軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

逃げない安倍総理に拍手!

 政治評論家達によると、参院選を控えて<年金問題>が焦点となることは、自民党にきわめて不利だという。だから、自民党としては<年金問題>を後回しにして参院選を戦う必要がある、と解説していたが、私には「?」に思えた。むしろ「参院選目当てでこの問題を回避したほうが惨敗する」と感じたのである。
 ところが、サミットに向かう機内の記者会見で、安倍総理は、国家公務員法改正案について「緑資源機構の問題、社会保険庁の問題もみんな天下りが絡んでいる。是非この国会で成立を図りたいと思っている」「年金、医師不足、医療制度の問題に国民の関心が高いことは十分に承知している。国民にこの機会に示し、説明するのが当然だろう」と語った。同時に憲法改正問題についても「訴えていくのは当然だ。それぞれについて誠実に訴えることが大切だ」と強調した。
「若いから」か「若いのに」と言うべきか、見事な決心である。今までの総理大臣だったら、政策というよりも、個人、または党の利益のみを考慮して、不利益にならないような国民に受けの良いものを「焦点」に掲げるのが常だったから、国民は飽き飽きしていたのである。例えば民主党が掲げる「格差是正」の様にである。何が「格差」なのか、何をどのように「是正するのか」はこの際関係ない。国民が「何と無く同感すればよい」だけでなのである。この戦法は「古い古い!」
 選挙を控えて野党は、安倍政権打倒を目指して、あることないこと次々に「問題」を投げつけているが、かっての社会党という左翼勢力を身内に抱えて身動きが取れない民主党も、どうやら「危機感」を感じ始めたらしい。しかし水と油以上性格が異なっているように見えるお三方によるトロイカ態勢では、国民の目はごまかせまいと思う。
 何とかの一つ覚えしか叫べない社民党は論外だが、憲法改正阻止、公明党憎し!を中心にすえて、朝日新聞と共闘体制を取っている共産党は、自衛隊イラク反対調査資料を「入手」して、大掛かりな記者会見をしたが、これが命取りになりはしないか?とヒトゴトながら気にかかる。
 陸上自衛隊の情報保全部隊が作成した今回の資料は、殆どが「公開資料から集積された」ものである。新聞や各種文書を丁寧に切り抜いて整理していけば、何時どこで誰がどんな発言をして、それにどんな“勢力”がどのくらい参加したか、明白に収集できる。それに「独自の味付け」をしていけば、部隊行動時の「良い参考資料」になるのである。今回、共産党が提示した資料は、陸上自衛隊の「イラク派遣に反対」する「市民団体やジャーナリストなどの動向を調査した内容」だそうだが、当時の各種公刊資料だけでも、それ以上のことが判明しているではないか。
 例えば、例の「イラクで人質になったおろかな反戦三人組」は、元隊員で週刊朝日の臨時雇いレポーター、もう一人は劣化ウランに関心を持つ受験生、それにもう一人は、今やその体験をネタに「市民団体」の後援を得て講演活動に余念がない女性である。彼らが、イラクに侵入する前日に、友人に出したメールの内容までも、当時は公開されていた筈である。中には、人質になっているところを取った8ミリ映像も、実は持参した機材で撮った“ヤラセ”だと言われたほどであった。
 今回、この件を突きつけられた元防衛庁長官の“山拓先輩”は、珍しく?堂々と「共産党の選挙工作だ」と切り捨てた。久間大臣も「自衛隊が情報活動をするのは当然だ」とこれまた切り捨てた。
 今までは「まず真相を良く確かめて、処分が必要なときは厳重に処罰する」と応えるのが通例になっていたものだから、記者達にしつこく食い下がられると、「喧嘩両成敗的」に自衛官を処罰してお茶を濁してきた。今回は塩崎官房長官までが「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れらるるべきだ」と問題はないとの認識を示したから、これで勝負あった。
 テレ朝の大谷コメンテーターは、「この資料を共産党に取られた<お間抜けさん><おバカさん>自衛官を我々は守っていくべきだ」と発言していたが、とうとう彼も正体を現したナ!と思った。
 
 言うまでもなく、朝日新聞といえば尾崎秀美、尾崎と言えばスパイ・ゾルゲであるが、共産党の志位書記局長のおじさんも戦後ソ連のエージェントの一人であったことは案外知られていない。
 ここでは「大東亜戦争と『開戦責任』・・・近衛文麿山本五十六中川八洋著:弓立社刊)」を引用しておこう。
『・・・敗戦で陸軍が解体された後、多くのエリート将校が日本共産党に入党したり(日本共産革命のための)ソ連工作員となった。たとえば、1954年に米国に亡命したラストヴォロフKGB中佐(偽装肩書きは在日ソ連大使館の2等書記官)が直接使っていた日本人スパイの中の陸士・陸大卒の陸軍のエリート志位正二(終戦時は関東軍情報参謀、少佐)や同じエリートの平沢道則(関東軍第3軍参謀長、中佐)らがいる。・・・なお、日本共産党書記局長の志位和夫は、この志位の甥である』。
 この「ラストヴォロフ証言」はこの種情報活動の裏面を赤裸々に示しているのだが、あまりにも国内政治に与える影響が大きいと判断されたためか、一部の専門家は別として、一般的にそれほど話題になっていない。
 今回の「共産党志位和夫委員長の記者会見」は、案外共産党にとっての致命傷になるのではないか?高々「部外秘」「取り扱い注意」程度の資料を、さも鬼の首でもとったかのように掲げて記者会見したのだから・・・
 世界の国々では、積極的に情報をリークして相手の反応を探る場合もあると言うことをお忘れだったように見えるので・・・
 何はともあれ、選挙に「不利」であろうとなかろうと、国民が関心を持つ事柄に対して、誠心誠意、真正面からこれに応えようとするす安倍総理の姿勢に拍手を送りたい。