軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

郵政混乱、こんなことで半島有事に対処できるか!

 揉めに揉めた末に、やっと国連安保理で「対北決議案」が採択された。核実験から既に3週間以上もたっている。これじゃ“有事”に間に合いそうもない!それでもわが国は「国連中心主義」を最優先するのか?

 今回の決議は、米英仏露中の“戦勝国”に、“敗戦国”日本と“開放された”韓国が取りまとめたそうだが、案の定北朝鮮は怒り狂っている。
 今朝の産経は一面トップで北が「ウラン濃縮着手」と報じ、更に「プルトニウム全量武器化」とあるから、北朝鮮は「平和の組織」国連の決議に徹底抵抗するらしい。面白くなってきたが、国境を接している韓国は別にして、日本の政治の混乱はどうしたことか?対策は十分か?


 関東地区の弱小銀行を潰して、関東地区に進出するという巧妙な“搦め手”を使った元関西経済人が、簡保の宿入手も同じような“手口”で手に入れようとしたところ、担当大臣が猛反発、国民は税金を“騙されて使われた”という感覚だから、元官僚たちの不手際を忘れて、大臣対民間社長の対決!とする表面だけの報道に惑わされている。

 郵政民営化の裏に何があったのか、経済人だったらよく知っている筈だろうに、その「説明責任」は放置され、二人の対決を「正義と不義の戦い」でもあるかのように、面白おかしくマスコミは取り上げているだけである。


 それにしても今回の麻生総理の「対応振り」には納得がいかない。決断力があるかどうかの問題ではなく、一国の空軍参謀総長(空幕長)更迭劇に比べての話である。

 あの時は、事の次第を詳細に調べる前に、役人に丸め込まれた大臣の一片の報告だけで即座に“空軍大将”の首を切った。ソマリア沖の海賊退治で苦労していた米国の軍関係者が、「艦艇やP3Cの派遣について御願いしても、のらりくらりと態度が不明瞭な同盟国なのに、今回は一晩で空軍参謀長の首を切った!さすがは“侍の国!”」と驚嘆したそうだが、その後、言論の自由が保障されている国会に大将を呼び出しながら、彼の発言を封じ、NHKも報道しないという民主主義が聞いてあきれる卑怯な振る舞いをした。

 これを見た国民の大多数は「裏に何かある」と感じて、民間人になった田母神氏を呼び、その真意を聞いて初めてことの真相を知り、彼に賛同したから、田母神氏は連日引っ張りだこ。
 それに反して、自民党政府、特に最高指揮官だった麻生首相の人気はがた落ちし始めた。焦った首相は「手打ち」を考えたようだが、時既に遅し!

 
 そんな事案に比べて、今回の鳩山大臣「辞任」劇は、いかにも対応があやふやであった。鳩山大臣は「信念」で行動していたが、首相の方は「選挙対策」で躊躇したのだろう、といわれている。

 鳩山氏は「政治は正しいことを言っても認められないこともある」と述べ、「今回の総理の判断は間違っていると思いますけど、今後は、正しい判断で政治をやっていただきたいと存じます」と語ったそうだが、それならどうして「辞表」を出すことなく、田母神氏のように上から「更迭」されるのを待たなかったのか?そして事と次第では、小判ザメのようにくっついていることなく、自民党から出るべきであった。それができなきゃ、とても信念の人だと国民は認めまいし、裏で取引したな?と思うだろう。
 第一、「政治は正しいことを言っても認められない」世界であるのならば、「今後は正しい判断で政治をやる」ことなど全く期待が持てない筈である。なんだか知らないが、いい大人にしてはどっともどっち、「私の正しさは歴史が証明する」といっても、歴史も「正しいことをいっても認められない」ことは「南京大虐殺や、従軍慰安婦、沖縄の住民自決問題、田母神発言」などで、これまた証明されているではないか。

 何とも早、小学校の学芸会並みの「政治劇」だが、北朝鮮の動きは「郵政問題」の比ではないことを議員諸侯はお忘れか?ただでさえ、北朝鮮内部の体制崩壊は迫っている。権力争いは、文化大革命天安門事件の例を見るまでもなく、予想できない事態を招くのが大陸国家の常である。

 しかも今回は、核ミサイルを保有しようと必死な「テロ国家」である。既に彼らは「宣戦布告」していることを忘れてはなるまい。

 昨日の産経5面に、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙のインタビューに応じた麻生首相が、北朝鮮について「核とミサイルを持ち、標的は日本だと公言している。朝鮮半島に隣接している日本の安全保障にとって、極めて由々しき事態だ。事実は看過できず、断じて容認することはできない」と語り、「圧力以外に対話は成り立たない」と至極全うな発言をしているが、政局混乱にうんざりした国民は、どちらを信じればいいか迷っている。
 この国の政界は、いつまで時代遅れの「コップの中の嵐」状態なのか、つくづく世界中からあきれられているような気がしてならない。


 ところで、今日の産経24面「文化」欄に、名ピアニスト辻井伸行さんのインタビュー記事が出ていて、何か読む者に話しかけてきそうな「写真」が出ていた。実にいい笑顔をしている!

 演奏中は「自然や鳥、風や色彩など、いろんなイメージを思い描きながら弾いています」という。われわれが日ごろ見ている対象物よりも、彼の思い描くイメージのほうがはるかにピュアーな映像なのだろう、と納得した。

 ところで28面に、その辻井さんが岩手県北上市での「ロシア・ナショナル・フィルハーモニー交響楽団の演奏会」で、ピアノ演奏を披露したという。「なぜロシアフィル北上市で?」と思ったが、音楽には「国境はない」と思い直すことにした・・・

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