軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

月刊誌が面白い

 少女・アシュリーの著書が漸く届いた(写真)。短い一文一文に、きらりと光るものがあり、健常者の私は深く考えさせられた。特に、プロジェリアという難病と戦うわが子を見つめる、母親のロリーがすばらしい。現在15歳の彼女は90歳を過ぎた身体年齢だという。良いことがあるようにと祈りたい。


 さて、新聞テレビは相変わらずだが、今月の月刊誌には見るべきものが多い。WiLL4月号の、渡部昇一氏の24ページに渡る「私と昭和史」は、終戦翌年に小学校に入学した私の年代には多分懐かしい内容であろう。
 上坂冬子女史の<愛国問答>「“拉致”した四島を今すぐ返還せよ」も面白い。南京“大”虐殺だ、“従軍”慰安婦だと、旧軍の名誉を傷つける<国際行事?>が世界中で話題になりつつあるが、終戦のどさくさにまぎれて、日ソ中立条約を一方的に破棄し、満州樺太北方領土になだれ込んで、天皇の命によって矛を収めたわが将兵をシベリア奥地に<強制連行>した旧ソ連の悪業はちっとも話題に上らないのが不思議でならない。そればかりか、旧敵国と一緒になって自国のことを罵る非国民ばかりが目立つ。米下院で“従軍”慰安婦問題の決議を強行しようと努力している、マイケル・ホンダ議員の経歴をインターネットで調べるが、詳細は分からない。彼は1941年生まれだといい、日系3世だそうだが、私は「ホンダ」と聞くとすぐに「本田雅和」氏か、「本多勝一」氏を想起するが、そういえば当事朝鮮半島は日本領であったから、日系3世といわれても間違いではないが、彼の周辺には韓半島出身者が多いとネット上には出ていた。何と無く気にかかるが、誰か調べて教えて欲しいものである。
 そういえば、大陸で残虐行為を働いた「日本兵」という写真の中に、中国の保安隊や国民党軍の兵士が混ざっていたことが指摘されているが、素人目にはその軍服は酷似していて判別がつきにくい。当事、上海や南京などにいた外国人に「日本兵」と思われても仕方なかったであろう。そんなところにもこの手の風評が広まる原因があるのではないか?
 ところで「六者協議は米朝八百長」という、重村智計早大教授の論文は面白かった。「そもそもが、少なくともあと2ヶ月待てば北朝鮮の側から折れてきたはずなのです。北朝鮮にはすでに食糧は殆ど残っていません。4月15日の金日成の誕生日は盛大にやるといっていますから、そのための食料や資金が必ず必要になる。4月までには必ず折れてきたはずなのに、米国も日本もそれをわかっていなかった」という説には同感である。その点、北朝鮮と中国の外交力はしたたかであった。米国代表のヒル次官補はホワイトハウスから何を指示されていたのだろう?
 ホワイトハウスにとっては、北朝鮮の核よりもイラン情勢の方が喫緊の課題だったろうことは間違いないが、それにしてもいつものことながら米国の「アジア戦略」はお粗末である。その穴を埋めるために“アジアの大国”であるわが国が同盟を結んでいるはずだが、これまた情報戦略に疎いから少しも米国の助けにはならない。なんとも腹立たしい。
 ところで雑誌「THEMIS」3月号はこれまた興味ある記事が満載である。「金王朝崩壊→難民流出そのとき日本は」には考えさせられるが、気になるのは「中国『米軍事技術スパイ』続出の脅威」という記事である。
 インターネット上でも話題になっているが、中国のキラー衛星撃破実験で「粉々に粉砕された衛星の破片は目立つサイズで900個、微細なものまで含めると数万個に及ぶといわれ」「米国のスパイ衛星の一部に機能障害が発生している」というから、MDに取り組んでいる日米の最大の問題ではないか?
 更に驚くべき事実は、米国の「核戦略の要となるステルス爆撃機の最高機密が中国人民解放軍に流出し」たことを裁く裁判が「ハワイ・ホノルルの連邦地裁で大詰めを迎えている」という記事である。被告のインド系米国人航空技術者は、米国の国家安全保障体制の根幹を揺るがす罪状で死刑求刑も噂される」というのだが、これまた驚いたことに、主犯のノシール・ゴワイダ(逮捕時61歳)は、技術コンサルタントで「マウイ島に構える自宅は、時価180万ドルの豪邸」で、「持ち出した機密資料はペンタゴンが腰を抜かさんばかりのしろもの」だったという。それは「彼はB−2の根幹となるステルス技術の核心部分の設計に直接関わっていた」からで、「68〜86年ノースロップ社に在籍。同社はB−2戦略爆撃機の開発の主契約会社で、社内の役職は上級技師だったのだ。ステルスの性能を格段に高めるため、エンジン最後部の革新的設計の排気ノズル構想を編み出し、実用化に持ち込んだ本人」だというから、今後、日系やインド系…などと頭につく「米国人」に、FBIやCIAは注目するのじゃないか?人種問題は確かにあの国のアキレス腱であるが今後ますます統制が利かなくなることだろう。我が国も心しておくべきだと思う。
 ところで、パイロットは「単細胞だ」と良く冷やかされたものだが、技術者も結構単細胞、その上金にからっきし弱いらしいから、この問題が我が国のF−X後継機問題に影響しなければいいのだが・・・