友人達から「首相がまた馬鹿なことをいった」と怒りの電話があったが、何のことか分からなかった。しかし、今朝の産経3面上に「自衛艦に民間人・NGO」「首相、友愛ボート提案」とあり、読んでみて私は「首相につける薬はないのではないか?」と思った。
「鳩山首相は15日、シンガポールで『アジアへの新しいコミットメント』と題したアジア政策講演を行った」そうだが、東アジア共同体はさておき、「アジア太平洋地域での医療活動や文化交流の活発化を目指し、来年から海上自衛隊の自衛艦に民間人や非政府組織(NGO)メンバーも乗せ、『友愛ボート』として、派遣する考えも表明した」という。友人たちが怒り狂っていたのはこのことだったのだが、私は怒る気さえしなかった。
わが日本国首相は一体何を考えているのだろう?という深刻な疑問が湧いただけである。
記事だけから想像するのだが、「何故“軍艦”に民間人を乗せて医療活動や文化交流をする必要がある」のだろうか?
まるで海上自衛官たちは、遊覧船の乗組員まがいではないか。辻元女史が主催している反戦活動のための『ピース・ボート』ならいざ知らず、軍事作戦に供する“軍艦”をなんと心得ているのだろう。こんな方が「自衛隊の最高指揮官」では、東アジア諸国からさえも全く相手にされないだろう。
本気でやるのだったら、新に病院船を建造し、船乗り達を募集して巡回すれば良いし、高速道無料化?に伴って、フェリー会社が困窮しているから、それを借り上げておやりになれば良い。自衛艦がやるべき仕事では絶対にない!早く目を覚まして欲しいものである。
この唐突な話を聞いたアジア諸国の首脳達はどんな感想を持っただろうか?軍事知識のない日本国首相の言葉に、唖然とすると同時に「気は確かか?」と疑ったのではないかと私は思う。
それとも日本“海軍”には、遊ばせておくほどの艦艇がある?隠し軍艦があるに違いないと勘違いし、米国は「そんなことするのなら。インド洋の補給活動を何故止めるのか?」と思ったのではないか。
なんとも馬鹿馬鹿しい話だが、国内の選挙演説ならいざ知らず、国際会議の場である。日本の信用度がた落ちは避けられない。しかも首相は初来日したオバマ大統領をほったらかして、先にシンガポール入りしたのだから、日本人的気配りも感じられない。それが同盟国の大統領に対する儀礼だろうか?と感じたが、そのオバマ大統領は、首相不在の間に、日本の政界などの要人を前に、なかなか「味のある」演説をぶっている。
首相は帰国したら直ちにその意図するところを「分析」し、来年の日米安保五〇年記念日に備えて欲しいといいたいところだが無理だろう・・・。首相の後ろに控えているという米国事情に詳しい「戦略顧問」氏は反米だから結果は見えている・・・。
世界情勢、特に中近東からインド洋周辺はキナ臭くなっている。オバマ訪日の一瞬の隙を突いて中国はパキスタンにC10戦闘機36機を提供する協定を結んだ。
インターネットから
総額14億4000万ドルの取引である。この戦力バランスが今後5年以降に徐々に効いてくるだろうから、インドはロシアと米国から戦力導入を図っている。今のところに西側(宿敵パキスタン側)は一応安全だから、インドはこの際一気に東側(バンクラ・ミャンマー・中国)に向けて戦力を集中している。中国はそれを読んでC10を売ったに違いない。このように、中印間の緊張は予断を許さないが、そんなことは気にも留めずに「友愛ボート」提案じゃまるで漫画である。その程度のことは、ピース・ボートで十分経験をお積みの辻元副大臣に任せて?おいて、首相たるもの、軍事を含む国家戦略を立て直して欲しい。
他方、国内では拉致被害者は未だに苦しんでいることを忘れてもらっては困る。今朝の産経25面に、次の写真入で「めぐみさん拉致から32年」の集会が新潟で開かれたという記事が出ている。
この写真と記事を読んで、首相は胸が痛まないのか?尤も30年近くのタイムロスは自民党政権下であったが、いずれにせよ日本国の指導者が第一に回復しなければならない緊要事である。
米国は、何を掴んだか知らないが、年末までに日朝双方の国交回復のための下準備に取り掛かった。産経7面下に樫山論説委員が「米朝連絡事務所の可能性」を示唆しているが、信憑性は高い。これが半島情勢にどんな一石を投じるか、おそらく民主党は気づいていまい。
「困難は伴うだろうが、可能ならば後継者候補やその側近とも接触を図り、駆け引きも演じる―。柔軟、臨機応変なアプローチが必要だろう」と樫山氏は結んだが、ニクソン・キッシンジャー時代の「唐突な米中国交回復」の悪夢を忘れてはならない。
“軍艦”とは、民間人や、得体の知れないNGOを乗せて「友愛」を宣伝するのではなく、精強な特殊部隊を乗せて、かの地に潜入して拉致被害者を奪還するべきものだという事を、誰かが首相に教えてやって欲しいと思う。
尤も、しびれを切らしたご家族達が税金を納めている自国の首相・政府よりも、他国の大統領に「奪還を期待する」のだから、国家としては「支離滅裂」「頼りないこと限りなし」状態以外の何物でもないのだが。
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