全保障感覚」がこれでは、一般国民の自己防衛と言う心構えが育たないのも仕方あるまい。

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栗栖大先輩は、「最高指揮権者としても国家の総合安全保障を担保すべき首相としても全く不適格と言う以外はない」と批判した。

南方戦線へ従軍し、海軍法務大尉として終戦を迎えたが、終戦後も志願して現地の戦犯を弁護する特別弁護人を務めあげ、昭和23(1948)年まで帰国しなかった体験を持つ”軍人”の言葉には重みがある。

処で、気になる事案が目についた。

報道によると、「日本維新の会は14日、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加し、酒に酔って戦争による領土返還を元島民に質問した丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区、当選3回=の除名を決めた」とある。

夏の参院選を前に早期に政治的決着を図ったのであろうが、彼は一般国民ではなく、国会議員だったのだから、「日本の根幹である『戦争の放棄』『平和主義』から大きく逸脱した発言だ。非常識極まりない」と言われるのも現憲法下ではやむを得まい。

その昔、栗栖先輩も、週刊誌の取材に答えて「現行自衛隊法には穴があり、奇襲攻撃を受けた場合、首相の防衛出動命令が出るまでは自衛隊は動けない。第一線指揮官が超法規的行動に出ることはあり得る」と有事法制整備を促す発言をしたため、時の金丸信防衛庁長官からシビリアンコントロール上不適切として解任された事があったが、今回の丸山氏は「これまでも数々の騒動が報じられてきた」とあるから、発言以前の”曰く付きの人物”だったのだろう。

それはそうとして、同党の松井一郎代表は記者団に「外交上も非常に大きい問題だ」と語ったそうだが、どのような意味で『外交上大きい問題なのか』、日本外交上?なのか、ロシア側にとってと言う意味なのか、よく理解できない処がある。

いずれにせよ、日本は憲法で「戦争をしない国家」として国際的に定着しているのだから、そんな弱い日本の態度が「相手に誤解を与える」とでも言うのだろうか?

だから、北朝鮮拉致被害者を返そうとはしないじゃないか?

第一、同胞を自ら奪還しようともしないで、同盟国である世界一の軍事大国に「丸投げ」するような国は、世界の常識と言う点では独立国として通用するはずはなかろう。

パスカルは言った。「力無き正義は無効、正義無き力は圧政だ」と。

丸山議員がそこまで知って発言したかどうかは知らないが、パワーポリティクスので世界である。案外彼の発言を聞いたロシア人の中には、日本人の中には「武力で取り戻そう」と言う骨のある?若者もいるらしい…と常識的にとらえた者もいたかもしれない。

今までは、日本の常識は世界の非常識として通用しているのだから。しばしロシア外交の反応を見てみたい。

 

届いた本のPR

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戦争をしようとしまいと、世界の軍事情勢はどんどん進化している。わが国だけが「他国の信義と信頼を信じて」いても、他国はそうは考えていないことを悟るべきであろう。

政治家に一度は読んでもらいたい本である……

資料から:金権政治の始まりと雫石事件

昭和46年7月、空自パイロットとしては忘れることが出来ない「雫石事故」が起きた。

この事故は朝日、毎日など各紙に事故調査が始まる前から「自衛隊機が民間機に追突」と大々的に報道された。

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その後自衛隊高官の“不用意な発言”もあり、自衛隊機側の“過失”と起訴され教官は有罪(執行猶予つきだが)に処された。

当時、1等空尉であった私は浜松基地でF86Fによる戦闘機操縦教官をしていて、当初から、民航機が追突したことは分かっていたから、切歯扼腕したが、当時の高官らは、何故か無口で広報が不得手であったから、一方的にメディアに押されて遂に「仲間(部下)を売り渡す結果」を招いた。

その経緯については、退官後の平成24年7月に「自衛隊の【犯罪】:雫石事件の真相」として青林堂から社長の好意で上梓にこぎつけたが、元防衛庁官房長であった佐々淳行氏が「教官は無罪」だと帯に書いてくれた。

今日掲載する資料は、コツコツと収集していたダンボール箱2箱分のうちの切り抜きである。

どうして「福田元総理の『私の履歴書』なのか?」と疑問に思われる方もいるだろうが、この“事件”の背後には、深い政治の闇が潜んでいて、当時の佐藤栄作首相の後継者争いは熾烈で「角福戦争」と言われていた当事者だから、何かヒントがあるのでは?と切り抜いていたものである。

故に私はこの事故は「事故ではなく事件だ」と考えている。

当時の歴史年表には、「46年7月5日・第3次佐藤改造内閣発足、外相福田赳夫通産相田中角栄、ポスト佐藤への争い激化」とある。

その25日後に運悪く雫石事故は起きた。この頃、後継者争いは凄まじく、特に田中陣営から「ダルマ」が乱れ飛んでいる、と“噂”されていたが、「ダルマ」とは、サントリーウイスキーのダルマの空き箱に「丁度2000万円」入ったので「田中氏からダルマが三つ届いたと秘書が言えば6000万円の現金が届いたと言う隠語だった」と某新聞記者に聞いたことがあった。

