軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

お盆も過ぎた

 8月15日は、それぞれの思いを封印して過ぎ去った。英霊はどんなお気持ちだったろうか?特に大東亜戦争で散華した若き英霊達の気持ちを思うと、現代に生かされている国民のひとりとして申し訳ない気持ちで一杯である。

 今朝の産経新聞16面に、「自分より地位を守る人々・靖国参拝は『踏み絵』」との題で、曽野綾子氏が良いことを書いている。
「8月15日の暑い終戦記念日を迎えながら、私はあることを思い出した」との書き出しで、日本政府の息のかかった組織で働いていた一人のカトリック神父が彼女に「職場では私のことを神父だと言わないでください。勿論職員は誰もが知っていますけど、上の人でそれを喜ばない人がいますので」と言った時、まあそれでいいだろう、と思ったが「何故そういう圧迫を恐れ、妥協しなければならないのかわからなかった。その人にとって神父であるということは、存在の大前提である筈だ。日本政府の外郭団体の職員になることなど、二の次である」
「今年8月15日、高市沖縄相以外の全閣僚が靖国参拝をしなかったという報道を聞くと、そのことを思い出す。つまり、人間としての本質を守り自分であることを継続することより、首相や大臣の地位を守ることのほうが大切と思い、それを選んだ人がいたということだ。神父であることより、職業上の立場のほうを取った人とよく似ている。中国はこういう人々を見て、胸をなでおろし、これからかなり無理を言っても通るぞ、と思っただろう」
「私の靖国参拝は不純なもので、八割が国のために亡くなった方に感謝をしに行ったのだが、一割は周辺の様子を眺めること、一割は怪我をした脚がどこまで普通に歩けるかというテストとリハビリに利用した。それが戦後に生き残った世代のインチキさなんです、と英霊に御報告してきた。茶店の日向には『晋ちゃんまんじゅう』が山積みになって置かれていた。賞味期限切れが出ないといいのだが・・・」
 さすがに文筆家だけあって表現が上手い。「靖国」はそういう意味では彼の国にとって確かに「踏み絵」である。
 多分中国などは、今回の現象を見て、彼女が感じたように理解したに違いない。
「政治は小説家が考えるような単純なものではない、という見方も良くわかるが、そういう力関係に妥協する生き方を、私は好きではなかったのだ、と改めて思った。人間は出来れば命をかけてでも、本質を通した上で、改めて柔軟であるべきだろう」というところが特に良い。

 彼女の説に従えば、私の参拝は「9割は英霊に対して感謝とご冥福とこの国の行く末に御加護をいただきたい」と祈り、「現世の不甲斐なさ」を謝り、「1割は『周辺情勢』を観察する」のが通例になっている。
 今まではその後、世田谷観音に廻り、特攻隊員に対して感謝の誠を捧げるのを通例にしていたが、転居後は御無礼させていただくことにした。
 中国は「こういう人々を見て、胸をなでおろした」ろうが、一方では、そんな信念のない「人々」を“軽蔑している”だろうことは疑いない。彼らにとっても、いつでも変身する存在なのだから、そんな日本人は信用できないはずである。そのことが肝心な日本の閣僚達にわかっていないというところが私には情けないのである。

 ところで、その中国では、国内で色々なことが起きているようである。面白いのが「天変地異」を畏れる風評だそうで、この夏、北京に二日降った「雪」の異常さから、人民の中には、王朝末期現象が噂になっていて、次はとてつもない天変地異がおきると畏れられているのだという。
 黄文雄氏の「中華帝国の興亡」によれば、「帝国崩壊の歴史は≪水≫≪旱≫≪疫≫≪蝗≫の循環で作られてきたという。これらは単発で起きるのではなく、連鎖的に起こるといい、「中国帝国歴代王朝の崩壊期には、山河の崩壊、つまり自然環境の悪化から社会環境の悪化が起こり、それが連鎖的に拡大再生産を繰り返し、水旱、疫病、飢饉、流民の大噴出、戦乱の激化、そして帝国が崩壊するというパターンである」という。
 北京オリンピックまで一年を切ったが、環境破壊からくる大気汚染、水不足、危険食品などが連日報道されている。オリンピック開催地に北京を決定したIOCの責任者達は、一体何を基準に北京を選んだのだろう?まさか「ハニートラップ」に引っかかったわけでもなかろうに!
 いまや各国選手団は、水や食料持参で行こうか?と悩んでいるというから信じられない。オリンピックはいつから『ピクニック』になったのだろう?
 それはともかく、黄文雄氏の帝国崩壊のパターンに当てはめてみると、既に水不足で旱魃が起き、砂漠化が進んでいる。疫病も、HIVなど表に出ていないだけで相当水面下で広がっている。ロシアや中南米などへの多量の流民もそうだが、肝心な共産党幹部の亡命も流行っているらしい。中国崩壊のあと一つの条件は、『戦乱の激化だ』と黄文雄氏は指摘している。不穏な台湾情勢を予測して、中国はそれなりの軍事強化を図っている。最近、中国国内での軍用機墜落事故が多発しているのもその兆候であろう。そしてそれが発動されるときが、帝国崩壊の前兆になるのであろうか?そのとき周辺にはどんな影響が及ぶのか?
 そんなこんなで、中国政府はいまや他国の国内問題なんかに関わっておれない状況なのだし、大統領選挙を控えた韓国も、南北会談開催が最優先、北朝鮮はそれに加えるに「天変地異の大水害」でそれどころではなかった、というのが周辺情勢だったのだから、日本にとっては「戦後呪縛からの解放」に絶好のチャンスだったのに、むざむざと見逃し三振したようなもの。これじゃ勝てるはずがない、と思う。一体誰が周辺情勢分析を担当しているのだろうか?
 混乱の兆しが伺える2008年危機に備えて、日本では国内政治環境を一日も早く安定させ、御先祖様に御心配をかけない態勢を取るべき時であろう・・・。

再現 南京戦

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これだけは伝えたい 武士道のこころ

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