軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

敵と戦う“勇気”はあるか?

 コメントにあった「銀座4丁目交番前」での出来事を、動画で見て絶句した。休日の銀座歩行者天国で、河野洋平談話を撤回すべきとするグループが実施した署名活動は、声を上げた5分後に駆けつけた婦人警官二人に制止された。更に歩行者天国の責任者?と見られる男と、警察官によって≪許可されていないという理由で直ちに閉鎖≫させられたが、何と、交番前のホコテンでは、日本共産党が30分以上もマイクを使って“堂々と”選挙演説をしているのに、警察は「見てみぬ振り」をしていたのである。これを目撃して怒ったグループが警察官に詰め寄ると、なんともたじたじとなった警官の「官僚的な」対応ぶりが、見ていて歯がゆいこと限りない。これじゃ指示に従って素直に署名活動を中止したグループが「損する」わけで、平然と「禁止行為?」を続けている共産党が「得する」ことになる。「無理が通れば道理引っ込む」実例で、国民の警察!が取る行為であろうか? 
 かって(今でもそうだが)我が国のメディアも、旧ソ連は「暴力的で」怖いので一切文句をつけなかったが、同盟国の米国には「傲慢」とも思えるほど生意気な行動を取って何ら恥じることが無かった。これは米国が民主主義国家であり「言い得」だったからである。昔?は自衛隊もそうであり、どんな罵詈雑言をいっても「絶対に反論しない」から、「書き得・言い得」だと記者たちは一方的な偏向記事を書きまくった。
 警官も、例えば交通取り締まりでも、悪質な駐車違反と見られる「黒いベンツ」には見てみぬ振りをして黙認し、裏通りで配達作業のために停車している「ライトバン」の運転手には反則切符を切る、要するに「凶暴な相手」には黙り、真面目で指示に従う穏便な「庶民」に対しては、“ベンツの分も加えて”「居丈高」に振舞う傾向がある。これでは「民主警察」の名が泣こう。銀座での“事件”はまさにその典型である。
 今回、このような不公平な取締りをした「銀座4丁目交番」の責任者、勿論その上部にある警視庁は国民に納得のいく回答をしなければならない。他方、この“トラブル”を取り上げたメディアは一つもないのがこれまた不思議である。農水相の顔の絆創膏の原因探求よりも遥かに重大な問題ではないか?
 私はこの国の最後の砦は自衛隊・警察などの実力集団だと考え、間接侵略対処上、その「増員」を提唱してきているのだが、この動画を見て非常に落胆した。これじゃこの国は持たない!

 ところで今朝の産経新聞「正論」欄に、伊原吉之助・帝塚山大名誉教授が「私たちに敵と戦う用意があるか」という題で「昭和と平成の敗戦」の項を掲げ、次のように書いた。長くなるが引用しておく。
「幕末、砲艦外交によって開国を迫られた日本は、旺盛な闘争心を秘めつつ、国家の生存発展に努めた。ところが日露戦争に勝って安全を確保したとたんに国家目標が曖昧化して闘争意思を弱め、守勢に入った。その間、官僚制が跋扈し、国家戦略が曖昧なまま受身の戦争を繰り返した挙句、敗戦を迎えた。
 戦後、戦争を放棄して米国の保護下に甘んじてきた。占領軍の日本弱体化憲法を独立回復後も後生大事に守り、男の子に『戦争ごっこ』を禁じて、野生の発散昇華の機会を奪い、女性は結婚相手に『優しい人』を望んで男に『勇ましさ』を発揮させなかった。
 戦後、復興から成長へ経済一本槍で突進した日本は、企業戦士として他企業と戦うほかは争わず、男は軟弱化・中性化し、国益追求のための闘争を、政府も官僚も政治家もしなくなった。
国富論』で有名はアダム・スミスは、国家の基本任務を三つ挙げる。外敵防衛・治安維持・インフラ整備。経済では国家は審判役に留まる。これをラッサールは『夜警国家』と揶揄したが、国家の基本任務の指摘として鋭い。だが戦後の日本は、国防も治安維持も情報の収集分析もおろそかにしてきた専守防衛を任務とする自衛隊は、法制不備のため自衛さえも出来ず、デモ隊からは警察に守ってもらわねばならぬ状態で放置されてきた。防衛省の中枢は警察官僚が握ったままである。
 私達が明記すべきは、政府の存在根拠が国民の保護と国益追求にある点である。その任務を放棄したり、外国に委ねたりしてはならない。『天ハ自ラ助クル者ヲ助ク』」
 いやはや、全く同感である。銀座4丁目の出来事は、“弱いものいじめ”を優先させ、「敵と戦う意思のない警官の存在」を浮き彫りにした。
戦後レジームからの脱却≫を掲げて一人孤独な戦いを続ける安倍総理が、四面楚歌であるのは蓋し当然であろう。 29日に≪大衆たち≫は、どんな将来を選択するのか、その結果について、「日本の良さ発揮こそ世界文明に貢献」すると説く伊原教授に、選挙終了後の日本の進路についての御意見を伺いたいものである。低俗なメディアに毒された「大衆」が一時的にでも目覚めて、「天佑神助」が期待できるか否か・・・秒読みは始まっている.

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