軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

小泉「信長」、判断を誤ったか?

15日の靖国神社参拝には20万5千人が参拝したという。私も参拝したが、雨の予報は見事に外れ、60年前を思い出させるような真夏日となった。10時から13時まで境内にいたが、その熱気は国民の関心の高さを象徴するものであった。『サプライズ好き』の小泉首相が参拝するのではないか?という一縷の希望を捨てないで待っていたご遺族もいたようだが、報道どおり彼は『戦線離脱』し、千鳥が淵にお参りしてお茶を濁した。
特設テントで行われた『終戦60年国民の集い』では、会場に入れない人々が炎天下に立ち尽くして熱心に聞く姿が目立った。平沼氏はじめ識者が『首相が靖国参拝の公約を破った』ことを強く非難したが、小野田元少尉の言葉には大きな拍手が沸いた。
その傍を、国旗に黒リボンを巻いた集団が、「裏切り者『小泉首相神罰を!』と書いたのぼりを先頭に通過した、周りから拍手を浴びていた。
小野田氏が言ったように小泉首相は郵政改革では「殺されても良い」と大見得をきったが、15日に必ず参拝するという約束は反古にしたのである。郵政改革は確かに「旧体質の保守政治から脱却」するために欠かせないものであったかもしれない。しかし、靖国参拝問題は、単なる政治公約に止まらず、国家の根幹を考えるべき最優先事項のはずであった。
当初、15日の公約を守るつもりが「悪友」の頼みに変心して13日に前倒しした、そのことが既に靖国問題を軽視している証拠であったが、国民はそれでも15日という公約を守ってくれるものと「信じよう」としてきた。それが今回完全に「裏切られた」のであるから、「神罰を!」という気持ちもわからないことはない。
私は靖国参拝問題は、今後の首相の指導力を占う「踏み絵」だと見てきたが、首相が差し出されたマイクに向かって、今回の公約無視は「適切に判断した結果だ」と言ったの落胆した。
小泉「信長」,本能寺の変に倒れるか?
独断と偏見で、小泉政権の今後の推移を見積もって見よう。

全国追悼式での天皇陛下のお言葉は、短い中にも遺族に対するお気持ちが溢れている。その苦渋に満ちた表現は、この6月にサイパン島をご訪問され、直接戦地で英霊に哀悼の誠を捧げられたその延長線上にある事が窺える。特に「かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い」、「全国民と共に戦陣に散り戦火に倒れた人々」に対する真心こもったお言葉は、例年になく重く心に響いたが私だけの感慨ではなかったであろう。それに比して首相の「談話」がなんと軽いことか!
戦没者に対する「心ならずも」という例の一方的な決め付け表現はさておき、4回も「アジア諸国」を繰り返す異常な心配りは一体どこから来るものなのか? 先の大戦に対して「悪意溢れる内政干渉」を繰り返してきたのは、アジア諸国の中の「中国と韓国」だけではないか。それも中曽根事件以降である。首相はこの春、バンドンにおいても「村山談話」と同一の謝罪文を読み上げたが、多くのアジア諸国はその意図を疑った。
丁度その翌日、私はインドネシア勉強会に出席していたが、今でもインドネシア首脳達と懇意にしているN氏が次のように語ったことを思い出す。
「ここに出て来る前に、インドネシアシンガポールなどあちらこちらから電話で「小泉発言は一体なんだ?我々は日本が先の大戦で英・蘭軍を駆逐してくれたことに感謝している。あんな話はバンドンではなく北京で二人でやるべきだ」
又ある高官は「N先生、教えて欲しい。あれほどしつこく日本が中国に『謝罪する』以上、我々に言えない何か恐ろしいことをやったんでしょう? 何をやったんですか?教えて下さい」。温厚なN氏は「これにはほとほと参りました。そんなことは決してない、と言えば言うほど今度は疑うのだから。独立戦争で亡くなった多くの仲間に顔向け出来ない」
政府は、中国と韓国の「煩さ」に振り回され、他の「アジア諸国」に全く配慮していないのではないか? パイロット教育ではこの現象を「一点集中」と言い、もっとも危険な現象だと指導する。社会党の村山氏なんぞの恐るべき無知発言は、保守本流小泉政権で修正すべき問題であろう。ご自分の「信念」だったらやむをえないが、官僚が書いた原稿であったら、筆を加えて自らの信念を発言すべきではないか?それが一国の首相と言うものだと私は思う。こんなことでは、天皇陛下戦没者とご遺族に対するお気持ちなど、全く理解できていないのではないか?開戦前の昭和天皇と首相たちの関係を彷彿とする。

  • 3、落下傘降下候補達は返り討ちか?

