軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

自宅に戻れば「前科者?」

政府は、福島原発から半径20km圏内に出している「避難指示区域」を今日から「警戒区域」に切り替えた。

産経新聞から≫

今後この立ち入り禁止区域内に入ろうとすると、強制的な立ち退きや拘束されることもあり、しかも罰金10万円以下に処せられるという。
ちょっと待ってもらいたい。この圏内の住民が何か犯罪でも犯したというのであろうか?“犯罪”を犯したのは東電であり、行政指導力不足の政府の方ではないか?住民に何か落ち度があったというのであろうか?

≪ご先祖様も家畜もほったらかしで?≫

官房長官は「住民に何かあってはならない…」などと言っていたが、これは共産主義国政府がよく使う方便である。


昭和52年春、外務省に出向していた私はモスクワを訪問したことがある。ベレンコ事件(MIG25)直後であったから、ホテルに宿泊できず、防衛駐在官宅にお世話になったのだが、市内の一角に「外交官宿舎」があり、厳重に兵士が警備していた。その異様さは体験したものしかわからないであろう。
理由は「外国人(外交官)をソ連人の犯罪から守るため」とされていた。

≪住民を取り締まる警官も悩むことだろう…。旧ソ連KGB、隣の公安を思い出す≫



そのくせ外交官の家には共産党員の監視員がメイドとして入っていて、電話はすべて盗聴されていたから、監視されているのは外交官の方であることは明々白々であった。
21世紀の今、自由なわが日本国内で、ソ連方式の国民監視と規制が適用されることに開いた口がふさがらない。正体を現し始めた民主党はとうとうKGB方式をとり始めたか!


確かに放射線を浴びるのは健康上良くないという理屈は分かるが、そんな状況に追い込んだのは1か月たっても改善できない政府、東電側ではないか?

そんなにこの一帯が「危険」なのなら、「放射線の値は人体に大きく影響するものではない」とか、「念のための処置」などというべきではなかろう。
自らは家族をシンガポールに避難?させておいて「放射線値は人体に被害をもたらすほどではない」という神経がわからない。
ならば、20km以内の住民を帰宅させる配慮をすべきであり、「危険だ」というにもかかわらず、住民が規制を無視して自宅に居残った場合には「自己責任だ」とするほうがよほど理解しやすいのではないか?
こんな矛盾したことばかり言うから外国で「相当な放射線が漏れているのに日本政府は隠蔽している」などと報じられるのである。


放射線ごときでこんなお粗末な対応しか取れないのは、国是としての非核3原則…など、核戦争勃発が否定できない環境下にありながら、日本だけが「ダチョウの平和」をむさぼってきた結果であり、戦後60年余、核戦争時代にそっぽを向いて核攻撃に対処できる体制を全く取らずに来たツケが噴出しているのである。

三沢時代、米軍の演習は、核攻撃、化学兵器・生物毒素兵器攻撃を想定して行われ、兵士各自がそれに対処できる薬品などを携帯していたし、医療班もそのどれにも対処できる装備を完備していた。もちろん家族も同様であった。

同じ演習でも、わが自衛隊は戦闘機の発進では引けを取らなかったが、基地警備隊員たちは、銃剣道の木銃片手に雨がっぱを着て、軍手姿で飛行場に立ち、米軍兵士たちの迫真の演習行動に圧倒されていたものであった。


空母レーガンはじめ海軍艦艇は、被爆した際は直ちに人員を艦内に収容し艦全体を海水を放水して核物質を洗い流す装置が付いているし、海自艦艇もそうなっているはずである。自ら搭載しているのも核魚雷はじめ核兵器だから事故にも備えていた…


今回、化学防護班などにNBC対処装置が付いた防護車両を多数装備していれば、原発対処はもとより、住民の一時帰宅などで大いに力を発揮できたはずだろう。

今更過去を振り返っても始まらないが、軍事的素養が欠落した「平和国家」のみじめさを、今回の震災で国民は十分体験したと思う。

それにしても、自宅にお位牌や私物をとりに入ったら、警察官に拘束されて、下手すれば[前科1犯]にされるのじゃ堪ったものじゃない。まるで共産主義国そのものである。


今朝の産経新聞の「主張」は、政府の増税策を非難し「…大震災という深手を負った日本経済に、消費の一層の冷え込みや成長率の低下などをもたらす。国家が潰れてしまいかねない」と警告、「『復興構想会議』の五百旗頭真議長は、今月14日の初会合で巨額が見込まれる復興財源を確保するために『全国的な支援と負担が不可欠』と増税の必要性を打ち出した」と批判した。
ついでだが、五百旗頭議長は確か防大校長“現役”のはずである。今回要職に就いたのだから、防大校長を辞退してほしいと思う。2足のわらじでしっかりした教育は出来ないだろうし、国家復興計画も立派なものができるはずはなかろうから。


そこでふっと浮かんだのが、この政府の目標は「この国を潰す」ことにあるのではなかろうか?という疑問である。
外務大臣も現総理も「外国人から献金」を受けていたし、私の高校同窓生の土肥君(その後民主党を離党)も「竹島は韓国領だとする文書に署名」した人物である。どうも原発処理を含めて震災対策も、この“外資系”政府のもくろみ通りに動いているように思われてきた。

そう邪推して推移を見ると、「主張」が指摘したように「大震災という深手を負った日本」に「成長率の低下などをもたらして」「国家を潰そうとしている」かのように見えてくる。


各局のTV番組もそろそろ『のど元過ぎた』番組に戻りつつある。しかし用心した方がよかろう。
気が付いたら、言論の自由も封じられ、取材行動も制限され、それに違反したら「罰金10万円以下、拘束もある」ことになりかねない…。
現在大陸で進行中の事態と変わらなくなりそうで、原発事故を巧みに利用した「国家転覆活動」が進行しつつあるのではないか、と心配になってくる。

≪今月号のSAPIO=なかなか読ませる!≫

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