軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

『狂った裁判官』!

 いやはや驚いた判決が出たものだ。いわゆる「沖縄集団自決訴訟」で、大阪地裁の深見敏正裁判長は、大江健三郎著「沖縄ノート」に「記載された自決命令は直ちに真実と断定できない」としながらも、「(命令の)事実については合理的資料や根拠がある」と認定して、原告側の請求を全て棄却した。
 産経新聞は「主張」で「論点ぼかした問題判決だ」と書いたが、そんな生易しい問題ではあるまい。この裁判での最大の論点は、渡嘉敷島座間味島に駐屯していた日本軍の守備隊長・梅沢裕元少佐と元渡嘉敷島戦隊長の赤松元大尉らが、住民に「集団自決を命じたか否か」であった。判決はその点を曖昧にしたまま、深見裁判長は「多くの体験者が手榴弾は自決用に交付されたと語っている」「第32軍は防諜を重視し、渡嘉敷島では部隊を離れた防衛隊員の島民を処刑した」「日本軍が駐屯しなかった場所では自決がなかった」などとして軍が自決に深くかかわった、と認めたのである。この程度の裁判なら、単なる戦闘機乗りであった私でさえも下すことが出来る。
 沖縄勤務時代、あるご老人が「夜陰にまぎれて島に上陸してきた本島の防衛隊員の青年が『米軍が上陸する前に那覇に引き上げよう』と身内に勧めているのを見た島の青年達が、『お前は米軍のスパイだ!』とよってたかって撲殺したこともあった」と私に『語った』ことがあったが、戦争という狂気が支配する中で起こりうる話だ、と私は思っている。「戦後、兵隊さんが殺したことになっているが、そうではない。みんな殺気立っていたさ」と言ったご老人の言葉が忘れられない。
 産経は今回の判決を「司法の使命放棄」と書いたが同感である。どうも最近の裁判官は、法に基づく「正義」で判断せず、マスコミの動向や個人の出世?を元に判断している気配が感じられる。彼らも元はといえば「公務員」に過ぎないから止むを得ない?のかもしれないが、それでは国民が困る。
 終戦直後、「闇米」は違法だとして、自ら法に殉じた佐賀県の判事がいたが、それに比べると今の判事はサラリーマンのようである!こんな判事に裁かれるのでは原告側は怒り心頭に発することだろう。
 今やいたるところに氾濫する「殺人事件」に対する判決も、被害者は無視して、加害者に同情的な判決が目に付く。夫をばらばらにして殺した若妻の「精神状態」は“心神喪失”だったのだから極刑は無理だそうだが、人殺しが「平常心」で行動するのだろうか?一度裁判官に聞いてみたい。何の罪もないよき夫、よき父親が、ある日突然刺し殺されたり、ホームから突き落とされて殺害されても、犯人は「心神喪失」「受験に疲れていた」「進学したかったが望みがかなわなかった」「周りから疎外されていた」などという理由で刑が軽く済むというのであれば、善良な国民は「重武装」して「心神喪失者」からの「闇討ち」に備えなければなるまい。仮に私の家族がそんな目にあったとしたら、私は必ず「敵討ち」をする覚悟でいる。犯人が刑務所に入ったら、私もそこに入って「敵討ち」の機会をうかがう。まるで映画モドキだと笑われそうだが、判事諸侯には森鴎外の「護持院が原の敵討ち」を読んで欲しいものである。父親を殺された長男は敵討ちに疲れて離脱するが、長女は忘れない。洋の東西を問わず、敵討ちは近世まで合法であった。軍人としての名誉を踏みにじられた原告側の怒りはどこに向けられるべきだろうか。
 今回は下級審であり、まだ高裁や最高裁があるが、梅沢元少佐は91歳である。この世に正義はないものか!と悔しい思いをしておられるに違いない。
 現役時代、判事になられた先輩から、裁判所の実態を聞いて耳を疑ったものである。「人権」「少年法」「マスコミ」などが大きく影響して事勿れに徹するものが多く、多数決である以上、一人正義感を貫くことは困難だったというのである。
 いわゆる「南京大虐殺」の「百人斬り裁判」も、今回の裁判も、戦後半世紀以上たった今でも帝国陸・海軍は諸悪の根源だとする「東京裁判史観」、占領直後の「米軍の謀略戦」の影響下にあることの証明である。いつまでこんな「自立心のない」状態を続けるつもりか?
 今回の表題「狂った裁判官」とは、広告に掲載した本の表題である。勿論、真面目な判事が大多数であると信じるが(信じないと生きていけないから・・・)、この本には国民が知らない実態の一部が赤裸々に書いてある。新書版で読みやすいから、是非とも御一読をお勧めしたい。我々庶民が知らない世界で、恐るべき「何か」が進展していることに気がつかれるであろう。

狂った裁判官 (幻冬舎新書)

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