軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中・露の本心と米国事情

 国連決議は、いつものように「中・露」の「トーンダウン要求」で決定が遅れているようだ。世界平和にとって、この両国がいかなる存在であるかが、日本国民にも良く分かったことだろう。
 臨検項目の内容変更がその主なものだというが、国境を接するこの両国にとっては、普段から「いかがわしい物品」を北朝鮮と取引しているのではないか?
 たとえば「武器」である。安くて手ごろな中国製武器は、世界中に氾濫してテロリストの常備品になっているのは承知の通りである。
 ロシアだって負けてはいない。民生品の製造よりも、武器の製造・輸出のほうが手っ取り早い国だから、中国などはソ連製武器であふれている。
 国境から、北朝鮮国内に流入している「物資」を臨検されると、きっと困ることがあるに違いない。勿論、海上の船舶も同様だが…
 国連の「制裁決議」の中から「どんな物品を適用除外」にするのか、そのリスト公開が楽しみである。

 ところで先ほど「重大な」情報が届いた。コメントにも「韓国空軍機のKF-16やKF-4、KF-5などの70%近くの予備エンジンが不良で『グランド』を余儀なくされている」というから、案外本当なのかもしれないが、実は作戦計画を立案している米軍にとっても「空中給油機のたらいまわし」が利かないらしいという。つまり、北朝鮮有事の際に、直ちに進攻する手はずになっている三沢のF-16が、攻撃後帰投するには空中給油が不可欠である。しかし、十分な「タンカー」数を揃えられないらしいから、最悪の場合には、グアムからB-52を中心にした爆撃にならざるを得ない。しかしそれはいかにも好戦的?な米国による「戦争」が開始されたことを世界中に印象付ける事になるからこの際米国は「遠慮」するだろう。

 昭和59年、私が九州の司令部幕僚だったときに、韓国防衛の信頼性を確認するため、米空軍はフィリピン、グアム、嘉手納などから、総勢120機を越える戦爆連合の大編隊を朝鮮半島に集中する大規模な演習を実施したことがある。その中心はAWACSで、その他、救難機、空中給油機が各所に配備された。
 これらの大群が、東シナ海を北上して、朝鮮半島を攻撃し、再びそれぞれ基地に帰還したのだが、一機のエマージェンシーも発生しなかったので、私は深い感銘を受けたものであった。
 今、確かに米空軍は、空中給油機の「たらいまわし」を計画しているだろうが、ブッシュ大統領は国連の制裁決議を始め、全般情勢を睨んでいるため、空軍にとってはしばし「時間」が稼げることになる。三沢や嘉手納、横田基地などに、給油機が頻繁に飛来し始めたら「要注意」だろう。最も、これは、在韓米軍基地や韓国空軍基地を使用しないという前提に立った計画のときらしいから、どうも米軍は既に「韓国」を信用していないフシがある。
 我が国は、昭和25年に起きた朝鮮戦争のことを思い出すがいい。占領下であったから当然だといえば当然だが、九州を中心にした航空基地から、連日米軍機が飛び立ったものである。横田基地は、その最大の補給中継基地であった。
 今回、万一「連合国」によって航空攻撃が実施されるとしたら、日米安保の信頼性などというとぼけたことを言っている暇はなくなる。
 「核実験失敗か?」などという情報で、聊か緊張が解けた感じもするが、北朝鮮は『核を持つ努力』を放棄したわけではない。
 北朝鮮が二回目の実験を強行したら、日本人は間違いなく「巻き込まれる」ことを覚悟しておく必要があろう。