軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

このままでは日本が危ない!?

 福田首相と小沢代表の会談以後、政界・マスコミ界は「大連立」で大慌て、議員諸侯も落ち着かない様子だが、TVなどで見る限り、物事の本質を見失っているように見える。特に今朝の「日曜討論」を見る限り、浮き足立った民主党内の矛盾は一掃深まっている様に思われる。
 先日「私らはアイヌ(民族)の血を引く蛮族だ」と発言し、あわてて撤回した山岡賢次国対委員長(民主)の「インド洋における海自艦艇の給油活動支援以外にも、方法があるはずだ」という意見は、町村官房長官から逆に質問されていたが、軍事作戦が必要なときは、民間人が活躍できる場がないことは世界の常識である。戦争(軍事)は政治の延長だという認識が欠如しているからこんな発言が出るのだが、各国が軍事作戦を遂行中に、日本だけが「民間会社」などを支援に差し出すと言い出したら、「日本だけが戦後復興で旨い汁を吸おうとしている」と解釈されのがオチである。
 その上、小沢代表は「テロ特措法審議」には反対するものの、「自衛隊海外派遣を随時可能とする恒久法制定」には前向きだという。では海自部隊の活動は認めていることになるから、そのまま延長させておいて善後策を審議すればよいではないか。その矛盾を衝かれると、菅代表代行は20万ガロン“事件”などを持ち出して煙幕を張っているが、その態度はその昔、社会党という政党が「だめなものはだめ!」とヒステリーを起こしていた状況と瓜二つである。
 
 ところで、今でも我が家周辺の道路の壁には「このままでは日本が危ない!」と大書された小沢代表の顔写真入のポスターが貼られているが、「このままでは民主党が危ない!」と書き換えた方がよさそうである。菅代表代行は司会者はじめ、大島理森自民国対委員長の質問をよく聞いていないのか、それとも指摘されたようになにも理解していないからか、頓珍漢な答弁に終始していたが、これじゃ先行き不安である。
質問ははぐらかし?自分の「得意分野」である瑣末な問題を語るのだから、司会者はたまらなかったことであろう。こんな方々が指導している民主党は、多分、早ければ年内にも分裂?するかもしれない。小沢代表の「カリスマ性」は失せ、トロイカ方式?のお三人の能力にも限界があるように見受けられるが、もともとこの党は極右から極左までの、いわゆる「蛮族?」の集まりだったのだから、空中分解するのも自然の成り行きだろう。
 万一そうなれば、参院の勢力分布は大きく変わる。ねじれ国会現象も失せて、福田政権は一息つくことになる。“解散・解散”とマスコミは騒ぐが、衆院が解散しても現状は不変なのであって、問題は参院にある。こんな「政治闘争」を見ている国民の中には、一時の反自民的行為が、自ら天に唾する行為だったと反省しているに違いない。少なくとも今後6年間は「分解」しない限り参院はこのままの勢力が続く。
 絆創膏大臣とか、事務所経費問題大臣などなど、反安倍勢力に加担するマスコミなどによって、次々にあぶりだされた不適格大臣問題に嫌気が差した有権者の多くが、だらしない自民党政権に愛想を尽かし、一時的反自民行為をとった結果がこのざまである。戦後レジームからの脱却は10年ほど遅れた、といわれるゆえんである。
 何度も書いたが、ナチスヒトラーはそんな薄っぺらな庶民の空気を読んで政権を奪取した。第一次大戦に敗れて巨額な賠償を請求され、国民の不満が溜まっていることを察知したヒトラーの見事な作戦であったが、その結果はどうなったか!戦後ドイツ国民は皮肉にも自ら選んだヒトラー政権の罪をかぶって、塗炭の苦しみを味わうことになったではないか。
“密室?”での党首会談の結果、国会議員は珍しく「緊張」している。これは馴れ合い政治が続いた今までよりも「良い事」だが、問題は「国益」を忘れ、自己保存に汲々としているところにある。
 更に悪いことに、報道ではこの裏にマスコミ人が関与しているという。これまた何が狙いなのか、聊か気にかかる・・・。
 後は政治評論家に分析をお任せするが、いっておきたいことは、こんな問題が出てきて、世界中から顰蹙を買う根源は「現憲法にある」ということである。諸悪の根源は現行憲法にあるのであって、今まで小手先だけで問題を回避してきたことにある。
 つまり、人体にたとえれば、既にこの国は末期がん状態に陥っているのである。その巨大ながん細胞が、今回の騒動(手術)で旨く撤去できるか否か?そういう意味ではまさに「このままでは日本が危ない」のである。福田先生はどんな切開手術を計画しているのか・・・

 ところで、もう一つ、この国が危ないことの証明が、今朝の産経新聞9面の「紙面批評欄」に凝縮されている。「規範意識崩壊・直視の記事を」という、藤竹暁・学習院大教授の一文である。
 これは新聞ニュースの批評欄なのだが、「守屋前防衛事務次官喚問」「大連立」記事はもとより、「もっと気がかりなのは、日本社会に巣食う病巣の深さ」であり、「現場で汗をかいている時にゴルフ・・・自衛官ら許せない」は読者の気持ちを反映させている。どうしてこんなに不祥事が続出するのか。・・・『週刊朝日』の広告を見て旨いと思った。『国防より欲望[防衛省崩壊]』。だが、うまいなどといっていられる事柄ではない」「今や日本社会のあらゆる領域で規範意識が崩壊の危機にある。社会の病巣は摘出しなければならない」として、厚労省の薬害肝炎問題、山田洋行問題、赤福比内鶏偽装問題など、「道義が地に落ちた日本社会の告発」を要求しているが全く同感である。
 とにかく厳正な“公僕”である筈の官僚の不祥事は目を覆うばかりであるが、魚は頭から腐るという。社会の病巣摘出はまず政界から、というべきか。

 明日は恒例のチャンネル桜の収録(23時から24時までスカパーチャンネル[241]で放映)、井上キャスターと“防衛漫談”をするのだが、時期が時期だけに気が重い。
 明くる6日夜は拓殖大学文化研究所の公開講座で[自衛隊は祖国を守れるか]の題で講話するのだが、参加者の質問は概ね想像がつく。
 この連休は、ため息が出る毎日である。

憲法九条は諸悪の根源

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