軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

高橋尚子選手・引退

 2000年のシドニー五輪で金メダルを取った高橋尚子選手が引退した。「精神的、肉体的に限界を感じた」というが、「細腕繁盛記」ならぬ若い女性が、42・195Kmもの長距離を2時間19分19秒で駆けぬけるのだからただただ感心、感動したものである。
 現役時代に毎年行われる「体力測定」では、50Kgの土嚢運搬や、短距離は得意だったものの、1500m徒競走はいつも「体力の限界」で、5分40秒から6分ぎりぎりという有様だったから、42キロもの長距離を黙々と走りぬく選手たちの身体構造はどうなっているのだろう?と不思議ささえ感じたものである。
 私には決して達成できないだろう偉業を平然と成し遂げた高橋選手を尊敬し、心から「ご苦労様」といってあげたい。
 会見で彼女は「限界まで挑戦できた意味では陸上人生に悔いはない」北京五輪で「38歳のトメスク選手が優勝したということには、頭が下がる思い。『自分も』と思ったが、思いだけでは立て直すことは出来なかったのも事実」と語ったが、努力してきた彼女だから言える言葉だろう。
 産経には北京選考レースを兼ねた名古屋大会で27位になった彼女が、ひざの手術を受けていたことを明かした時、「『(出場には)よっぽど大金をもらったのかね』と心ない女性タレントにまで毒づかれたのは悲しかった」とあり、「これまでスポーツビジネスの世界で彼女を持ち上げ続けた」が「これからはスポーツマネジメントの領域で彼女の持ち味を生かし、マラソンだけでなくスポーツ全体の価値を高めるために活用して欲しい」とかっての名ランナーの宇佐美彰朗氏は語っている。

 父親の良明(67)さんは「長い間、よく頑張った。人生を80年とすると、尚子の人生は半分もたっていない。まだ午前11時ぐらい。これからのことはじっくり考え、ゆっくりと人生を歩んで欲しい」と労ったとあるが、父親の気持ちがこれほど良く表現されている名言はないだろう。
 爽やかに現れ、爽やかに去りゆく名ランナーの今後の人生が充実したものであるよう祈りたい。お疲れ様でした!


 さて、イージス艦情報漏洩事件に対する横浜地裁の判決が出たが、「海自隊員の高度な軍事機密に対する保全意識の欠落を指摘」し、「第3国に渡った場合には、日本の安全を害する恐れすらあったもので、その結果は重大である」と裁判長は述べた。
 産経「主張」欄は、「責任は被告だけではなく、機密情報に対する海自体内の認識の甘さが根底にあったことを反省すべきだ」と結んだが同感である。
「壁に耳あり障子に目有り!」情報合戦は熾烈を極めている。海自のみならず、3自衛隊防衛省、もとより国家全体が、機密情報に関する「認識」を改めて欲しいものである。「保全意識の欠落」は、「日本の安全を害する恐れがある」ことを十分自覚して欲しいのは、自衛官に限らず政治家達も同様であることを付け加えておきたい。


 ところで一面トップに「対馬の危機」問題で、「自民党研究会緊急会議『韓国資本、実効支配も』」「議員団指導・現地視察へ」と出た。
 中川昭一会長(財務相)は、「対馬が日本の安全保障上、これだけ脆弱な状況におかれているとは知らなかった。・・・日本人として看過できない」と語っているが、来月は韓国からも国会議員団が来るらしいから、大いに注目しておきたい。首相のバー通いよりもはるかに重要な案件である。