軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

暗礁に乗り上げた?F-22導入問題

 先週後半は多忙だった。国家基本問題研究所の研究会はじめ、雑誌社の会合などで、都心を往復したのだが、すっかり“仙人暮らし”が身についてしまっている私は、片道一時間半以上もかけて空気が悪い都心に出るのがすっかり億劫になった!
 一日電車の中だけで3時間も取られると、残り少ない人生を無駄に費しているような気分になる!。
 ところがこの3日間は実に有意義だった。多くの方々の意見が吸収できたからである。とりわけ、私が「仙人生活」を通じて「個人的に収集」していた各種情報から、暗礁に乗り上げている「F-22導入問題」に関する“仮説”を提示したところ、実に多くの反応があったから、誰も書かないうちに?ある航空雑誌に書くことにした!。
 このブログのコメント欄もこの話題で賑やかだが、私は数年前のF-X問題に関する座談会でも、この問題は「単なるF-X機種更新問題ではない」とし、日米同盟の信頼性とアジア地区の今後の情勢を占う試金石だ、としてきたのだが、航空機ファンにはなかなか理解していただけなかった。

 すでに一部報道されているが、暗礁に乗り上げていたこの問題が、米上院のダニエル・イノウエ議員の手で、再検討が開始されたという。輸出“禁止”が見直され始めたのである。
 果たしてオバマ大統領がキャンペーン期間中に常用した「チェンジ!」となるか?「日本だけにF-22を輸出解禁できるのか?」という問題に対して、オバマ大統領は「イェス、ウイ、キャン!」と言うのかどうか?面白いことになりそうである。私の考えのアウトラインは、今日提出する予定の某航空雑誌の原稿に書いたから、出版されたら是非ご一読いただきたい。簡単に言うと「100年に一度の金融危機が齎した神風?」を、麻生政権は生かせるか?というのがポイントである。


 ところで、NHK反日分子が製作した番組批判は、とうとう抜き差しならないところまで来たようである。
 忙しかったので新聞に目を通していなかったのだが、昨日纏め読みして驚いた。26日土曜日の産経新聞は、一面トップで「NHKを8400人集団提訴」と報道している。「番組で台湾統治証言」を「歪曲」された「精神的苦痛」を受けたとして、損害賠償の提訴がなされたというのである。
 4月の報道以降、この番組に対しては「日本の台湾統治を批判するため、証言を捻じ曲げている」などの批判が相次いだが、NHKの対応が不透明だったから、ついに“国際問題”に発展したようだ。
 産経は「責務見失う公共放送」と指摘しているが、それは以前からその傾向にあったから当然の指摘だが、今回は特に異常である。
 4月5日に放映されたこの番組が「おかしい」ことは既に指摘されてきたが、いつものようにNHKは無視してきた。それに不満を感じた多くの市民が行動を起こし、一大デモ行進がNHK本社に対して行われたのだが、1000人を超えるデモ行進が自分のところに来たことを報道しなかった(私は見ていないから確認していないが)し、これだけ多くの提訴がなされているにもかかわらず、朝の7時や午後12時、そして夜の9時のニュースで報道していない。これは「自らの偏向姿勢」を示しているというべきではないか?
 この時点で自分に都合が悪い問題を報道しないというNHKの体質が証明されたも同然であるから、既に「公共放送」の資格を失っているのは明白である。もしも、読者の中で、デモや提訴についてNHKがニュースで報じたことをご覧になった方が居られたらコメントしていただきたい。そのときは訂正させていただく。
 NHKには、ターシャ・チューダー特集のような優秀な文化番組もあるし、しっかりした記者や編集者もいて、私も求められれば協力を惜しまなかったのだが、今回の番組のチーフ・ディレクターは、相当な偏向思想の持ち主だというからNHKも手を焼いているのではないか?医学番組で言われているように「癌細胞は早期に摘出しないと全身に回って命取りになる」ことを知っていないはずはあるまいに・・・

 産経は「これほど多くの視聴者が違和感を覚え、訴訟提起にいたったことは、さらに多くのサイレント・マジョリティー(声なき多数者)がいることを意味する。NHKはそうしたことを肝に銘じ、公共放送としての番組作りがいかにあるべきかをあらためて問い直す必要があろう」と結んだが、全く同感である。
“奢る平家”の二の舞になることを幹部は肝に銘じて欲しいのだが、どうも責任の所在が不明確な巨大組織のようで頼りない。

 空幕広報室長時代に、“パラノイア新聞記者(友人の医者の表現)”から売られた喧嘩を買ったところ、彼に弱みを握られていた上司から飛ばされた経験を持つ私だが、その他にも“異常性格”のNHK記者から、陰湿ないじめを受けたことがあったので、後輩たちのために参考になればと思い、今週発売の「撃論ムック」に彼からの手紙を公開した。ご一読いただくとわかるだろうが、こんな陰湿な嫌がらせをする記者が、当時の防衛庁に“詰めて”いたのである。

 そんな正常ならざる人間が書く「自衛隊報道」が、全うである筈がない。田母神氏問題で、その裏事情が噴出した感があるが、日本の近現代史に関しても、そんな正常ならざる精神の持ち主にかかっては、全うな報道になる筈はない。
公共放送だからわれわれの税金が注ぎ込まれている。NHK内部からの“自浄作用”が沸き起こることを期待したいが・・・。


自衛隊風雲録

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台湾人と日本精神 (小学館文庫)

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