軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

軍事無視のツケ

原発事故の情報について官房長官はやはり東電のせいにし始めた。東電の情報が遅く不正確だというのである。
対策本部(政府)に報告している間に、現場は流動的なのだから、時間も内容も「どんどん変化?」していてもおかしくない。原発情報については、首相は「原発専門家」だそうだが、ここは一つ現場監督である保安院と東電に任せ、政府は「復旧・復興計画」に全力を尽くすべきであろう。
政権担当が“素人”だからと逃げている暇はない!


「指揮の要訣は、部下を確実に掌握し、明確な企図のもとに適時適切な命令を与えてその行動を律すること」にあり、その際指揮官は「部下指揮官に対してその能力を十分に発揮できる余地を与えることが必要だ」と幹部学校で教わった。


指揮官にとって最も重要なことは「決心」であり、「所要の命令を発すること」である。

しかし所詮は一人の人間、能力・体力には限界がある、そこで指揮に当たっては「指揮を軽快機敏」に、あるいは任務を「効率的に遂行」するため、必要に応じて「特定の指揮官などにその隷下部隊以外の部隊などを、所要の事項に関して統制させる」ことが必要になる。そのためには「組織を確立」し、「統制事項、基準」を明確にしなければならない。こんな時は首相も防衛大臣も部下を信用して口出ししないことが望ましい。


今行われている「救出・復旧作戦」は、まさに「軍事作戦」なのだが、素人の「シビリアン」には困難窮まっているように見えるが当然である。
戦後60年間「軍隊は悪」だとして軍事は一切無視し、「自衛官の些細な発言にも神経をとがらせて、シビリアンコントロール!!」と排除してきた。
学校でも「自衛隊憲法違反・人殺し集団」だと教え、自衛官の子弟をも白眼視して排斥してきた国柄のツケが噴出して、このような混乱した事態にどう対処していいかわからず右往左往しているように見える。

平時だったら、炉端で焼き肉でも食いながら大言壮語し、バラエティー番組でスタジオに若い女性を集めて偉そうな御託を並べて済んだろうが、有事にはこうはいかない。正体見たり枯れ尾花…である。


一応速報態勢を脱したメディアも、「トモダチ作戦」を展開している米軍や、家族を放置して救助に当たっている自衛隊員たちの活動は意図的に隠し、奇妙な「ピースボート式」ボランティアの活動を、お涙ちょうだい式に報じ始めているが、現地入りしているレポーターの報道内容も、定番すぎて鼻につきだした。多忙極まりない関係者を拘束して「今何が欲しいですか」などとわかりきった質問に終始しているが、そのくらい自らわからないのか?
TV報道も、本来あるべき姿に帰って、共に復興に向けて立ち上がるときだろう。犠牲者や被災者たちに、これから何ができるかを考えて見る方がよい。


現役時代私は部下たちに「見る人の心心に任せおきて高嶺に澄める秋の夜の月」と述べ「任務第一」だと説いてきた。
60年間、いいことをしても取り上げられず、少し間違うと針小棒大に非難されてきた我々自衛官は叩かれ強いから気にしてもらわなくてもいい。
しかし悲しい?ことに救出活動では、結局「反自衛隊活動家」や「俺を誰だと思っている!」と胸ぐらつかんだ代議士さえも差別なく救助するのが我々の使命であることが、時と場合によっては現場の若い隊員たちには理解できない事があるからである。
そんなときには「差別されても差別はするな!」と言い聞かせてきた。
いや、隊員たちは決して“差別することなく”人道に従って平等に活動している。たとえ救助を求めてきた人が、今のボランティア担当補佐官だったとしても…


だが自衛官と言えども人の子、誰も見ていない暗闇の中で懸命に復旧作業している東電社員、関連企業社員同様、家族もあり、意志と感情を持った人間であることを忘れて欲しくない。


被災直後、仙台空港が水没したニュースを見て松島基地も心配したが、松島基地は補助滑走路を復旧してすでに輸送機が活動している。

ところが仙台空港の方は、米落下傘部隊が降下して、滑走路を1500メートル復旧しすぐにC-130などが“強行着陸”して重要な救援活動を繰り広げている。
これが「軍隊」の真の姿なのである。

≪参考:仙台空港 復興の陰に在日米軍の尽力  2011.3.25 21:50=メールから≫ http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110325/dst11032521520105-n1.htm


軍事作戦では、航空優勢確保のため、いの一番に滑走路を復旧して航空活動を再開するのが基本である。ガダルカナル島ではヘンダーソン飛行場の奪い合いで死闘が繰り広げられたし、沖縄も飛行場を奪取されてから一気に不利になった。
終戦後、厚木飛行場を復旧してマッカーサーを受け入れねばならなくなった時、海軍は8月25日午後3時までかかって徹底抗戦を叫ぶ小園部隊を“復員”させ、有末中将を委員長とする機関を作り、連合軍先遣隊受け入れのためまず飛行場を整理した。これには土木専門の大安組(安藤組の前身)と海軍工廠の工員、地元住民を動員することにしたが、この時大安組の大親分・安藤明とその子分250人が駆けつけて懸命に国家に貢献したことは日本人はすでに忘れてしまっている。

 ≪厚木に降り立つマッカーサー=週刊20世紀から≫


今回も、情報によれば「[やくざ]が防護服なしで被災地救援に尽力している」と外国メディアが伝えているという。任侠道をわきまえているのが日本のやくざ(少なくなっているようだが)、任侠心のかけらもないのが「政治屋」だろう。


官僚のみなさん方がせめて大学などで軍事、軍事史を学んでいれば、自前の軍隊などで仙台空港復旧策をとっただろうに、普段は「自衛隊や米軍機の使用を拒否」している「民間空港」だから考えもつかなかったのか、それとも誰か思いついたにしても組合から怒られるので黙っていたのかもしれない。
皮肉にも普段は使用を絶対拒否したり嫌がらせをしていた“同盟国”に“占拠?”されたんじゃ聊か恥ずかしくはないか。

仙台空港を復旧する米軍=メールから≫

ところで国民が被災地の悲劇に目を奪われているすきに、いろいろ奇妙な事象が国内で進行しているようで気がかりである。

すでに気が付いた方々からいろいろな情報が入るが、救援物資が適切に被災地に届かない裏には、“政府御用達のボランティアグループ”が到着するまで配布を控えさせられているとか、被災地の選挙が遅れているので、このグループがいかにも活動して救援したかのような大々的PRが計画されていて、復興後の選挙を有利にするのだとか、およそ被災者、犠牲者のことなど無視した「利党行為」を狙っているのだという。

現実的活動に徹している水島代表指揮する「チャンネル桜救援隊」も現地入りして地上波TVが報じない被災地の生の状況を伝えつつあるが、その一端として【桜・ニュース・ダイジェスト】に報告が連載されている。

私の前回のブログのコメント欄にも貴重な意見が紹介されているからご一読いただきたい。

何度も言うが、官房長官や首相の記者会見にだけ気をとられていては、「外資系政府」が活動を取り仕切っている裏の姿を見誤りかねない。
問題は、旧社会党系の事務局員たちの政府内での隠密行動である。
軍事的に見れば、この混乱した現状は謀略活動にとって最も適した環境であるということ! おのおの方、ゆめゆめ油断めさるるな!

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