軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

吉と出るか凶と出るか、世田谷区長選

統一選後半戦も民主党は大敗した。いかに国民から信頼されていないか、明々白々であるにもかかわらず、大震災で後れを取り、いまだに国民を振り回している民主党代表の菅総理は多分辞職することはないだろう。「たとえ支持率が1%になってもやめない」と発言した以上やめるはずはない。
彼には身命を賭してやらねばならない「目標」がある!?


今朝の産経は、「民意はやはり首相交代」と主張したし、五嶋清政治部長は「2つの猶予期間の終わり」というコラムに、「自民党に代わって民主党が政権の座についてから1年半以上が経過した。菅首相というよりも民主党そのものにとって、モラトリアムの季節は過ぎたのである」と書いた。その通りである。
しかし、産経の“希望”は達せられないのではないか?

≪希望的観測?=産経新聞


≪絶対に政権は放さない!=産経新聞


先日友人と話す機会があったが、彼は堕落した自民党に鉄槌を食わせるべく民主党に入れた一人である。しかし「こんなに民主党がひどいとは思わなかった」と悔やむ。
「だから言ったでしょう。自民は腐ってもイワシだが、国体を維持するためにはこれ以外には選択肢はないのだ。一旦左翼政権になれば、二度とふたたび自由は取り戻せない、と」というと、「冗談だと思っていたが本当に恐ろしいことだ。どうすれば交代させられるか?」という。
次の総選挙まで不可能なのだが、その間に失われるものはとてつもなく大きい。
「思い出して欲しい。教授たちを吊し上げて有頂天になっていた彼らゲバ学生を排除したのは機動隊じゃなかったですか」というと無言になった。


党是である憲法改正を放棄した自民党も腐りきっていた。思い上がっていたのである。いや、自民党内に≪党内左派≫が大手を振って跋扈していたのである。「自民党」という看板に隠れて…。
しかも≪政権≫という甘い蜜の味が忘れられなかったから、社会党という極左集団とまで手を組んだ。村山首相を最高指揮官に頂いた時、私は彼に≪捧げ銃≫をする仲間が信じられなかった!これで私の中では自民は事実上終わったのだった…

しかし、大方の有権者は「今回の民主党のような無様な選挙の後は、自民党の首相や幹事長は責任をとって辞職した」ことに慣れていたから民主党もキットそうだと思い込んでいた。だが「民主党」という看板に隠れて実権を握った左翼闘士たちは、ヒトラーのように確固とした不動の目標を持っていた。「日本解体」という目標を。
それに気が付かない有権者が多かったのが前回の選挙の落とし穴だったのだが、今回の統一地方選でもその「ミニチュア版」が出現した。
社民党衆院議員の保坂氏が当選した世田谷区長選である。


彼の選挙区はもともと東京6区(一部世田谷)だったが、政権交代後は民主党と協力するため8区に移籍して落選、平成22年の参院選でも落選した人物である。そして今回は「反原発」を前面に出して戦った。


それはともかく、確かに今回の世田谷区長選は各種候補が乱立して区民にはなかなか理解されにくかったようだが、自民敗戦の原因ははっきりしている。つまり保守票の分裂である。
無所属新人の花輪氏は元民主党都議、ところが築地市場移転反対だった民主党から、賛成に回ったため除名され、石原都知事自民党都連と連携して無所属で出馬した。
しかしこれに自民世田谷総支部が反発、元区議の川上氏を擁立したから、自民は分裂して社民党に漁夫の利をさらわれた。

社民党の重野幹事長は、「社民党出身者が首長になることはそう多くない。すばらしい」と記者団に語り、勝因は「脱原発」の流れが後押ししたとの見方を示したという。
保坂氏に投票した83983人の支持者のうち「反原発」支持者がどれだけいるか知らないが、今後は少なくともそれくらいの比率で世田谷区の消費電力は減るに違いない。原発に反対する方々は、原発の発電分は自ら不使用のはずだろうから…
しかし、成田空港建設に、警察官を火焔瓶で殺害してまで反対して戦った、当時の社会党を中心にした元法務大臣のような方々が、成田空港を平気で使っている以上、反原発闘争も偽善だ!と私は睨んでいる。


これからの世田谷はどんどん左傾化するだろうと思う。保守派は埋没し、左翼系がのさばる。まず、区が管理する各種施設、例えば図書館などには左傾のパンフが並び、多くの本も入れ替わるだろう。あらゆる場面に左翼が口出しして止められなくなるだろう。


まあしかし私は6年前、世田谷から“夜逃げ”したので、その影響も受けないし選挙に責任も感じない。ただ世田谷は80万の人口を持ち、独立した市になりたい要望を持つ。都政に対する影響力は無視できない区である。

メンツにこだわったのか、正当性を維持しようとしたのか、自民が分裂さえしていなければ、花輪・川上氏の得票総数は138784票だったのだから、区長を奪われることはまずなかったに違いない。自民は小異を捨てて大同につけなかったのである。社民党は≪まさに棚ボタ!≫、しかし区民は塗炭の苦しみを味わう事になるだろう。


私が言いたいのは、前の選挙で予想だにしなかった自民から民主に政権が交代し、自民党が泥まみれになって這い上がれずにいる間に、民主党政権は日米関係、大震災対処でその手法を誤り、日本国の国際信用を地に落とし、国民を“泥まみれ”にしてしまった。実はそれが彼らの「目標」なのだが、そのミニチュア版を世田谷区長選にみる思いがしたからである。
吉と出るか、凶と出るか、元世田谷区民の一人として静かに見守っていきたいと思う。

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