原稿を2本提出し終わり一段落。書いたのは中台関係ばかりだが、2008年危機が言論界にも少しは現実味を帯びてきたからだと考えるべきか?
中台危機問題の処理を誤ると、北東アジアの不安定要素が増し、必然的に我が国周辺の軍事的バランスが逆転する可能性があるのだが、我が国の国会論議を見ているだけでは政治家たちにその感覚は伺えない。8日の産経新聞『正論』欄に、中嶋峯雄・国際教養大学長が『中台衝突回避へ日本は何が出来るか』と書き、今日の「正論」欄には、クライン孝子女史が「日本人はテロにもっと敏感に」「特措法の取り扱いは重大な試金石だ」と書いているが、そんな中、民主党の小沢代表が、今度は自衛隊をアフガンに派遣する・・・と言い出した。
雑誌「世界」11月号に寄稿した論文に「アフガニスタン本土に展開する国際治安支援部隊(ISAF)へ「政権をとったら自衛隊を派遣したい」と書いているという。早速民主党内でも侃々諤々の論議を呼んでいるようだが、この方の頭の構造はどうなっているのだろう?
たまたま週刊文春10月18日号に、防大後輩の金田元海将が「『特措法反対』小沢代表よ、『掃海艇派遣』をお忘れか」と題して、17年前の湾岸戦争の時に、自民党幹事長であった小沢氏が何をしたか、と当時海幕防衛班長として『掃海部隊派遣』の実務を担当した体験を書いている。
「小沢氏は、政権奪取のために『変節』したのか。かって政権中枢にあった時の小沢氏は、自衛隊による国際貢献に最も積極的かつ柔軟な姿勢を見せていたというのに」とあきれているのである。
「殿!御乱心!?」か?
ある元政治記者は「彼のやり方はめちゃくちゃに見えるが、案外民主党分裂の仕掛けかも・・・」と言ったが、政治の素人の私には実際は分からない。しかし、彼が今まで色々な政党破壊工作を実行してきたことだけは歴史的事実?であろう。今回の発言は、政権奪取姿勢を示しつつ、実は自民・民主内の右派?連合による再編成を狙うのか??ゴーストライターが誰かは知らないが意味深長ではある・・・。
アフガンであれイラクであれ、政治家には現場を見てからものを言ってもらいたい。それも護衛無しで実際の現場を!である。
たまたま横浜国大生がイランでつかまったようだが、彼ほどの「蛮勇?」は政治家にはないだろう。この件で政府は困惑している様だが、私がいつも不思議に思うのは、彼のように自分勝手に“危険地帯に旅行”して災難にあった国民を、政府は全力で救出?するといい、意思に反して国内から工作員達に“拉致された国民”は放置する姿勢である。
これを見るだけでも、現代日本はなんともいい加減な“近代国家”だが、これも軍事軽視のツケから来ていると私は思う。一歩外に出てみるが良い。一見平和そうな情景の裏には、軍事的対立とテロの危険が隠されている。温室育ちの日本人がそれに気がつかないだけである。
横国大生一人の命は「地球より重い」のだろうから、ダッカ事件で巨額の税金をテロリストに「供与」した父と同様、息子さんもそうするのだろうか?首相は昨夜「人命尊重という立場で、一日も早く取り戻したい」と語ったそうだが、北朝鮮に拉致された被害者の御家族にもそう言ってもらいたいものである。30年以上も放置され続けているのである!
他方、イラン武装グループに捕まった横浜国大生の御家族一同は、無知な息子の不始末は、本人と家族の名誉のためにも、家屋敷を売ってでも個人で負担すべきだ、というのは言いすぎだろうか?
まあそれはともかく本論に戻るが、病気の指導者が政権をとったときの国民は不幸である。
「現代史を支配する病人たち(P・アコス【作家で医療担当記者】:P・レンシュニック【内科専門医】共著・須賀葉子訳=ちくま文庫)には、F・ルーズベルト、ウイルソン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、はじめ、ヒットラー、ムッソリーニ、レーニン、スターリン、ブレジネフ、周恩来、毛沢東などなど、世界の指導者達が抱えていた病状について、詳細な実例を挙げて分析している。訳者あとがきの冒頭に、須賀女史は「本書は1976年12月、パリ、ストック社より刊行された本の全訳である。権力者というものに対する一般のイメージを打ち砕き、世界政治の動きを医学の視点からとらえることによって、現代史に従来と全く異なった側面から肉薄し、更に法医学的な社会問題をも提起した。この多彩でユニークな書は、読者に新鮮なショックを与えずにはおかない。1977年、フランスでかなり長くベストセラーを続けたのも、最もだと思われる」と書いている。これは1978年5月に新潮社から出版されたものの改訂版だが、現役時代にこれを読んで私はショックを受けたものである。
健全な精神は健康な肉体に宿るといわれるが、病気の総合商社に近い御老体が、二十四時間休む暇なく政界の裏表の諸行事?に引き釣り回されるのだから、健康管理が如何に大切か言うまでもあるまい。その上、金の取り扱い責任もある・・・
以前DVDで「24」を見たとき、米大統領の激務の一部が理解できた気がしたのだが、「24」シーズン6では更にその場面が効果的に挿入されている。たまたま昨日は、家内と共に「ラストキング・オブ・スコットランド」というDVDを鑑賞したが、これはアフリカ・ウガンダのイディ・アミン大統領の私設医師であったスコットランド人医師の体験を元にしたものだそうだが、キチガイに刃物とはよく言ったもの、狂人が政権をとったときの悲劇が、戦慄を持って伝わってくる。
アフリカに限らず、カンボジアでもそうだったし、現実においても北朝鮮やミャンマーもそれに近いかそれ以上だろう。幸いなことに我が国では、天皇が象徴として存在されるから、狂った政治家が出たとしても、うまく悲劇は回避されてきた様に思う。しかし、今後は分からない・・・。
「現代史を支配する病人たち」を適時適切に診察する機能が確立されていないからである。
先月、生真面目だった安倍晋三前総理は、体調不良で自ら去った。しかし今後はどうだろうか?政治状況を観察していると、何と無く不安である。まさかアミン大統領のような事態はあるまいと思いたいのだが・・・
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