軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

対馬深刻!・自民議員団

 今朝の産経は、連載「対馬が危ない」の三回目(最終回)をトップに据え、その脇に自民議員団が「28日に緊急会議」を開くと報じた。
 宮本記者は「対馬島民は、日本から見放されていると感じ、孤立感でいっぱい」
 今までは離島振興法で潤っていたが「小泉改革で、公共事業が削減され建設業は倒産が相次いだ」
 経済状況の悪化で「毎年1000人前後が離島、一時は7万人あった人口も年々減少し、今では3万7117人(今年7月現在)」と過疎化を憂えた。

 更にホテル経営者は「それぞれマナーが違うのだから、マナーが悪いといっても仕方がない。それより一日一万円でもいいから落としてもらったほうがいい」と背に腹は替えられない事を訴え、「財部市長は『少なくとも国境に面した島については、安全保障の点からも外国資本による不動産買収を認めない除外規定等、実効支配につながることを防ぐ手立てを設けるべきだ』『日本人の国境に対する感覚は極めて希薄。対馬の資源を生かした新たな産業を興すなど、国境に面した島を守る施策をとるべきだ。これが国境を国土として国が守っていくことになる』と“防人の島新法”の成立を訴える。駐留する自衛隊の増強も一つの手段だ」
「島民からはこんな声が聞こえてきた。『韓国によるリゾート化は、密航組織に利用される懸念がある上、有事の際にはゲリラの潜入さえ可能にしてしまいかねない』韓国資本による対馬攻勢は激しいスピードで進んでいる。残された時間は少ない」と結んだ。


 昭和58年秋、当時西部航空方面隊の防衛幕僚であった私は、防衛計画策定上対馬の現地視察をしたが、レーダーサイトに勤務する隊員たちの福利厚生もお粗末、若い隊員たちが九州本島へ『外出』する船便も極めて不便で、不公平であることに驚き、高級幹部の現場部隊視察が如何に“表面的”な観光旅行に終始していて改善施策に反映されていないかを痛感、司令部で報告して早速改善に取り組んだものだが、そのとき土地の女性と結婚していた下士官が、くまなく島内を案内してくれたことを思い出す。
 韓国側に向いた入り江は、人跡未踏な場所が多かったが、見下ろすと『豪邸の屋根』が見える。これらの邸は現地では『麻薬御殿』と呼ばれていて、船での出入りは自由だから海上で日本のヤクザと取引しているのだという。まさに『無法地帯』の感があったが、海上保安庁の全職員数は僅かに12000名だから、手が回らないのだという。

『韓国によるリゾート化は、密航組織に利用される懸念がある上、有事の際にはゲリラの潜入さえ可能にしてしまいかねない』という島民の心配はその頃からあったのだが、県も国も『放置』してきたツケが出てきたのだろう。拉致事件だって、この実態を見れば十分警戒できた筈であった。
 島には『監視業務』を主体とする3自衛隊の小部隊が駐屯したが、福利厚生もままならぬ中で、上下水道も不備なひなびた官舎ではご婦人方が子供の教育と、生活の不便さにひたすら耐えつつ『夫』の任務を支えていたのに感動したものである。


 対馬問題について麻生総理は『(韓国人は)土地は合法的に買っている。日本がかって米国の土地を買ったのと同じで、自分が買った時には良くて、人が買ったら悪いとはいえない』などと述べたそうだが、少しおかしいのではないか?
 バブルの時、日本の成金達は意図的に『米国の軍事施設周辺』や、国境地帯、港湾地区の土地を買い占めたのかどうか?
 宮本記者のレポートには、韓国人が仲介して中国人に売り渡している、との記事もあったが、その場合にも『合法』か?
 いや、勿論『非合法だ』という気はないが、安全保障上の観点から、国が何らかの規制をしておかしくはなかろう。いやすべきである。

 今や中国の食の危険が問題になっているが、これも『自由貿易』『利益目的で商社などが中国で生産し輸入することまで止められない』というのだろうが、少なくとも「毒物・不合格製品」は輸入を禁止すべきだろう。その機能も十分に働かないのに、全て「合法だから」と見逃しているから、自己防衛に懸命な主婦達は中国製品の不買に走り、結局日本企業が倒産する。いや、少なくとも中国は、江沢民時代に『反日』で燃え上がったお国柄、そんな国から『国民が口にする』食品を輸入するということ自体が、食の安全保障のみならず、国家安全保障上由々しき問題ではないか?と私は考えている。
 中国に限らず、敵対国に日本人の生殺与奪の権利を与えることになるからである。しかも食糧という性格上、いつでも日本人の『生命』をコントロールできる、つまり長期にわたって日本人の健康を徐々に失わせ、闘う意欲を減退させることを意図することができるではないか。
 よく推理小説のネタになっている「トリカブト」や「砒素」による“計画的な殺人”事件を思い出すが良い。

 とまれ、自民党議員連盟「真・保守政策研究会」(中川昭一会長、70人)は宮本記者の連載を見て緊急会議を開催し、検討することにしたようだが、良いことである。

 昨日都内で行われたあるパーティで、国会議員が「国会会期中なのに国会はガラガラ。たった34名しかいない 自民党は24人民主党はたった4人、残り6人でほかは皆選挙区に帰っている」と嘆いたそうだが、これが今の国会議員の実態である。
 何のことはない、彼らにとっての「選挙」とは個人的な「就職活動」なのである。こんな連中に「国家安全保障」等、とても任せられないと思う。

 宮本記者には次は沖縄を取材し、離島の置かれた状況をつぶさに報道してもらいたい。まず、日本人が「上陸できない」尖閣諸島問題。ついで、宮古島に隣接する、航空会社の巨大な不良資産である「下地空港」問題、ここに戦闘機部隊を配備すべきだと私は考えているのだが、宮本記者の見解が聞きたいものである。
 いまや友邦だった台湾も国民党支配下に入り、尖閣は台湾のものだと叫んでいる!
 迫りつつある南西方面の危機に如何に対処すべきか、について独自なレポートを期待したい。

海の国境線―対馬の表情 (1954年)

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