軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

延坪島攻撃

23日午後2時34分ごろ、韓国西方沖にある延坪(ヨンピョン)島付近へ北朝鮮が突然砲撃し、兵士・住民21人が死傷する事件が起きた。BBCによると午後4時までに200発以上の砲弾が発射され、延坪島では山林火災が起き、住宅にも延焼し、韓国軍兵士2人が死亡し、住民二人も負傷しているという。

「大起元時報より」
  
さすがに「平和憲法」と諸国民の公正と正義を信じて生きてきた日本人も、少しは目が覚めかかっているようだが、菅首相の目は死んでいる。「あらゆる事態に対処できるよう、情報収集を指示した」そうだが、防空壕ひとつない平和日本で、どんな「あらゆる事態」を想定しているのだろうか?
公務執行妨害で逮捕した中国“船長”釈放責任を「那覇地検」に負わせたように、ミサイルが飛んできて国民が死傷したら「暴力装置」の責任にして自分は逃げるのだろう…


ワイドショーではこれを巡って“先生方”が侃々諤々のようだが、今年初めからの北朝鮮の動きを観察していれば、このくらいのことが起きても少しもおかしくなかった。「起きるはずがない」と勝手に思い込んできただけである。


健康不安を抱える金正日総書記は後継者選出に腐心していたが、年明け早々から突如28歳の“3男”、正恩氏を後継者として公表した。しかし3男(それも生母に諸説がある)を選定した経緯さえよく分析されてこなかった。

後継者はだれか?と世界の話題になり、ウォッチャーたちが3男「正雲」氏だと報じた時、正式名称不明だからという理由で日本のメディアは「ジョンウン」と仮名で表示することに統一した。
その後金総書記が、カーター元米大統領の訪問をすっぽかして旧満州を歴訪した時、胡錦濤主席が駆けつけて密会したが、その時後継者を胡錦濤主席に紹介したと一部で報じられた。
やがて中国政府が実名を「金正」だと報じ、やっと後継者の「固有名詞」が判明したと思ったのもつかの間、北朝鮮自ら「金正」と日本のメディアを通じて公表した。
ここが興味深い。中国政府は北に泥を塗られたのである。


バカラ賭博が好きで結構ギャグを飛ばす総書記様らしく、中国がつけた≪銀≫ではな≪恩≫と修正したところが味噌だった。金正日総書記は、中国が「金」ではなく一つ下の「銀」だと報じたことに無言の抵抗をしたと推察されるが、この時点で彼が出す「シグナル」に気が付いたものはほとんどいなかったのではないか?拙著[金正日は日本人だった]の取材で接触した友人以外には…


大方のメディアは常に中国が北の“宗主国”であるから、北は従わざるを得ないと思い込んでいるが、プライドが高い北はみじんもそうは思っていない。もちろん中国も北を信用などしていない。利用しているだけである。胡錦濤主席と金正日総書記が「抱き合うシーン」には、双方、特に金正日総書記に“嫌そうな”雰囲気が漂っている。VTRを繰り返してみるがよい。北が何を考えているか?
それは戦後の建国に至るまでの歴史に学ぶ以外にはなかろう。さらに金日成から金正日に権力が移譲された経緯を知るべきである。


第一、この時、日本のメディアは、胡錦濤主席と別れた“一行”は、カーター氏をほったらかして、旧満州地区の「金日成」ゆかりの地を巡り、後継者に偉大な祖父の業績を伝授したかのように報じたが、そのルートを見ると、抗日パルチザンの敗残部隊が、日満軍警に追撃されて逃げ回ったルートに酷似していた。しかもそのころの金日成(金聖柱)は、下級幹部に過ぎず、部隊を率いていたのは4人目の金日成であり、中国共産党幹部、日本軍諜者など諸説がある金策らであったから、“正恩氏の祖父にあたる偉大な日成将軍”の足跡の地ではなかった。それが何を意味するか…


夏以降、ようやく後継者に内定した正恩“将軍”を人民に披露しなければならない。その場を軍事パレードに求め、見事な演出で世界中に後継者を披露することに成功した。北はヒトラーの「宣伝方式」に学んでいて、世界中のメディアは、彼に翻弄されている。さすが映画が趣味であるだけに宣伝戦は一流である。

