軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

大本営発表の真相

 研究会準備と原稿書きでブログを書く余裕がなかったが、寄せられた熱心なご意見に感心している。インターネットの便利なところは、紹介された色々な情報ソースを瞬時に見ることが出来ることであろう。勿論、その情報の確度を分析判断するのは個人の努力にかかっているが・・・

 ところで今日は「体育の日」、あいにく天候不順で、秋の行楽や運動会などにも支障が出たのではないかと思っているが、我が家では玄関先に日の丸を掲げたからか、僅かな時間の小雨で終わった。
 しかし、転居後一年になるが、この住宅地域で国旗を掲げるのは依然として我が家だけであるのが残念でならない。
 国旗について、6日の産経「断」の欄に評論家の潮氏が面白いことを書いていた。
「先般、安倍改造内閣の新閣僚記者会見で多数の閣僚が国旗に欠礼したこと、認証式でも天皇陛下に失礼な態度を取ったことを指弾した(9月2日付)。あれから約一ヶ月。9月26日、福田内閣が誕生した。さて今回はどうなったか。中継画像で確認してみた」結果、「額賀財務相が登壇する際、軽く会釈するごとく国旗に一礼した」が、「経済産業相農水相厚労相外務相法務相国交相総務相環境相が一人残らず国旗の前を素通りした」という。
「僅かな救いは、新任の石破防衛相が登壇と降壇の際、国旗に正対し敬礼したこと」で「触発されたのか、続けて泉国家公安委員長も正しく敬礼した。ところが、続く4人の内閣府特命担当大臣文部科学相が全員、再び国旗の前を素通り。結局、国旗に敬礼した閣僚は先の3人だけだった」という。
 実に面白い着眼点だが、これを友人に言ったところ「それほど“外国人”がこの国の大臣になっている証拠」だと素っ気無くいわれた。
 一国の閣僚がこの有様では、近所に国旗が掲揚されなくとも何ら不思議ではないということか。
 そういえば先日、新宿の新しいデパートに行ったとき、館内放送は中国語だけだったから、まるで上海のデパートにいるような錯覚を覚えたが・・・。身の回りから日本人を捜すのは困難になりつつある!いやはや・・・。

 さて、7日の産経新聞は、一面トップで「沖縄教科書抗議集会参加者数」について、朝日の「11万人」が一人歩きしていると噛み付いた。実際は4万人強だった(県警幹部談)そうで、色々な情報を総合すると、やはり4万人強というのが正しいようだが、朝日は11万人を強調しているらしい。
 朝日新聞社らしく、まるで「南京大虐殺30万人」説と同じ発想だが、真実と社会正義を標榜する新聞社としてはいかがなものか。
 大東亜戦争時代に「大本営発表」と云うのがあった事をお忘れではあるまい。朝日は戦後になってよくこの発表数を非難し、デタラメの代表でもあるかのように書いたものだが、今や自らそれ以上のデタラメをしていることに気がついていないようだ。
 記事の内容のみならず、おそらく販売部数700万部というのもいかがわしい。広告主を離さない為の策略のような気がするのだが、やがて真実は暴露されるのだろう。

 元大本営報道部員だった富永謙吾海軍中佐は、著書「大本営発表の真相史」の中で「戦局と発表の正確度」について「最初の6ヶ月間は、戦果、被害共に極めて正確に近いものであった。次の9ヶ月――珊瑚海海戦からイサベル島沖海戦まで――の期間は、戦果が誇張され始めた時期である。このうちミッドウェー海戦が損害を発表しなかった。ガダルカナル島争奪戦を巡って発表そのものに現れない莫大な損害が、累積して行ったことも見逃すことは出来ない」
マリアナ沖海戦以後は、誇大の戦果に損害のひた隠しが加わって、見せかけの勝報が相ついだ。フィリッピン沖海戦でその頂点に達した。そして、日本海軍は既に潰滅していたにもかかわらず、軍艦マーチだけが空虚な勝利を奏でていた。この状態は、最後の戦闘である沖縄の終結――二十年六月末まで続いたのであった。すばらしい大戦果として、当時全国民を狂喜させ、連合艦隊の次の作戦まで狂わせてしまった台湾沖航空戦の発表は、おそらく『デマ戦果』の横綱格であろう」と書いている。
 つまり、我に不利になった場合に、誇大戦果が発表されたのであったが、そうすると今回の朝日の『11万人集会』報道も、不利になりつつある主催者側の「大本営発表」だと位置づけることが出来そうである。いずれにしてもこの新聞社は、国民を欺く宣伝に、戦中も今も一生懸命協力しているということになる。そしてやがて帝国陸海軍は消滅したのであったが、「大本営発表の真相史」的に考察すれば、この新聞社の消滅もそれほど遠いことではなさそう、ということになろうか・・・
 勿論、この虚報を大々的に報道した現地新聞社と、それをそのまま書いて宣伝したノーベル賞作家は、事実が教科書で否定されると全ての論拠が崩壊するから、懸命に抵抗するのはよく理解できる。しかし、真実は隠せないだろうから、本当にお気の毒なことではある・・・。

大本営発表の真相史 (1970年)

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大本営海軍部 (文庫版航空戦史シリーズ (21))

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