軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

入院日記 第一幕「地獄篇」

【登場人物】
1、 院長(内科医)
2、 外科医(手術担当医)
3、 老女(私の左側に入院中の老女。年齢など不詳)
4、 看護師=A・B・C・・・
5、 家内
6、 私

【場所】某市内の個人病院:ベッド数約60
1、 病院の建物は鉄筋コンクリート4階建て。1階は外来、2階は検査部門、3階が緊急患者用フロアー、4階は一般病室
2、 緊急処置室(薄いカーテンで仕切られたベッド数4、中央に二十四時間勤務のナースセンター)
3、 中央の緊急処置室とナースセンターを取り巻く廊下の外側に病室があるようだが、詳細は不明

日課
午前0600=検温・採血・検査開始
  0730=食前薬
  0800=朝食
  0830=食後薬
  1130=食前薬
  1200=昼食
  1230=食後薬

午後1300=面会時間開始
  1400=検温

  1730=食前薬
  1800=夕食
  1830=食後薬
  2000=翌日の予定検査説明:面会時間終了
  2200=就寝:消灯


家内が帰った後は、ただひたすら点滴棒を見上げるだけ。
頭の中は依頼されている原稿3本と、その後の会合予定で一杯。断るか締め切りに間に合うかは退院がいつできるかにかかっていることを認識。

私の主治医である院長(内科医)が来て「出血していたようで、早く処置出来てよかったですね」と笑顔で話しかける。4月の時点で急性十二指腸潰瘍と診断され、院長に入院と言われたが、講演会などスケジュール一杯なのでこれを断り、投薬で処置して欲しいと御願いした不明を詫びる。
外科医が来て処置状況と今後を説明。

私「いつ頃退院できますか?」
外科医「状況次第ですが、少なくとも十日か2週間は入院してもらうことになります。ゆっくり静養してください」
私「えっ、そんなにかかりますか?約束事が多いので何とか今週中に出たいのですが・・・」
外科医「・・・(笑って答えず)」

これは「想定外」だった! 今週中に出さねばならない原稿2本はお断りし、もう一本の締め切りは来週だから何とか間に合うか?約束だけは破りたくはない。

しかし、冷静に考えてみれば、その内の2本の原稿料は無料!家内が言ったとおりだ。確かに原稿を書くことは、大いに個人的勉強にはなるが、体力の消耗は大きい。
「家内の“訓示”どおり、この際次回に回すことにしよう」と決心。明日連絡することにする。これで少し気が軽くなる。

看護師が点滴を取替えに来た。二つのうち一つは「KN補液3B:500ml」とあり、栄養剤らしい。昔風にいうと「ブドウ糖液」か?

私「看護婦さん!(と呼びかけて、最近は看護師というのだった、と反省する。しかし待てよ?隣の老女はじめ、この病院では誰も『看護師さん』とは呼んでいない。みんな『看護婦さ〜ん』である。しかも彼女達もそれを認めている!。そう考えつつもうひとつの液の正体を聞く)それは何ですか?」
看護師「これは潰瘍を治療する薬です。交互に点滴しますから我慢してくださいね」
私「液が無くなる前に必ず交換しなければならないのだから、看護婦さんも大変ですね」
看護師「そうですね、でも無くなっても絶対に空気は入りませんから安心してください」

それはそうだろうが、打たれている方としてはいい気持ちはしない。
鉄の扉が開いてやや騒がしくなる。夕食の時間らしく、配膳係のおばさんたちが食事を持って入ってくる。
私の右隣の老女と、一番奥の老婦人に配膳すると出て行った。

私と左隣の老女は勿論「欠食」である。私はやることもないが老女は「お〜い、看護婦さ〜ん、痛いよう」などと休みなしに叫んでいて、とにかく煩い。
あまりに「看護婦」を呼ぶので、ナースステーションに誰もいないのかと思って私の「コールボタン」を押すと、看護師が駆けつけてきた。
看護師「どうしました?」
私「お隣が呼んでいますよ」
看護師、隣に行くと「又はずしている。点滴はずしちゃだめだといったでしょう。あ〜あ、酸素もはずしている。もう止めてよ!」と嘆く。
老女「いやだ!苦しい!取ってよ。ダメ?どうして?」
看護師「どうしても。助かりたいんでしょ?だったら言うとおりにしてよ。御願いだから」 
やっと処置が終わると私のところに来て、点滴を点検しながらこう言う。
看護師「お隣のおばあさん、煩いでしょう?すみませんね。少しアルツが入っているものですからなおさら・・・あっ、こんなことは“個人情報”、言っちゃいけないんですよねっ。ですから気にしないで休んでいてください。部屋が空いたら移動できるでしょうからそれまで我慢して・・・」
“ナースコールボタンを押して教えてくれなくても結構です”という意味らしい。
国民の生命を守ることに精励して34年、その癖が抜ききれなかったようで、私はつい余計なことをしてしまったらしい?!     (続く)

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