軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

治に居て乱を忘れず!

 昨日は、史料調査会の研究会に出席した。岡崎研の同僚、金田元海将による「日本の弾道ミサイル防衛の現状と問題点」というもので、「弾道ミサイル防衛に関する政策課題」という13項目は時間の関係で省略されたが、戦略の不確定、集団的自衛権の行使もままならず、専守防衛、武器輸出三原則、秘密保護体制、国民保護、防衛基盤維持、財政基盤確保など等、これこそ日本防衛上のこれからの大きな問題点だと思う。
 恒例の田尻会長による4月から5月にかけての「世界軍事情勢」は、中東、アフリカなど等、混乱が渦まいていることを示しているが、今月の世界情勢についての田尻会長のまとめ(所感)を掲げておくことにしたい。
[米国は、テロ壊滅作戦に手をとられ、落日のブッシュ政権の影響力は低下。
それに反し、ロシアはソ連邦崩壊10年を経て、見事に復活。近代的軍事、技術大国を目標に、強力な2頭体制を確立し始動開始。
隣国中国は、国防費を20年間二桁増を続け、アジアのリーダーを目指し、海空戦力を増強。
これからの21世紀、アジア・太平洋地域は、米露中3軍事大国の勢力争いの場と化す。
我が国は、現政権発足以来、ねじれ国会と内政問題に足を引っ張られ、重要な安保、防衛、外交問題が全く棚上げ状態。
国益、領土領域の解決には、強力な軍事力的背景なくしては困難なことは常識。世界の現実を直視し、国の基本的政策のあり方、姿勢、熟考決断の時!]

 会合終了後、今度は新宿に出向き「戸塚校長の談話会」に出席した。戸塚校長とはいうまでもなく戸塚ヨットスクール校長・戸塚宏氏のことである。主催は戸塚ヨットスクールを支援する会で、60人ほどの参加者が約一時間半、熱心に談話を聞いた。
 会議室に「文武両道」と書かれた額があったのが印象的だったが、最初に元鎌倉市会議員で、80歳を越えられた伊藤玲子女史が、恐るべき「ジェンだフリーの実態」について、幼い子供達が「性の犠牲になっている現実」を報告、何とかしてこれを止めないと、日本がだめになると切々と訴えられた。
 戸塚氏の話は、教育論なのだが、実践が伴っているので実に説得力がある。「体罰は悪だ」という今の日本の一般的風潮を厳しく批判されたが、自衛隊の実践的教育、とりわけ私が4年4ヶ月も携わったパイロット教育は、頭で考えても技術は身につかないから、身体で覚えさせる。
 自分で克服しないと進歩しない、ということはパイロットになれないことだから、学生は懸命に努力する。努力の方向が間違っていると、それは「死」につながるから、教えるほうも教えられるほうも真剣勝負である。
 そんな体験を持つ私には、戸塚氏の言は当たり前のことであり、よく理解できるのだが、これがお役人になるとそうはいかないらしい。
体罰は悪か?」と問うと「悪だ」と一様に答えるが、その理由は「死に至ることがあるからだ」という。氏はそれは「ソフトの問題」であって「体罰そのもの」が悪である事にはならないと説明するが、なかなか理解してもらえないという。とにかく自ら確かめもしない「受け売り」なのだから話にならない、という。
 それはそうだろう。つまり教え方、体罰のやり方に問題があるのであって、「体罰」が悪いということになる筈がない。戸塚氏はこれを交通事故に例え、「交通事故は車が悪いというに等しい。悪いのは車ではなく運転者なのだ」。そして「若し車が事故の原因だったら、車の生産者は厳罰に処されるべき」ということになる、と至極当たり前のことをいう。そのほか、仏教と科学、理性と本能、性善説性悪説など等、これほど分かりやすい解説は珍しい。
 いずれにせよ、戦後米国が示した教育指示、それを受けて人間性を軽視した教育を実施した日教組の目的は、日本人の「徳力」の低下にあった、というのは同感である。

 会議が始まるまで時間があったので、歌舞伎町を久しぶりに“徘徊”したが、異様な雰囲気には圧倒される。路地裏の飲み屋街の混沌とした中に市役所があり、得体の知れないスナックやマッサージ屋が林立する中に市民会館や神社がある。神様も辟易して?いるのではないか?
 原宿界隈も酷いが、そんな中で「防衛論」や「世界情勢」、はたまた「教育論」の会合が行われているのだから、何をかいわんや、なんとも虚しく情けなくなる。
 若い男達が、若い女性と見ると寄ってたかって話しかけているが、昔はこれを「ぽん引き」といった。こんな青年?達が大人になったとき、どんな人相の「年長者」になるのだろうか?いやはや・・・

 ところで中国・四川省の大地震の犠牲者は5万人を越えることになりそうだという。被害者達の不満が、中央政府に対する不満に変化しつつあるそうだが、温家宝首相が二人の少女を抱えている写真(夕刊フジ掲載)のポーズは、ピョンヤンの誰かの銅像に似ているが気のせいだろうか?
 巧みな筈の中国政府の「宣伝工作」も、今回は実に下手だと思う。これじゃ、政府の自己弁護・役人の汚職を隠すための演技だと批判する者がでてくるのは仕方がないだろう。

南京大虐殺」報道に見られる画像処理や、捏造等、世界を騙してきた手法も、自国民の目はごまかせないのだろう。宣伝工作の「プロ」にしては聊かマンネリに過ぎるからか?
 何はともあれ、コメントにもあったように、明日はわが身と考え、我が国でも備えを厳重にしておくべきだろう。我が家では、一応水も食糧も、乾電池や野外炊飯具も、それなりに確保はしてあるが、実際に起きてみなければそれが役立つかどうかは分からない。

 今年の私の年賀状で“予言?”した様に、2008年は政治的観点でも自然界的観点からも「危機」が多発するときである、と思われる。

「治に居て乱を忘れず!」政府がどうであれ、結局は国民自身の対応、自ら身を守る意欲が基本であることは、阪神淡路大震災でも、今回の四川省地震でも明白になった。
 私の名前は、臨済宗第83代達磨大師、間宮英宗禅師が「身を守り、家を守り、国を守る、よって守ると名づくべし」とのことで「守」とつけたと父の日記にある。
 国の守りは卒業?したから後は身と家を守るだけ!万一の時でも「墓」は立ててあるから安心ではある・・・

 明日は大阪で「流動する国際情勢と我が国の安全保障」と題して講演する予定。久しぶりの大阪、国を憂える同志に会えることが楽しみである。

性教育の暴走

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「中央宣伝部」を討伐せよ!

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