そして47年6月11日に、某メディアと結託した田中通産相が「日本列島改造論」を発表、ベストセラーになり福田氏は影が薄くなった。

そして6月17日、佐藤首相は引退を表明、田中、福田、大平、三木(三角大福)の4氏で首班投票が行われるが、決選投票で福田氏は田中氏に破れる。

こうして7月7日に第1次田中内閣が成立するのだが、平成5(1993)年1月に、日経新聞に連載された「私の履歴書」に私は何らかのヒントを求めたのである。そのなかから関連部分を掲載する。

*平成5(1993)年1月第21回連載

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*同、第22回連載

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*同、第23回連載

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*同、第24回連載

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金にまみれた政界の裏が少しは感じられるかと思うが、週刊現代は、当時の政治や世相をこんな風に集約しているから参考までに掲載しておこう。

 

*「男と女、事件、社会風俗・・・」

週刊現代2000号で辿る「昭和~平成40年の全軌跡」

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担当していた先輩から裁判記録も譲り受けたが、目を通して愕然としたことを覚えている。

やはり「六法全書」だけを丸暗記している方には、戦闘機操縦訓練は無理なのだ、いや、3次元の世界は全く理解できないのだ、と痛感した。こんな方に≪有罪≫にされては堪ったものじゃない。

だから最近になって≪一般常識人≫が裁判に参加するようになったのだろうが、それじゃ「職業裁判官」は何のためにいるのかわからない。

最近は非常識な裁判官も出て、何となく「人間臭く?」なっている気がしないではないが・・・

この裁判は、防衛庁の努力で最高裁まで行ったのだが、動かしがたい新証拠が出たにもかかわらず、最高裁は、2審差し戻しではなく、5%にも満たない「自判」で有罪にするという異例の結末を迎えた。

ある最高裁関係者によると、最高裁は事例を現行憲法に照らして是か非か判断する場所であって・・・と如何にも自衛隊は裁判になじまないような口ぶりだったから「では有力な証拠が出てきたことを踏まえて2審に差し戻すべきではなかったのか?」と言ったが無言だった。

裁判官と雖も人の子、生身なのだから専門以外はわからぬこともあり得るだろうが、それじゃ威厳が薄れるだろうに。

次に掲げた社説は事件とは無関係だが、最高裁批判と言う点で切り抜いていたもの。

ご参考まで

*平成5(1993)年1月21日日経新聞社説

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資料から:朝日の偏った論調

米国の民主党政権が如何に米国を弱体化したか、について米国では批判と反省が起きていて、それがトランプ大統領を選出した直接的な動機だと私は理解している。

それは一般的に、民主党政府が戦争を開始し、共和党がそれを始末する…という俗説に関心を持っていたからだが、民主党出身の第32代大統領(フランクリン・D・ルーズベルト)の罠にはまってわが国が日米開戦を決意した歴史的な事実からもそう感じてきた。

大方の日本人が”尊敬”しているJFK民主党で、軍事援助を大規模に増加し、「軍事顧問団」名義で米正規軍をヴェトナムに増派し、その後のベトナム戦争を泥沼化させるきっかけを作った。

 

退官後、一般的に「平和を好む?民主党」政権が、易々と戦争を引き起こし、「一見”武闘派?」に見える共和党がしりぬぐいさせられる…と言うそんな疑問に答えてくれたのがアン・コールター女史の「リベラルたちの背信アメリカを誤らせた民主党の60年」で、これを読んでリベラルの正体を見た気がした。女史は言う。民主党支持者には「軽薄なセレブの軽薄な反戦活動家」である”有名人”がメディアに囲まれて蝟集する傾向があると。

 

さて、わが国の自他共に認めるリベラル?メディアはやはり朝日新聞であろう。

26年前の切り抜きから、そんな傾向を見ることが出来ると思う。

 

 *平成5(1993)年1月6日朝日新聞社

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当時の社説だが、やはり朝日は民主党政権の誕生に期待している。そしてなんと「我が国の変革も好機だ」と捉えているのである。

処が読売は、戦後の米国大統領の就任演説を一覧表にして比較している。

之だと読者は米国の政治の実態を理解できるのじゃないか?

*平成5(1993)年1月20日読売新聞

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更に、こんな方も新政権(民主)を応援している。昨日の論壇筆者もそうだったが、偏った方々が朝日には登場する。

*平成5(1993)年1月21日朝日[論壇]

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クリントン新政権が、未来への夢を「悪夢」に変えた!と米国民は思っているのにいい気なものだ。

憲法問題でもそうだ。

*平成5(1993)年1月27日朝日新聞社

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同じ憲法問題でも、産経は「最近の要人の発言」を簡単に紹介している。朝日の読者は一方的に朝日の論説委員のお説教を聞かされるが、産経の読者は、一応公平な意見を知ることが出来る。

*平成5(1993)年1月25日産経新聞

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更に産経は「戦後日米安保史」で日本自らが憲法に制限を作っている、と批判する論調を紹介している。

*平成5(1993)年1月6日産経新聞

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僅かな史料から比較しただけだが、こうして見てみると、読者に”親切”な新聞記事はどこの新聞社か、がよく理解できるだろう。

同じ新聞代を払うのなら、偏った情報ではなく、少しでも広い内容の論調が望ましいのは言うまでもない。