軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「世界の中の日本」を忘れるな

 菅“新”総理率いる民主党改造内閣がスタートした。体よく追われた形の“実力者”小沢氏が次にどう出るか、あるいはこのまま沈没か?と政界ウォッチャーは喧しい。
 19・1%にまで落ち込んでいた民主党人気が、一気にV時回復して61%になったというのだから、民意とは浮き草のようなものだが、これも「平成の脱税王こと小沢・鳩山」両氏が切り捨てられ、脱小沢評価が齎した物だという。それほど国民はダーティな「政治と金」スキャンダルにうんざりしていたことになるが、さて、新規スタートした菅内閣でも、それに劣らぬ金に汚い大臣が表面化した。


 今朝の産経によると、北教組丸抱えの確信犯・小林千代美議員は鳩山時代の“残債”だが、荒井戦略相の事務所疑惑、蓮舫行政改革担当相、川端達夫文科相にも事務所費不正処理の疑いがかかっているという。

 首を切られた“脳衰相”こと「官費外遊相」の赤松氏だったら、「ちまちました事書くな!」とでも言うことだろうが、関係議員にはしっかり「弁明」してほしい。特に“仕分け”が得意な蓮舫行政改革担当相には、徹底的に納得できる解説をしてほしいと思う。


 更に開いた口がふさがらないのが、25面の河上議員の本会議サボり“事件”である。
「今夏の参院選に京都選挙区から鞍替え出馬の決まっている民主党河上満栄衆院議員(39)=近畿比例、が4〜5月にかけ、衆院本会議に1日しか出席していないことが9日分かった」というのである。これほど有権者を馬鹿にした話があろうか!
 この間に支払われた歳費(給与=税金)は、約460万円だというから、民主党は子供だけではなく、身内にも税金をばら撒いているのである。

 彼女は「所属する農林水産委員会と、消費者問題特別委員会にもそれぞれ1日しか出席していなかった」というから典型的な“サボり娘”である。この間、宮崎では牛の口蹄疫問題で畜産農家が死ぬ思いをしていたのだ!39歳の“小娘ごとき”に、彼らが納めた税金の一部である歳費を支払う必要はあるまい。

 永田町にはこんな“サボり議員”が五万と居るはず、メディアは彼ら彼女らの「出席簿」を参院選前に公開すべきである。「ちまちました」バカ騒ぎ続きの国内政情にはうんざりする。次回の選挙ではこんな「生活保護議員」らを一掃したいものである。


 ところで、朝鮮半島がきな臭くなってきた。哨戒艦撃沈問題で国民に一致団結を呼びかけ、一応の成果があったかのようだったが、統一地方選挙では与党ハンナラ党は、見るも無残な敗北を喫したから、この“キャンペーン”は空振りに終わったというべきだろう。
 一部には事件の調査を終えて帰国したロシアの専門家チームは、平沢韓国海軍基地で天安艦や魚雷の残骸を調査した結果、「艦体が真っ二つになったにもかかわらず、魚雷の推進体部分が残っていたのはどうしてか?その上《1番》という文字が鮮明に残っているのは何故か?」と、韓国の合同調査団の「決定的証拠」に疑問を呈したが納得のいく回答は得られなかったと報じられた。

 さらに興味あることに、事件当時のこの海域には韓国軍だけでなく米国の原子力潜水艦も行動していたはずだが、「そんな海域で北朝鮮潜水艇が沿岸警備やパトロールを担当している天安艦を攻撃目標にするのはおかしい」と疑問を呈したという。
 ロシア調査団が一次資料を重視して、事件現場に近いペンリョン島の視察などを求めたのに対して、韓国国防部が応じなかったことも不信感を高めた理由だとされる。

 中国は当然ロシアと同一歩調を取っているが、国営の新華社が3日に「韓国政府が天安艦調査結果を発表した直後(先月20日)、ロシアの専門家が『天安が魚雷で沈没したとするなら、韓国海軍は穀潰し』と述べた」と報じたというから、哨戒責任を持つ艦艇が撃沈されたのに、政治的問題化にすべく?「北の攻撃だ!」と声高に叫んだ軍事的非常識が裏目に出たといっても良いだろう。
 ロシアの日刊紙・ブジュグルリャードには、潜水艇専門家のロシア海軍予備役大佐が「魚雷攻撃ではなく、弾薬爆発の可能性が高い。水中音響探知システムで周辺を探知するのが哨戒であり、天安が魚雷攻撃で沈没したとしたら、彼らは海軍ではなく、穀潰しだ」と述べているという。
 その上、米国側も李明博政権と距離を置きはじめたようで、韓国の調査結果に疑問を抱く情報が漏れ始めた。
 AP通信は5日(現地時間)に、「天安沈没直前、75マイル(120キロ)離れた海域で、米軍の駆逐艦2隻とその他の軍艦が韓国海軍の潜水艦を対象にした対潜訓練をしていた。クライトン在韓米軍スポークスマンは『訓練は3月25日午後10時に始まり、翌日午後9時に終了したが、その理由は天安が爆発したためだ』と語った」と伝えた。

 国際軍事常識から言えば、対潜訓練中に潜入した北の潜水艇に天安が撃沈されたとしたら、韓国海軍はロシア調査団が笑うように「穀潰し=役立たず」ということになる。
 APが「匿名の米国防総省当局者が『天安事件は意図された攻撃と言うよりも、北の跳ね上がり分子の仕業か、単なる事故、もしくは訓練の不手際で起きた可能性がある』と述べた」と伝えているのが気にかかる。

 私は以前このブログに≪いささか“友邦”に対して言いにくいが、政治活動を主体とした動きだとしても、軍事的観点から見れば自分の恥を天下にさらすことになりはしないか?

 つまり、北朝鮮の旧式潜水艦による魚雷攻撃ごときを、なぜ近代韓国海軍が防げなかったのか?という、素朴な疑問である。緊張高まる海域を「哨戒中」の軍艦が、潜航してくる旧式潜水艦を捉えることもできず、全く不意打ちを食らって“轟沈”され、「相手がやった!」と大声で騒ぐ神経が私には理解できないのである≫と書いたが、ここにいたって、どうやらこの問題が表面化してきたようである。

 わが国にとっての問題は、これも前に書いたことだが、日中韓首脳会談で韓国を支持した、≪鳩山氏の「リップサービス?」は韓国を喜ばせるだろうが、北朝鮮は当然反発する。鳩山発言で北が日本に接近する糸口はなくなった。北朝鮮は中国以外は「敵」だと認識するから、日朝間に横たわる諸問題解決はどんどん遠のいていくだろう。つまり、拉致問題の解決は益々困難になるだけであり、私はそれをもっとも恐れる。無責任な鳩山首相の「虚言症」は国内にしか通用しないのである≫と書いたが、これまた現実になりつつある。

 もっとも、シンガンスの助命嘆願をした菅総理だから、拉致問題が解決に向かって動くとは思えないが、いずれにせよ、8ヶ月の民主党ばたばた政権のおかげで、恐るべき誤判断に基づいた取り返しできない外交ミスをしてしまったような気がする。

 朝鮮半島だけではない。下手をすると参院選前後に、イスラエルのイラン攻撃が始まり、中近東が危険状態になりかねない。10月には上海万博が終了して、中国は本格的≪バブル崩壊≫に陥るという経済学者たちの予測が強まっている。

 菅内閣にはもとより、有権者にも「世界の中の日本」という意識を忘れてもらっては困るのである。

≪中東に迫る危機(産経新聞)≫

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