軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国;難民流入阻止と逃亡阻止と

 国連で「対北制裁決議1718号」が採択され、即日効力を持った。中国は、臨検などの措置は取らない、と言明したが、米国との水面下での取り決めは不明である。
 北朝鮮との国境地帯には、軍隊が増強されている、とか、国境地帯に鉄条網が張られた、などという記事が飛び交っているが、中国としては、北朝鮮崩壊による「難民流入」は何としてでも防がねばなるまい。折角北京オリンピックに備えて国中?で建設ラッシュが続いているのに、東北部に難民が流入して、経済はもとより、治安維持上問題が生じることだけは絶対に避けなければならない。だから、厳重な対北警戒措置を講じるのは当然である。
 
 ところで昨日衛星放送のニュース番組を見ていたら、チベットから脱出する集団に対して、中国“人民解放”軍が発砲して、雪の上を歩いて脱出している行列の中の一人が、倒れるシーンを見た。経済発展「著しい」中国からも、依然として「脱中者」が出ていることを改めて確認出来た。
 14日の産経新聞14面に「亡命チベット人銃撃で死傷」という、以下のような北京特派員・福島記者の記事が出ていた。
「ニューヨークに本部を置く人権団体『中国人権』によると、9月30日に、中国チベット自治区からネパールにナンパラ峠を通って亡命しようとして約70人が中国人民解放軍に銃撃され、少なくとも尼僧1人が死亡、数人が負傷した。42人がネパールにたどり着いたが、子供を中心に一部が中国側に拘束されているという。人権団体は、この事件に関して12日、米国や各国が中国軍の殺害に公式に抗議すること、ネパール政府が亡命チベット人に保護を与えるよう各国が関心を示すこと…などを求める声明を発表した。」
 以前このブログに書いたが、磐田市の高校に留学しているチベット人の学生たちと会った時、インドに亡命して助かった少女から話を聞いたことがある。
 その後、ペマ・キャルポ氏にそのことを話すと「彼女は運がいいほうです。年間数千名の脱出者がいますが、ほとんどは難民キャンプにたどり着けません。国際社会はチベットで何が行われているか全く無関心です」と言われたので驚いたことがあった。
 産経の記事が事実であることを、放映された『ビデオ』で確認したわけだが、このビデオは、かなり離れた山の上からとられていたから、万一に備えて「人権団体」が、記録として撮影していたものかもしれない。雪の上に一人が崩れるように倒れたシーンは、犠牲になった「尼僧」だったのだろう。
 北朝鮮問題で、世界(と言うよりも日本中)は大騒ぎの感があるが、チベット人たちは、今でも中国の「圧制」から逃れようとして、犠牲になっているのであり、言い換えれば、中国も「自国の人民」に対して、北朝鮮同様の非人道的措置を取っているのだから、国際的には、奥歯に物が挟まったような態度しか取れないのだろう。
 そんな問題を抱えた中国政府が、唯々諾々と国連決議で北朝鮮を非難できないのは合点が行くが、今回の決議「賛成」は、その中でも「最大級」の対応だったのだろう。北京政府内でどんな協議が行われたのだろうか?

 ところで、我が国は、北朝鮮に独自の制裁を発令し、船舶は日本の港から消えたという。今後、北朝鮮籍の人間の入国も禁じられるから「一安心」と思っている向きがあるが、国内に「工作員」が残っていることを忘れてはならない。
 先日、国会質問の場で、民主党の森議員が「週刊現代」をネタに、安倍総理に「噛み付いた」シーンは、インターネットでも批判的に流れているが、あの記事を書いた記者は「在日」だという。日本の国会では、新聞記事や週刊誌記事をネタに「政府を詰問する」と言うパターンが定着しているが、それは野党が得意とする「ヤラセだ」とは、ある新聞記者OBが断言したが、今回の森議員の関連質問も、そうである可能性が高い。
 つまり、わが国内の親北朝鮮派は、何とかして安倍体制をゆすぶりたいのである。
 
 前述したように、中国は今矛盾を抱えた国内を統一するために懸命である。
 我が国も、北朝鮮の核開発、拉致問題を抱えて、戦後総決算の「剣が峰」に立っている。当然それを妨害するための「工作活動」が、我が国内でこれから盛んになることを忘れてはいけないと思う。