軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

日本国憲法「60歳」

 今日は「憲法記念日」であるが、私が唯一「国旗を掲揚しない日」でもある。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げて憲法改正に熱心だが、昨日のチャンネル桜の収録で、井上キャスターから「朝日新聞の社説」を見せられ、解説を求められて思わず吹き出した。この新聞社は「9条改正」に猛反対のようだが、9条ならぬ「窮状」に陥っているらしい。この国が全うな国になれば、掲げる社説がなくなるからだろう。論説委員たちは、たたき台を手に、ああだ、こうだと意見百出、結論は憲法改正阻止にあるのは明白だが、それまでの繋ぎの文に困ったらしい。そこで若者目当てに「お笑いコンビ」の意見を挿入したのだろうが、天下の朝日も落ちぶれたものだ。もしかすると「産経新聞に買収される(月刊テーミス6月号)」からあせっているのかもしれない。しかし、産経に併呑された方が、社員は喜ぶと思うのだが・・・。中途半端なイデオロギーにしがみついていれば、元も子もなくなるのは必至である。テレビでは、TBSも楽天に併呑されそう?だから、少しはこの国のメディアも全うになる前兆なのかもしれない・・・。
 ところで憲法の話だが、私は自衛隊を退官するに当たって、自らの体験から「憲法こそ諸悪の根源」であり、自衛隊を「おもちゃの軍隊」「政争の具」に貶めている元凶である、と同窓会で会った先輩の某政治家に告げて、「憲法改正に体当たりして欲しい」と懇願したことがある。彼はその時「わかった、俺も頑張るから貴様も吼えろ!」と言ったのだが、その後、彼は憲法ではなく女性に体当たり、柔道部出身だったからか“寝技”を発揮して週刊誌に暴露されて勢いを失った。今では「女性専門家?」に落ちぶれてしまったから、私は裏切られた気持ちである。
 その後民間憲法臨調に誘われ、つたない意見を述べたりしたが、会員の熱意はすばらしかったものの、政治家の熱意はいまいちであった。大阪での会合だったかと思うが、ある政治家の祝辞の後で、私は「何時まで憲法改正運動のこの種会議を続ける気か」と怒ったことがある。つまり政治家は、各種集会で「おめでとうございます」と締めくくるのが癖になっているからか、この会合でもそう言ったからである。「皆さん方は、憲法改正決起集会2周年・・3周年、10周年記念大会“おめでとうございます”など言い続けるつもりですか?」と問うたのである。
 ひどい政治家になると、靖国神社での慰霊祭終了後の直会の場に顔を出して、ひとしきりPRをした後で「本日はどうもおめでとう御座いました」といって顰蹙を買った例もあった。要するに政治家達には「気合が篭っていない、真剣みがない」のである。何時まで続く泥濘ぞ!といいたくなる。是非とも安倍総理には決着をつけていただきたいと思う。
 そこで気になったことがある。産経新聞5面に、自民・中川秀直氏、公明・北川一雄氏、民主・鳩山由紀夫氏の憲法に対する意見が出ている。その中で政権与党たる公明党の北川氏が「今の9条(の字句)を変える必要性は感じない。集団的自衛権にしても、現実の課題に対処するためにこの概念を持ち出す必要があるのだろうか。具体的な事例を挙げずに観念的な机上の論議をしても意味はない。」自衛隊自衛軍にする「そのように(軍隊に)変える必要があるとは思えない」と語っているが、認識不足も甚だしい。これは前述した朝日の社説と瓜二つである。むしろ、民主党の鳩山氏の方が「自衛隊の存在を認めるのは当然だろう」と明言しているのである。
 政権内にこのような“障害物”を抱えていたのでは、安倍政権も動きづらかろう。むしろ政教分離という憲法に違反している“与党”のほうに大きな問題があるのではないか?。国民はこの実態を良く監視すべきだと思う。
 これを読んで、今年の夏はいよいよ政界再編成の動きが出てくるのではなかろうか?と思ったのだが、憲法も政権内部も、早く「すっきり」して、迫りくる国難に厳然と対処してもらいたいものである。