さて、次は彼の地位を不動のものにしておく必要がある。28歳の、日本でいえば1尉程度の若造が大将なのだから、部下も上司もやっておれないだろう。そこに「ごますり将軍」がにじり寄る。一旗揚げるには今しかない…

正恩がだれを重用するか…。出世人事から外れたものは恨むだろう。そこに組織の崩壊の芽が生じる。すなわち軍の規律にひびが入る。韓国哨戒艦“撃沈殊勲者”に次いで、陸軍でも名をあげたいものが出てもおかしくはない。
幸い、自分の領海である(と宣言している)海域で、“生意気にも”韓国が演習を始め、実弾射撃している。これを利用しない手はない。“自国領土”である延坪島を砲撃しても、国際的には何ら問題はない!
日本が竹島北方領土上陸演習をしてもおかしくはないのと同様に…。


天安号事件で、韓国は強引にも国連に訴え、韓国人総長を動かして北の名誉を傷つけた。「やってもいない?」事件の犯人にされた以上、今度は“堂々と”攻撃してやろうじゃないか!

米国は出てこない。中国も諸事多忙だから出てくるはずはない。ロシアは頼りにならない。相手は“口だけ”の韓国だけ、米国が支援しない彼らの実力は十分掌握済み、いざとなれば[核ミサイル]もある。

仮に韓国が出てくればいつでも応戦できる。出てこなければ「民主主義国:韓国」の弱点である政情が不穏になり、困るのは李大統領とその閣僚たちだけである。
ウラン爆弾開発も周辺諸国の脅かしにはなる。自衛隊を「暴力装置」とさげすみ、非核3原則で動きが取れない日本なんぞ話にならない。今や“軍”の忠誠心も失われている。「俺様と同様な≪破れかぶれ≫の演技をしてみる気は今の日本にはないだろう、どうだ!…」
6か国会議など絵に描いた餅、動けるものなら動いてみろ…
こんなシナリオを北が描いていたとしても不思議ではない。


さて哀れなのは菅政権である。内憂外患どころか得意とする内ゲバで党内も先行き不安定。
北方領土はロシアに、竹島は韓国に、尖閣は中国に…?。その上拉致被害者を取り戻す勇気もないのだから国の体をなしていない。ここも米国抜きでは口先だけである。


○○の一つ覚えのように「日米韓3国で緊密に連携して対応する」としか言えない弱小国に落ちぶれた日本なんぞ、怖くもなんともないが、もしも菅さんが「竹島問題を解決したうえでなければ韓国とは緊密に連携できない。国民感情が許さない」とでも言おうものなら、韓国は北と南に“敵”を抱える事になり、半島情勢は一気に動くだろう…。ま〜それはあり得まいが揺さぶってみるか…。
尖閣問題では日本が「泣き寝入り?」したが、今度は韓国が泣き寝入りするのだろう、政権維持のために、犠牲者の葬儀は盛大だろうが、多分そんなところに落ち着くのじゃないか?


ところでブログのコメントに、重大な情報が紹介されていた。http://www.aixin.jp/axbbs/kzsj/kzsj4.cgi【荒んでいく世界】≪自民党第11管区海上保安部等調査団報告記者会見」である。
こんな重要な記者会見が全く報道されないことは異常だろう。
メディアの情報操作、というよりも、今のメディアが反自民・民主擁護で凝り固まっていることが証明されている。まずこれをしっかり解決したうえで、半島情勢を分析をしてもおかしくはなかろう。


いずれにせよ、領土領海、主権問題とは、これほど国家にとってゆるがせにできない問題だ、ということを今回の北の砲撃事件は示しているのだが、今の日本人には理解できるだろうか?
もう一つ、半島は≪戦争休戦状態≫にあることを忘れているから大騒ぎするのである。

半島では、今回のような戦闘がいつ再開されてもおかしくはない状態なのだが、それを忘れて韓流ブーム、ヨン様ブームなど、何を血迷っているのか、これも軍事を忘れた戦後日本人の恐るべき知的怠惰の証だろう。
日本は今、足元を固めるのが最優先である。それも速やかに!

金正日は日本人だった

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ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

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ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下

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