9・11選挙では、反対派に対して「刺客」を送り込むのだという。テレビは面白おかしくこれを解説?しているが、送り込む方も、送り込まれる方も何か勘違いしてはいないか?「落下傘候補」とも言うようだが、精強なわが第1空挺団の隊員と混同しないで欲しい。「落下傘」で降下を命じられた彼ら彼女らは、おそらく守備についている敵陣の対空砲火で撃墜される公算が高いだろう。選挙民を余りにも馬鹿にしすぎているからである。与野党共に「知名度」重視で「タレント達」を候補者にして送り込む癖があるが、彼らは一体国民のために何を果たしたのか?あれでも「一票」だとは言え余りにも虚しい。しかも小泉陣営は女性候補者を大量に準備中だというから、ジェンダーフリー支持者も真っ青だろう。それとも候補者に選ばれることが「平等」だと満足しているのだろうか? よく考えて欲しい。女性有権者も候補者も、私に言わせればオジさん達に「馬鹿にされている」としか思えない。男女平等なんかでは絶対にない。煽てられ、いい気にされていることがわからないのだろうか。
もっとも私には無関係だから一向に構わないのだが、「アジア諸国」ばかりではなく、先進国が日本の代議士や政治家の質をどのように評価するか、と言う事を問題にしているのである。国内でもそうである。多少話がずれるが選挙民の心理に関する実例を書いておこう。
福岡2区で行われた補欠選挙で山崎氏が再選されたが、地元では彼の過去から再選は無理だとのうわさが高く、それを左右するのは「民主党候補」の人選に掛かっていた。つまり対立候補の方が人望があれば党派に無関係に票が集まるだろうと言うのである。ところがそうではなかったから有権者は困った。いっそ共産党にでも・・・といわれていた時、民主党が送り込んだ応援団の中に真紀子さんがいた。彼女は山崎氏のことを徹底的に非難し「気持ちの悪いおっさん・・・」と言ったらしい。この一言が「博多っ子」の怒りをかった。
「たかが金権総理の娘の新潟の田舎モンが生意気言うナ!アゲナやつ(あんな奴)に黒田52万石ば馬鹿にサレトウなか(されたくない)!」となって逆に山崎氏に票が流れたのだ、と博多の親友が教えてくれたが多分そうだろう。博多っ子の意気と名誉を傷つけた彼女の発言が自民党に大きく貢献したのである。民主党にとっては誤算だったろうが、その程度の民意も汲み取れない連中が指導している政党に未来はない。しかし、真紀子さんを応援に博多に差し向けたことが誰かの「謀略」だったというなら十分納得できる。
落下傘候補が、返り討ちに遭って、9・11に過半数取れなかった場合には小泉総裁は「退陣」すると明言した。若しそうなれば彼は靖国参拝の公約を実行できなくなるから、「神罰」が当たった?ことになるのかもしれない。最も、「退陣公約」も無視するかもしれないが。

これを書いているとき、地震があった。東京は震度3だったが、かなり長時間ゆれた。我が家は大正時代に宮大工が建てた「古民家」だからユサユサと大きく揺れたが、私は建ててくれた棟梁の腕を信じているので絶対にあわてない。最もその後の手入れが悪いのは私の責任だから、倒壊してもおかしくはないが。今朝、私は偶々テレビで天気予報図を見たが低気圧が3個関東から東北地方に固まっていたのでなんとなく地震?と思った。不思議と低気圧が覆っている時に地震が起き易いと思っているからである。雨雲がなかったら、誰かが地震雲を見ていたに違いない?であろうが・・・
そんなことで、これから先、とてつもない大異変が我国を襲ってくるような気がしてならない。一日も早く強固な政府が成立し、国際情勢、国内情勢、自然の大変化などにしっかり対応できる体制を確立して欲しいと思う。
今日は靖国参拝で感じたことをまとめ書きしておいた。

最後に今週末の日曜日に、私が担当する講演「広告」を掲載しておきたい。現在各種資料満載のスライドショーとレジュメを製作中である。



☆平河総合戦略研究所 講演会 ご案内

日時 8月21日(日曜日) 午後1時半より4時まで

場所 学士会館神田錦町) http://www.gakushikaikan.co.jp/ 203号室

会費 一般 3000円 学生 2000円 平河総研特別会員 1000円 

講師 佐藤守  平河総研専務理事 元空将

ブログ http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/

テーマ 台湾危機に直面する南西方面の実態…沖縄勤務の体験から

定員 80名 申し込み先着順(info@hirakawa-i.org 宛)☆