軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

国民を守らぬ政府がどこにある?

 昨日は雨模様の建国記念日でさびしかった。一軒だけ日の丸を掲げて“抵抗”し続けて転居後4年になるが、夕方取り込んだときにしっとりとぬれた日の丸がわが国の現実を象徴しているように思えて情けなかった。
 しかし、我が家は今後も断乎として日の丸を掲揚し続ける!

 
 産経の記事には、時々引用する曽野綾子女史始め、勇気ある女性の発言が多いので感心するのだが、昨日のノンフィクション作家・川添恵子女史の文にも感心した(いつも感心して読んでいる)。
 桜井よし子女史の痛烈な批判文も最高だが、つくづく女性は得だな〜と思う。私みたいな厳つい戦闘機野郎が書くと直ぐ物議をかもすのだが、これは男女不平等の証拠ではないのか?とさえ思うことがある。女性、特に美人は本当に得である!こんな世の中だから、男よりも頑張ってどんどん発言してほしい!と思う。


 そう思っていたところに、早速TBSが“自衛官”に噛み付いた。
陸上自衛隊幹部が10日、宮城県陸自王城寺原演習場で始まった米陸軍との共同訓練開始式で訓示し、日米同盟に関して「『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではない」と発言した。
 鳩山由紀夫首相が米軍普天間飛行場の移設問題について、昨年11月に来日したオバマ米大統領に対し「トラスト・ミー(わたしを信じて)」と述べたことが国内外で批判されている。
 発言した幹部は、陸自第6師団第44普通科連隊(福島市)の中澤剛連隊長(47)=1等陸佐=。「同盟というものは外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなく、ましてや『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではない」と訓示した。
 中澤1佐は陸自広報を通じ、自身の発言について「自衛隊の最高指揮官である首相の発言を引用したり批判したわけではない」とコメントした≫

http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4354000.html

 全く正論ではないか!ところがいつものように早速防衛省幹部らが善後策を協議しているという。
 祖国防衛のため、日夜汗水たらして訓練に励んでいる現場の自衛官が、10日から18日まで行われる日米陸軍共同訓練の編成式で、「いのちを守りた〜い」とか「わが最高指揮官を信じてやってチョーダイ」などと同盟国軍にいえるわけはない。
 ただでさえ普天間問題、トヨタ問題でゆれる日米関係を敏感に肌で感じている米陸軍・第218歩兵旅団第1-118大隊の中隊基幹150人(サウスカロライナ州兵)と、在日米陸軍(キャンプ座間)の隊員ら、日米合わせて計800人の生身の人間を前に、「口先ではなく行動で示す」軍隊の指揮官が、「日米同盟を真剣に維持しようとする」率直な発言だと私は評価する。ある意味、首相の発言の不足をカバーしてやっているのでは?とさえ思われる。

 
 こんなことぐらいで田母神“事案”で腰砕けの防衛相が、勇気ある連隊長を処分でもしようものなら、相続税逃れした首相や、不審な現金で土地購入に邁進し、直近の部下達が臭い飯を食っても平然と万骨枯らせて責任も感じない政治家達に辟易している国民からブーイングが起きるだろう。


 河添女史は「道議的責任分からぬ異邦人」の中で≪なぜか宇宙人を筆頭に「道義的責任」すら分からない異邦人がウヨウヨ。しかも、日本の未来を担う真面目な若者達、純粋無垢な少年少女らに「金が一番。不動産が二番。ウソも百回言えば本当になる」と伝授したいらしい≫。鳩山首相は≪「いのち、いのち」って声を裏返して“劇団ひとり”状態だったけれど、そんなに「いのちを守りたい」なら、ユニセフか世界保健機構、もしくは国際協力機構への転職をお勧めしたい≫と書いている。この痛烈な指摘に比べれば、日米間の信頼関係を維持しようとする連隊長訓示は、すこぶる健全、的を射た発言である。

 世論を読めず、予想に反して大失敗だった「田母神空幕長処分事案」を反省し、自衛官の士気を沮喪するような愚かな対処をしないよう進言する。
 最高指揮官が国民のいのちを守ることなんぞ、これっぽっちもない事は、拉致事件未解決、捕鯨調査妨害行動排除も出来ない現実が明白に示している。防衛省はせめて自衛官の「名誉」くらいは守ってやるべきではないか?

 5月に予想されている政変で、案外「田母神防衛大臣」が誕生するかもしれないから、官僚として先をしっかり読んだほうが良い!と助言しておきたい。


 さて、産経新聞シーシェパードの実態に関する連載が終わったが、今日の「船員の安全守って」の項は、現状の日本政府が如何に≪事なかれ主義≫で失敗を重ねてきたかの証明でもある。そして誰もその失敗の責任を取らないのが不思議である。


 政権交代を果たした民主党が昨年末、SS問題などについて現場の意見を聞いたそうだが、その場で、全日本海員組合の近英男水産部長が、「国民がテロに近い暴力にさらされ、生命の危機を感じているのに、助けようとしない政府がどこにあるのか」と大きな声を張り上げたという。それに対して≪返す言葉も無く押し黙る議員たち≫と産経にはある。


 民主党を離党した石川“議員”の発言を見ていると、さもありなんとよく理解できる。この程度の議員たちが国民の命を守ることなんぞ真剣に考えているとは到底思えない。
 石川議員も議員辞職はせず、選挙民の期待に応えたいそうだが、ならば「一切の歳費を返上して」任務に邁進してみたらよい。それならば国民も石川議員の真剣さの一部を理解するだろうが、所詮「リストラが怖い」だけの臆病者に過ぎないのではないか?やがてその正体が帯広あたりの選挙民にも分かるだろうが・・・。
 こんな議員たちがいくら大勢集まっても、「国民を守る政府」が出来るとは思えない。

 それよりも、命のままにハイチに出かけ国際貢献している自衛隊こそ、国民の生命を守る最後の手段であることを防衛省は忘れてはならない。


 さて明日は早朝から福岡の会社研修で講師を務めてくる。演題は「大東亜戦争秘史」で、開戦秘話、特攻隊誕生秘話、終戦秘話の三部構成。日帰りだから退院後約一ヵ月の体力回復の目安にもなる。

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