軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

辻井さん一家に学ぶ

 第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝して帰国した、辻井伸行さんの演奏をコメントに紹介されていたインターネットでゆっくりと聞いたが、なぜか涙が出てきた!(インターネットは実に便利なものだ!)
 これを聞いた方のコメントに「純粋, Pure.....彼の心のきれいさが伝わってくる音色です。自然と涙が出るのは何故でしょうか?」とあったので、私だけの感動ではないと思った。


 たまたま今朝のテレ朝のワイドショーで、彼の一家の特集をやっているのを見たが、祖父母(産科医)の上品できれいな人相、そして父親(産科医)のしっかりした人相、母親のきれいな笑顔・・・素晴らしい一家の語らいに、テレ朝であることをしばし忘れて見入ってしまった!

 産科医だけあって、全盲のお孫さんを授かった時のショックは、両親にも増して大きかったろうが、「このような子(障害を持った子供)はどこかに産まれてくる。我が家に授かった以上可愛がってあげよう」と決心し、一家で愛情溢れる育児をしたという。
「なんで我が家にこんな不幸が!、天は吾を見捨てたか!」と思うのが人情なのに、その見事な決心には言葉もない。


 中学生時代には、父親と葛藤があったと伸行さんは笑いながら話していたが、これは人間、特に“男”が必ず通らねばならない通過点である。この通過の仕方で、息子の人生は大きく決定される、と私は体験から感じている。
 しかし、父・孝さんは厳しく躾けたそうで、伸行さんの美しい話し方、言葉遣いを見ればそれは一目瞭然である。
 産科医というプロらしく、伸行さんの将来を見据え、その才能を引き出す工夫をした祖父の眼力もさることながら、子供の将来を思えばこそ、厳しい躾を継続した孝さんの行動力にも脱帽である。

 この「個人が秘めている能力と将来」を考えて、その才能を引き出す役目が両親と教師の役目なのだが、今の教育界(狂育界?)には期待できそうもない。むしろ、伸行さんが「健常者」であったら、こんな世界的ピアニストになっただろうか?全盲だったからこそ「大成した」のではなかろうか?と疑問が浮かぶほどである。
 目が見えるばかりに、見なくとも良い筈の「不健康」で「自堕落な世界」を見てしまうから、子供達は健全に育たないのではないか?とさえ思ってしまう。

“凱旋”した伸行さんは、早速マスコミに追いかけられることになったが、「一日だけ目が見える日があったら、何を見たいか?」という質問に対して、「一番見たいのは両親の顔」と答えたので思わず目頭が熱くなった。
 更に「だけど今は心の目で見ているので満足しています」と付け加えたので 涙が流れだしたが、「親孝行のために早く自立して、良いお嫁さんを見つけて両親を安心させたい」と言ったからもう涙は止まらなかった・・・

「今スタートラインに立ったところなので、これから勉強して自分の音楽を作って行きたいと思います」という謙虚な言葉は、弱冠20歳の青年の言葉だとはとても思えない。


 ところで先日、英国の音楽コンクールで「その容姿と驚異的な歌唱力のギャップが受けて」一躍人気者になったスコットランド地方出身の独身女性スーザン・ボイルさん(48)は、人気オーデション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」決勝で惜しくも優勝を逸したが、「5月31日に極度の疲労を訴えて緊急入院した(産経)」という。「英メディアに追いかけ回されて警官に大声を出すなど、過度に神経質になっており、一時は決勝への出場も危ぶまれていた」そうだから、メディアの寵児になることが如何に“危険なこと”かがわかる。

 特に英国などヨーロッパのメディアは、ダイアナ妃さえもあのような結末を迎えるように追い込むのだから尋常ではない。(日本の一部のメディアもハイエナかピラニア並みだが)
 スーザン・ボイルさんが、その天性の「美声」で英国民のみならず、全世界の聴衆を癒してくれるjことを望んでいるが、辻井さんにも、過度なスケジュールと、メディアの取材などで、体調を崩さないことを祈っている。
 そしてこの“現象”は、まさに天が「傲慢になりつつある現代人類」に「警鐘」を鳴らしているのではないか?と思う。さて、傲慢な人類が目覚めるかどうか?


 ニュース番組などでは見るに?耐えないテレ朝だが、今朝の辻井さん一家を取り上げたワイドショーのような心温まる番組製作を進めれば、2年後のチデジ世界でも何とか生き残れるのでは?と思ったが、これは捏造番組で台湾人を大いに怒らせているNHKに言うべき苦言かもしれない。


 何はともあれ、心が洗われる時を与えてくれた辻井さんご一家に、心から敬意を表すると共にお礼申し上げたい。

 つまらない政官業界のごたごたを見ていると、この国の行く末に希望が持てなくなる毎日だったが、辻井さんの偉業で救われた。一瞬、選挙選挙で頭がいっぱいの「政治屋さんたち」にも、本会議場で辻井さんの演奏を聞いて心を洗い流してもらいたいものだ、と考えたが、それじゃ辻井さんの方が穢れる気がするのでお勧めはしないことにする・・・

のぶカンタービレ! 全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで

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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(DVD付)

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