軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

つじつまの合わない連合体

 今朝の産経「あめりかノート」欄に、古森義久記者が日本の民主党政権誕生を、本場の米国民主党系も警戒していると伝えている。ワシントン・ポスト紙のホーグラント記者が、日本の民主党を「いつでも、誰にでも、なんでも公約をするという意欲だけが目立つ、権力に飢えた政治家達のつじつまの合わない連合体」と描写しているそうだが、言いえて妙である。そのつじつまの合わない証拠として、泡沫政党に過ぎず、有権者がそっぽを向いている社民党の福島党首と、国民新党の亀井代表に入閣を要請するという。これで民主党の正体がバレバレ、「つじつまの合わない連合体」が樹立されることになった。

 それに比べて「健全野党」に徹すべき自民党の体たらくは目を覆うばかりである。その昔、自民党議員の勉強会で「自民党は腐っても鯛かと思っていたが、腐った鰯だ」と言ったところ、「先生、鰯は今じゃ高級魚だ」と言った議員がいてあきれたとこのブログにも書いたが、あの頃は“高級魚”だったかもしれないが、今じゃめざし程度の“大衆魚”、いや「めだか」かもしれない。めだかは一年で消えていくそうだから・・・


 コメントにもあったが、昨年暮れ、突如理由もなく田母神空幕長を更迭した、増田事務次官、浜田大臣、そして最高指揮官の麻生総理だったが、あれで今回の結果は見え見えだったのである。その上この夏の靖国参拝を回避したから、英霊の怒りを買った・・・こう考えると全ては辻褄が合う。
 しかし、民主の内部構造はより以上危険だったから、何とかぎりぎりのバランスを、と希望したのだったが、有権者は既に自民党を見放していたのである。
 今じゃ、今回の“鉄槌”は、全うな自民党員を覚醒するための必要条件だったのだろう、と納得している。


 しかし今度の“連合体”は、早速インド洋から海自引き上げ、温室効果ガス25%削減、そして国連総会での「核廃絶宣言」など等、本場の民主党も目を疑うような“公約”がショーケースに並び出した。
 早速実務担当の官僚たちからクレームがついているが、有権者は「欲しがりません、勝つまでは!」を体験して初めて文句を言う事態になるのだろう。
 いずれにせよ民主党政権のお手並み拝見というところだが、安全保障問題についてはその危険性に留意しておかねばなるまい。
 経済面では岡田外相決定と偶然の一致なのかどうか知らないが、産経9面に「日中経済協会訪中団、成長に期待」という記事があり、「関係強化にアピール懸命」だという。きっと御手洗富士夫経団連会長以下130人の訪中団は「日中間の関係強化」は大いに期待できる、と踏んでいるのだろう。
 しかし、地球温暖化ガス対策一つ出来ていないかの国との協力関係がどんなものか、私には不安材料でしかないが、後で後悔しないようにしてほしいものである。


 ところで話は飛ぶが、発売中の「週刊文春」と「週刊新潮」の選挙特集号が実に面白い。
「文春」は「民主308議席vs自民119議席」と題する立花隆氏の緊急寄稿はさておき、「スクープ速報30本」が読ませる。「本誌が報じた『政界スキャンダル』の目撃者」は『確かそんなこともあったな〜』と忘れていた事実を思い出させてくれること請け合いである。選挙前に特集すればよかったのに・・・と残念なくらい。
 最後のページのグラビア『自由民主党の54年』「その『栄華』と『崩壊』」に掲げられた写真にはため息が出るばかり。
 一方、「新潮」の「われら衆愚の選択」にも改めて脱力感を禁じえない。つくづく戦後日本に人材はいないことを痛感するが、それはやはり『日教組教育』が元凶だという証明だろう。今後はますます劣化するに違いない。

 これ以上解説すれば、週刊誌ウォッチャーの花田氏のお株を奪うことになるから、ご自身でご一読あれ。改めて“目から鱗”を体験すること請け合いである。

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