軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「靴のサイズは10!」

 イラクを電撃訪問したブッシュ大統領は、記者会見でイラク人ジャーナリストから「別れのキスだ。犬め!」などと叫んで靴を投げられた。

CNNが「たった今入ったニュース」として報じたのを見たのだが、隣に立っていたマリキ・イラク首相が1足目に全く反応しなかったのに対して、ブッシュ大統領は一瞬「飛んできた靴」をかわした。2足目はマリキ首相が叩いたが、男が取り押さえられた後ブッシュ大統領は「事実関係を言えば、靴のサイズは10だった」と冗談を飛ばし、更に「フセイン時代では考えられない自由社会を証明する出来事」とも言ったが、ブッシュ大統領以外の要人だったらどう対応していただろうか?と思った。
来月20日に就任するオバマ新大統領は、大統領選で勝利演説をしたとき、防弾ガラスで演台を囲んでいたという。
 インド・パキスタン間の対立に加えて、中東情勢は一段と厳しくなりそうな予感がする。
イラクから撤兵した軍をアフガンに振り向けるというオバマ氏に対して何も飛んでこなければいいが・・・


五輪終了後に各地で騒乱が多発している中国では、どうも中央政府に対して地方政府が従わず「群雄割拠状態」に陥りつつあるように思える。この国の歴史的必然なのだろうが、経済危機が加わった今、胡錦濤政権の舵取りが注目される。
 ところが14日の産経一面トップの「『中国独裁終結』署名」によれば、「共産党一党独裁体制の変更を求めて学者や弁護士ら303人が公表した『08憲章』の第3次署名名簿が13日公表された」が、署名者はこれまでに合計1269人になったという。その上「全国各地の炭鉱労働者、企業経営者、農民、軍人、退役兵士、大学生、失業者など」一般庶民や少数民族にも広がりを見せているという。
来年は3月にチベットの指導者、ダライ・ラマ14世亡命50周年、6月に天安門広場事件20周年、10月の建国60周年を迎える『政治的に敏感な年』である。
その前の春節には、故郷に帰る労働者達の『民族大移動』が恒例だが、今年は大雪で100万人以上の季節労働者が故郷に戻れなかったというから、人民のフラストレーションは高まっている。来年の春節は、これらの季節労働者が『失業者』となって帰郷する事になるから、混乱は避けられそうにない。
 そんな最中に日中韓3国主脳会談が大宰府で行われたが、韓国に対しては『竹島問題』を、中国に対しては『尖閣・ガス田問題』を歴史認識問題とともに率直に抗議してほしかった。しかし、14日の産経『領土棚上げ、ジレンマも』によると、『経済・金融政策を最優先させたことは日中間に横たわる領土や歴史認識問題などの『棚上げ』を意味する。自ら提唱した『自由と繁栄の弧』構想との齟齬も広がりかねず、ジレンマは今後も続きそうだ」という。混乱する国内情勢を「棚に上げて」尖閣を「自国領土だ」と言い放った温家宝首相の演技?はご立派である。

 この記事に続く「金総書記が拉致を認めた理由」という元工作員の証言記事には、「金総書記が日本人拉致を認めた02年の日朝首脳会談直後、統一戦線部幹部用に配布された講演資料に、《拉致を認定すれば日本の政権は北朝鮮に100億ドル(約9100億円:当時は1兆2000億円?)を支払う》と書かれていた」という。
 あの当時、そのような情報が乱れ飛んだが、やはり信憑性があったのだろう。それにしても拉致被害者一人救出できぬまま、既に30年以上経過した。その間、青いリボンや青いバッジは特に政治家達の間に“普及”したが、全く前進しないのはどうしたわけか。
“巧言令色・・・”とまでは言わぬまでも、被害者はじめ、ボランティアが“手弁当で活動する”国は珍しい。経済はじめ、こんな異様な《閉塞感》が国民の間に高まっていることが非常に気がかりである。

 更に北朝鮮では「金日成が死去した時には既に金正日独裁が始まっていた。金正日が死去してもそうした後継体制はない。権力の空白が生じるだろう」という。
 中国に対しても北朝鮮に対しても一派一絡げで非難ごうごうだが、彼らの国の国内情勢を分析すれば、共産政権、独裁体制が「諸悪の根源」なのであってそれが崩壊すれば、情勢は大きく変化する様に思う。「敵の最大の弱点はどこか?」

 2008年も残り僅か、来年の国際・国内情勢もまた「何が飛んで来るか」知れたものではないが、「靴のサイズは10!」と冗談でかわせるようなものであってほしいものである。


ところで21日(日曜日)に、この日は“土曜日”ではないが、次の要領で佐賀市で行われている《佐賀土曜セミナー》で講演することになった。写真、図表など100枚を“一挙公開”する予定なので、時間短縮のための資料整理で忙しい!
この機会に、九州地方の読者の皆様にお会いできれば幸いである。

日時・・・平成20年12月21日(日曜日) 1400〜1600
会場・・・佐賀市天神3丁目 アバンセ
演題・・・「日中安保対話裏話」
     前段:国際情勢の見方
     後段:日中安保対話裏話
入場   無料(どなたでも参加できます)
お問い合わせ (0952)23−5020
        FAX= 23―5049(松永)

また、12月18日発売の「撃論ムック1月号」に、メディアの自衛隊たたきの実情の一部を書いたのでご笑覧あれ!

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