27日午後7時55分頃、関門海峡で、海自の護衛艦「くらま」と、韓国の貨物船「カリナ・スター号」とが衝突して、「くらま」が一時炎上した。双方共に死者や重傷者が出なかったのが幸いだった。
このニュースを、ケーブルTVで緊張するパキスタン情勢にかかわるニュースを見ていた私は気がつかなかったのだが、友人から知らされてチャンネルを切り替えた。
丁度テレ朝で“軍事評論家?”が解説していたが、イージス艦「あたご」と漁船との衝突事故時の「赤灯・青灯」の話を持ち出していたので失笑した。
キャスターが、当時の事故時の自衛艦側の“たるみ”を指摘すると、あの時もハワイ方面でのBM試射成功で帰国途中、今回も「くらま」は、観艦式で総理代理の菅副総理を搭乗させて参加した緊張から解放されて、佐世保に帰隊途中だから「ほっとしていたのだろう」といっていたが憶測でものを言うな!といいたい。
総理が乗ろうと大臣が乗ろうと、さほど緊張しないのが訓練できたえられた自衛隊員たちである。もちろん、VIPをご案内する高官は、いろいろ気を使うだろうが、船や航空機を動かす隊員たちにとっては≪関係ない!≫
さて、私はよく「雫石事件」を例に引くのだが、このときは、最初に空自高官が「戦闘機乗りは後方も見張るべき」だとか、「ジェットルート内に入るのは教官の手落ち」だとか、知ったかぶりの発言をしたため、事故調査も始まらないうちから、新聞は≪犯人≫を決め付け、長官と空幕長が土下座したので「自衛隊悪玉論」が沸騰した。
民事訴訟では、刑事裁判では発覚しなかったいくつもの「疑問点と新事実」が出て、民航機が訓練空域内に侵入し、追突したことが分かってきたから、刑事裁判では最高裁が急に自判して自衛隊教官が有罪になり、民事では6分4分と当初防衛庁が有利だったのだが、奇妙なことに民航機が訓練空域内に侵入した決定的な証拠である【8ミリフィルム】が出たにもかかわらず5分5分と防衛庁側の負担増になって結審したのであった。
孤立無援、われわれは「裁判費用をカンパ」しつつ戦ったものの、一方的な敗戦を味わったのである。
このときはロッキード事件が背後で進行中だったのだが、これ以降、自衛隊を犯人に仕立てて「犠牲者達」に、国費で補償してけりをつけるという手法が自民党政権内に確立した様に思う。
早い話、いくら補償額が多くなっても国費でまかなうのだから、誰の懐も痛まないのである!民間企業はもとより、政府関係者は【めでたし!めでたし!】なのだが、事故の当事者はクビになり、昇進がストップし、減俸処分になり、家族共々人生を狂わされることになる。
「なだしお」事故も、原因の大部分が遊漁船側の過失だったにもかかわらず、所有者が北朝鮮がらみだったこともあってクラストップであった「なだしお」艦長がクビになった。
「あたご」の事故も、漁船側の過失は審議されず、「あたご」の見張りが問題にされて、将来ある若手幹部や貴重な人材である艦長がクビになった。一人の艦長を育てるには20年以上かかるのに・・・
こうして、とにかく自衛隊がかかわる事故は、ほとんどが自衛隊側に責任が押し付けられ、関係者、それも何十年も鍛えられて高度な指揮能力をつけた幹部がクビになってきた。ある意味、田母神前空幕長もその犠牲者である。
そして皮肉にも、首を切った次官、大臣、首相の権威は地に落ちた!もう復活は望めまい。
さて、今度の事故は国内だけで「口裏を合わせること」は出来ないだろう。相手が韓国籍の貨物船だからである。岡田外相は中国には優しいようだが、韓国にはどうだろうか?日本国の国益を重視する大臣なのか、東アジアを大事にする国賊なのか、今後が見ものである。鳩山首相の「友愛精神」も見ものである。
今回も、過去の自民党政府のように、自衛官の首を切って≪一件落着≫にしたら、世間は納得しまい!
JR西日本の事故調査が如何にでたらめだったかがばれて、ご遺族達は過去3代の社長の責任も問う訴訟を考慮中であるという。
今回は、事故調も海難審判所も、もちろんメディアも、これまでと同様な「自衛隊叩き」の手は使えまい。JR事故や、群馬の「冤罪事件」で、情報通となり賢くなった国民は、じっと政府の対応を監視している。
既に朝日新聞が、韓国側の船長の「正直な証言」をカットして、何とか「くらま」のミスにしようとした!として、インターネット上では怒りが渦巻いている。カットされたカリナ・スター号の韓国人の船長(45)の証言とは【前を走っていた船を追い越そうとしたときにぶつかった。前から(自衛隊の護衛艦が)来ているのはわかって、早めにかじを切ったがぶつかった。大きく揺れて、すぐに火が出た】というものである。
それをカットして流したというのだから、悪意ある情報操作以外の何物でもあるまい。この新聞社は、戦時中は違ったものの、戦後は日本よりも韓国のために貢献しているというので有名らしいが・・・
先日私はここに、「天網恢恢、疎にして漏らさず」と書いたばかりである。今まで闇の世界に閉じ込められてきた、目を見張るばかりの“虚報”が、国民の前に暴露されようとしている。
JR西日本のご遺族ばかりではなく、今までの自衛隊事故で無念の涙を飲んだ自衛官はじめ、家族も真剣に考えてみたらどうだろう。一将功なりて万骨が枯れてきた事実が分かるかもしれない。
私が広報室長時代に、JAL123便が御巣鷹山に墜落したが、あの時も「自衛隊の救難活動」が一斉に非難された。ひどいものになると、自衛隊がミサイルで撃墜した!という説までが流れたが、今でもそれを信じているものがいる。
今までは、政府にとって自衛隊は【黙らせ得】、マスコミにとっては【叩き得】だったが、さてこんな姑息な事実隠蔽手法がいつまでも続くものか・・・。今回の事故調査の行方と報道姿勢を大いに注目したいと思う。
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