軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

2012年は大陸大乱か?

今週は落ち着かなかった。台風もあったが、都心に出ることが多くて…。
宮崎正弘氏が主宰した18日の石平氏の披露宴には、多くの“知の巨人”たちが参集したが、話題は現政権にあきれる声が大半で、おめでたい席なのに“忌み言葉”が飛び交い、堂々と壇上で発言した大物もいて会場は笑いに包まれた。

21日は史料調査会の研究会。「中央アジアにおける近年の中国の影響力拡大」について、拓大助教の中島隆晴氏が極めて簡潔、かつ論理的に解説した。
いずれにせよ、わが国からは“遠い”中央アジアでは、各国が入り乱れて「資源獲得」に余念がないことがよくわかった。とりわけ中国のあくなき野心はとどまるところを知らないが、この手法では「新植民地主義」であり「帝国主義」だからやがて破綻するだろう、と感じた。「友好の裏に資源あり」というところか。

次回の研究会は8月をお休みにして、9月8日(木)1330〜1600(渋谷区神宮前:水交会)で、防衛研究所教官の鶴岡路人氏が「NATOの新しい姿」を解説してくれる予定である。


昨日は午後から世界戦略研究所で講話するので、その調整と今回の大震災、および予知されている「関東大震災」について意見交換した。
ちなみに私の講演は8月27日の誕生日!に次の要領でお話しすることに決定した。いつもの防衛漫談である。


その後空自OBパイロットの集まりに参加した。はるか東松島市から駆け付けたU君の体験談は身につまされたが、被災家屋建築のための大工さんが非常に不足していて、1〜2年単位の復旧はあり得ないという。全国から大工さん、建築業者が集結しているのでは?というと、隣の後輩が「東北は労賃が安いので高い地方からはいかないようですよ」と言ったので何でも「時給イクラの社会か!」と絶句した。真相は不明だが、政府の指導が遅れているのは事実である。

話の中に、仙石線地震で不通になったが、電車が駅構内に停車していたためそばの踏切警報機が鳴りっぱなし!

津波警報で避難する車両でごった返したが、なんと、警報機の指示に従ってみんな一旦停車するため後続車両は津波に飲まれたという。
律儀というか機転がきかないというか、亡くなった方には言いにくいが、今の日本人は危機に対処する「本能」がマヒしているとしか思えない。
仮設住宅を田畑に建てようにも、法律の縛りで建てられず、結局被災地を整理して建てるらしい。誰も“新たな前例”を作ろうとはしなくなった、いやはや〜〜


ところで今朝の産経8面に非常に気になる記事が出ている。

江沢民派に献金して巨額の資金を稼ぎ、カナダに亡命した密輸王・瀬昌星氏が月内にもカナダから中国へ送還されるという。中国外務省は「瀬昌星氏は中国司法機関が指名手配している容疑者で、帰国して法に基づき裁判を受けることは中国政府の明確な立場。カナダの裁判所の決定を歓迎する」と発表している。

彼の献金先は当時福建省トップの賈慶林氏、NO2の賀国強氏である。「いずれも江沢民国家主席(当時)の側近」で、抜擢されて中央入りし現在は共産党最高指導部の政治局常務委員会のNO4とNO8である。


≪9人のメンバーのうち、胡錦濤温家宝以外は上海派。この記事は残る7人の中から2人が”消える?”ことを示している=インターネットから≫


産経は上海閥の影響力低下が原因と指摘され≪胡錦濤派が瀬氏の供述をカードとして使い、党大会人事などで上海閥の動きを牽制することができる≫という中国筋の言葉を紹介しているが、瀬氏が帰国する前後に「江沢民前主席は死亡する」のだろう。

言うまでもなく次期主席の習近平氏は江沢民氏の影響を受けているから、さてこの戦いはどうなるか?最高権力者グループのバランスが崩れだした!
いずれにせよ各派閥間の権力闘争が激化しつつあるとみるべきだろう。それが対日政策にどう影響するかが見ものだが、こんな時にODAを継続しようと進言する日本大使の判断が理解できない。
菅首相も、北朝鮮献金?し、自らもその恩恵を受けていることが明白になった。
内も外もカネで権力の座に就く習性は同じのようだが、菅首相の“献金問題”は、直接同胞の命がかかっている。だから私はこの関係者を「国賊」と呼び「国家反逆罪」でしょっ引くべきだといっているのである。

この記事の右には、北朝鮮世襲交代も≪平坦ではない≫という英国シンクタンクの分析も出ている。半島情勢も極めて微妙であるが、アジアの大国・日本は一体何をやっているのか気がしれない。
私は2012年危機を唱えているが、“想定外”のことが起きる気がしてならない。


気分が悪くなるのでこれで今日の更新は終わるが、この週はいろいろな出版物が届いていた。


しかし、640ページに上る寺島儀蔵氏の著書「長い旅の記録:わがラーゲリの20年(中公文庫)」を読んでいた私には、とても全部に目を通す時間がなかったが、ここで書名だけでもご紹介しておくことにする。



【新著紹介】
===================================
1、ジャーナリスト・西村幸裕氏の労作である。

 今各地で選定されようとしている「教科書」の中身がいかに子供たちに取って有害かが一目瞭然である。特に≪自衛隊≫についての解説は未だに異常であり、今回の震災で身を顧みず献身した隊員たちに対する冒涜だと思うが、それでも地方の教育委員会ではそんな教科書を採用するのだろうか?親御さんたちは必読だと思う。


2、そこで自由社がまとめた「新しい教科書」をご参考までにご紹介する。


3、石平氏の新著である。披露宴の引き出物だが、相変わらず中国内部事情を鋭く批判している。


4、書名の通り、第4?の権力と言われて久しい新聞記事の誤りを衝き、記事の分析と無責任ぶりを切った本である。

日下氏の編集になったものだが、「わが“県紙”を俎上に乗せてみよう」と言う意図で編纂されたもので、15名の識者が詳細に記事を分析する。私も「東日本大震災と田母神バッシング」の項を書いたが、本当は恐るべき検察、裁判所の無知、そしてそれを根拠もなく煽って自衛隊パイロットを“有罪”に仕上げた「雫石事故」報道の実態について書きたかったのだが、いずれ機会を見て公表したいと思っている。「あたご事故」も、村木局長事件も、そして今や[東電OL殺害事件]にも、公表されなかった事実が出てきたし、新聞の無知も暴露されてきたから…


5、防大の先輩、大熊氏の第2弾である。
米海軍の戦略思想について、時代を経て詳細に分析した専門書だが、終章に「統合防衛革命への道」と題して氏の提言がある。防衛に携わる後輩諸君に是非読んでほしいと思う。


6、先日靖国のみたま祭りに行き、遊就館で見つけたもの。日本人の作法を集大成したものだが、作法の裏に日本人の美意識や伝統精神が浮き彫りになっていて、読むだけでも大いに楽しくなる。たまには【固い軍事もの】を離れて、疲れた脳細胞を癒すのも一法…