軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

生ける屍?

 単行本用の原稿2本をやっと書き上げた。1本目は「朝鮮半島秘話」とも言うべき「私的見解」だが、近日中に目鼻がつきそうである。膨大な資料と格闘する毎日だったが、何とか原稿らしくなった。その間、しばし手を止めて黙考することがあった。大東亜戦争敗戦と共に、一部の愛国者達が、日本の将来のための布石をアジアに敷いていたという事実である。その裏には、個を滅して公に殉じるという、日本人魂と「大アジア主義思想」があった・・・


 党首討論はニュースで見ただけだが、予想以上に劣化した内容で、討論の名に値しない程度の低いものだった。チャンネル桜の≪討論・・・≫のほうがよほど内容が濃いと思う。
 たまたま私が半島秘話の原稿書きに没頭していたから、それと比較してそう思ったのかもしれないが、戦後日本人の知的怠惰は、救い難いところまで来ていることを痛感した。

 今朝の産経一面の「麻生首相に申す」欄で、桜井よしこ女史は「あまりにも日本の土台を構築する価値観や歴史に無神経である。両党首の下の自覚なき政治で、先人の残した諸々の価値観が今や消し去られてしまいそうだ」と書いた。


 戦後呪縛からの解放のための「バロメーター」として、私はこの国の指導者達の「8月15日の靖国参拝」を注目しているのだが、麻生首相は「国家のために尊い命を捧げた人たちを政争の具にするのは間違っている」から、8月15日にこだわらないとの見解を示して参拝を“逃げた”が、祭られている英霊達はそうは思ってはいまい。それは麻生氏個人の独りよがりであり言い訳に過ぎない。

 国の命令で≪心ならずも?≫戦場に散った英霊達には冷たいが、その一方で12日に群馬県館林市の街頭で演説した麻生首相は、24年前に御巣鷹山に墜落して520名もの犠牲者を出した≪民間ジャンボ機≫の犠牲者に「心からなくなられた方々にお悔やみを申し上げる。私も、あの中に2人友人が乗っていたので、忘れられない日の一つだ」と述べ、犠牲者に哀悼の意を表したという。
 民間機に個人的理由から乗っていた友人には「心からお悔やみ申し上げる」が、国の命令で戦場に散った英霊に冷たい理由がわからない。日航の社長が事故の責任を感じて追悼するのとはワケが違う。首相が「個人」として哀悼の意を表するにしても何か違和感がある。それともボーイング社の修理ミスを見逃した、当時の国の整備検査担当者の責任を感じた発言なのか?

 鳩山由紀夫民主党代表の方は、政権をとったら閣僚の参拝を“自粛”し、代わりに、誰でも気軽に参拝できる施設を建設するというのだから、麻生首相よりもはるかに悪質な確信犯である。最も、鳩山氏が国民の税金を使わず、個人の財産をつぎ込んで建てる、というのなら話しは別である。

 この討論を聞いた「靖国で会おう」と誓いを立てて戦場に散った多くの英霊達は、きっと怒り心頭に発しているに違いない。麻生氏のそれは「言い訳」に過ぎず、鳩山氏のそれは「侮辱」であり、「英霊達が戦った敵」の思う壺に嵌った証拠で、利敵行為だからである。きっと恐るべき天変地異で英霊の怒りが証明されるであろう。しかし、残念なことは、その犠牲になるのが、ほとんど善良なる国民だというところで、≪生ける屍≫達が生き残ることである。阪神淡路大震災のときの村山首相のように。

 TV画面に大写しになるお二人のお顔を拝見しているとオーラが感じられず「生きているというだけで、人間としての活動をほとんどしない人」に見えてくる・・・。これでお二人の今後は定まったも同然だ、と私は感じている。


 ところで、民主党が、獅子身中の虫である旧社会党崩れの仲間たちを統制できず、気配りしている様は痛々しいが、それほどまでして「阿っている」相手はこう見ているという。


 産経9面左の「'09衆院選海外の目」欄で、中国湖南省の新聞責任者の黄素雲主任は、「選挙で自民党が大敗すれば敗因を検証する特集を組む」そうだが、「戦後日本の奇跡の高度成長を引っ張り続けた自民党が、ナゼ国民の支持を失ったのか」それを分析することは中国にとっても示唆に富むからだというが、たぶん彼は「靖国参拝阻止行動」が成果を挙げた!と分析するのだろう。
 面白いのは改革派月刊誌の呉副社長が「同じ東洋人だから、日本人に出来ることは中国人にも出来る」という考え方が中国人の間で広がれば「民主化を求める声が少しは高まるかもしれない」といったことである。

 王新生・北京大教授が「首相交代や内閣改造がこれほど繰り返されても」日本の社会秩序が保たれて、暴動や混乱が全くないのは国民の生活を支える官僚体制がしっかりしているからに他ならない」と分析し、与野党を問わず官僚批判を繰り広げる昨今の日本の風潮には懐疑的で、そんな政治家達は官僚制度が破壊された後、それを補う代案を持っているのか?
政権交代があるか否かとは別に、官僚を苛めることで英雄視される政治家が多く排出されればされるほど、日本の地盤沈下は早くなる」と冷ややかな視線を送っているというが、官僚制度に大鉈を揮うという民主党は、中国の大学教授から「それ見たことか!」と高笑いされない覚悟はあるのだろうか?

 ちなみに、友人から民主党政権で予定されているという次のような閣僚一覧表が送られてきて愕然とした。

≪●民主党内閣予想顔ぶれ

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 
法務大臣 (副総理格)死刑廃止問題担当  亀井静香      
総務大臣 内閣府特命担当大臣地方分権改革) 菅直人
外務大臣 田中均
財務大臣 榊原英資 
文部科学大臣 輿石東
厚生労働大臣 野田佳彦  
農林水産大臣  羽田孜
環境大臣 地球環境問題担当 小宮山洋子
経済産業大臣 岡田克也
国土交通大臣  観光立国担当  海洋政策担当 石井一
防衛大臣 前原誠司
内閣官房長官  拉致問題担当 辻元清美
国家公安委員会委員長  平岡秀夫  ≫


 悪い冗談であって欲しいが、現職首相が「国家のために尊い命を捧げた人たちを政争の具にするのは間違っている」からとして、あるいは憲法に定められている「思想信条の自由」に違反してまで閣僚の参拝を統制すると言う「民主」党次期首相予定者の発言を靖国の杜の英霊達はもとより、現世の有権者達はどう受け止めたことであろうか?


 今年の8月15日は、桜井女史が「両党首の下の自覚なき政治で、先人の残した諸々の価値観が今や消し去られてしまいそうだ」と危惧したが、それはつまり、2669年続いた日本国の終わりの始まりを意味するということである。

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