単行本用の原稿、4本目の8割方仕上げたが、資料を読みつつ考えさせられることが多いからなかなか進捗しない。書斎は各種資料が散乱し、獣道のような中を歩いてPCに辿り着く。どこに『地雷』があるか分からない・・・
先日来、JR西日本の福知山脱線事故の事故調査をめぐって、調査情報が漏洩したことが問題になり、前原国土交通相は、『被害者や国民に対する背信行為。言語道断で重く受け止めてもらいたい』と厳重注意した。
今朝の産経23面に、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の山口浩一元委員(71)が、JR西日本の山崎正男前社長(66)側に自ら連絡を取り、報告書作成の基となる事実調査報告書を渡すなど、積極的に情報漏洩をはかっていたことが29日、JR西日本への取材で明らかになった。委員側からの働きかけが発覚したことで改めて報告書の中立・公平性が疑問視される」と出ている。
何のことはない、前原大臣の足下から漏れていたのである。もちろん、前原大臣の着任以前のことになるが『言語道断』なのは元国交省の役人のほうであろう。
私は航空自衛隊の事故調査担当部隊に勤務したことがあるが、事故調査の目的は原因を掴み事故の再発防止を図るためである。ところがそこに『いろいろな利害』がからんでくると、真因探求は遠ざけられ、関係者の『保身確保』が優先することになりかねない。
この場合もそれに違いない。犠牲者(つまりJR西日本にとってのお客様)なんぞ、彼らの頭の片隅にもないことがこれでわかろうというものである。
御巣鷹山に墜落したJAL123便も、元をたどれば整備ミスを隠蔽?したことに起因すると私は思っているが、520名の犠牲者はこれでは浮かばれない。その因果応報か今やJALは墜落寸前である。天網恢恢、疎にして漏らさず・・・
われわれ空自のパイロットが、未だに許せないことは、昭和46年7月30日に起きた『雫石事故』である。これが今回同様の“手口”で、一方的な自衛隊側過失論で決着されたが、自衛隊側の関係者は冤罪を被ったが、事故を起こした側はうまく逃れた。これに味を占めた“連中”が、裏で取引を重ねるルートを確立したが、国民の目からは隠されていた。
山口元委員は、習い性になっていたそんな癖がついつい出たのであろう。今度もうまく行く、と思って・・・。
彼の狙いは何か?後輩に対する“支援”か?それとも71歳になってまで、何かうまい汁でも吸おうとしたのか?
前原大臣が言うとおり、”言語道断”である。
雫石事件のときも、情けないことに部内から『クビを覚悟で』それに立ち向かう高官は出なかった。それどころか、事故を契機に出世した高官がいて、彼が自ら新聞に『部下を売った』のであった。当時浜松で戦闘機操縦教官をしていた私は1尉にすぎず、仲間共々切歯扼腕したものである。
このときも、政府が設置した『政府事故調査委員会』は名目だけで、実質的には委員の選出を含めて運輸省委託に変わりなかった。こうして翌日の31日に結成された事故調査委員の顔ぶれは、山県昌夫(宇宙開発委員会委員=造船学専攻)、荒木浩(東洋大教授)、井戸剛(東海大教授)、瀬川貞雄(日航航務本部長)、後藤安二(日航航務副本部長)というものだったから、偏った結論が出るのは予想された。今回のJR西日本の場合よりもある意味で癒着そのものだったといえる。
事故当日の30日に開かれた参院運輸委員会で、元運輸省航空局技官の楢橋寿一氏は調査の原因が曖昧だったり原因不明になる理由として『利害関係・セクショナリズム・血縁関係・こじつけ論理・各個撃破・無能力・お粗末実験・死人に口なし・調査担当者の適正不良』を挙げて説明している。
この時の調査委員の瀬川氏は日航職員になる前に運輸省航空局の参事官であった。そして事故のほとぼりも醒めかかった翌年春には、運輸省管轄の『航空大学校長』に任命されている。つまり、日航に天下りした後、運輸省高官に“復帰”したのである。当時もこんなイカサマがまかり通っていたのだから、事故の再発防止策がおろそかになっても当然だったろう。
あれから30年余、今回は電車事故の調査という形で『イカサマ』が暴露されたが、前原大臣には、徹底して今までの膿を出して欲しいと思う。
ついでに言っておきたいが、産経5面左に、1989年に拉致実行犯の辛光洙・死刑囚の釈放嘆願書に署名した千葉景子法務大臣が、『うかつだった。誤解を招くような結果になったのは大変申し訳ないという気持ちはある』と産経のインタビューに答えている。
冗談じゃない、多くの日本人(少なくとも原さん)を拉致した実行犯である。“誤解を招く”とはどんな意味か?千葉氏が北朝鮮のシンパに誤解されるという事か?“うかつ”とはどういう意味か?
物事の本質を確認できないこんな人に『法務大臣』が勤まるのだろうか? 言い逃れか甘えかは知らないが、無責任すぎる。
当時は村山首相時代で、土井たか子、江田五月氏ら128人の国会議員が署名している。つまり、政界挙げて“日本人を拉致した実行犯の助命嘆願”をしているのである。これが日本人のすることか!
『インターネットから』
鳩山内閣には千葉氏のほかに、菅直人副総理がそうである。鳩山首相は『不問に付す考えを示した』そうだが、任命責任はどうなる?野党時代はこれで与党を責めいていたじゃないか。都合が悪くなると態度豹変では国民は納得しない。
JR西日本の隠蔽工作を徹底的に暴くと同時に、この国家的“犯罪行為”のほうも『うかつ』では済まされない「国民への背信行為」で『言語道断』な行為だからである。前原大臣の“勇気ある行動”に期待したい。
ところで明日はお隣の建国記念日、北京市民は自宅に“缶詰”でTV観戦しか許されないという。大々的な軍事パレードが予定されているが、それも厳重な『戒厳令』並みの警戒の中で、人民抜きのお祝い行事が行われるという。誰のため?いうまでもない、党のためである。
『中華“人民”共和国』と言う看板は、そうだったのか!と認識を改めた。日本国“民主”党の『友愛』が通じる相手かどうか、首相にはジックリとパレードを“観戦”して欲しいものである。
ついでといっては何だが、この数日、いろいろな案内が届いている。小さなサークルが、一生懸命に歴史研究に取り組んでいる。彼らを勇気付けるためにここでご紹介しておきたい。時間がある方は、ご参加いただきたいと思う。
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