軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

早や霜月…

早いもので11月を迎えた。
辞書によると、11月はグレゴリオ暦で年の第11の月に当たり、日本では霜月と呼び、現在では新暦11月の別名としても用いる。「霜月」は文字通り霜が降る月の意味である。他に、「食物月(おしものづき)」の略、「凋む月(しぼむつき)」「末つ月(すえつつき)」が訛ったものとする説もあるとされる。


3・11の被災地では既に霜が降り、冬支度で多忙なことだろう。東北の冬は半端じゃない。安普請の仮設住宅などで、健康を害されなければいいが、と心配になる。


先週は何かと都心に出ることが多く落ち着かなかったが、30日(日)にニューオオタニで行われた国家基本問題研究所主催のシンポジウム、「中国海軍の増強で緊張高まるアジアの海」は熱気に包まれた。パネリストは桜井よしこ田久保忠衛島田洋一氏に、海上防衛の専門家・元海幕長の古庄幸一氏が加わったから1000人を超える参加者は熱心に聞き入っていた。

尖閣での中国漁船による巡視船攻撃事件以降、かなり国民の危機感は高まっているのを感じるが、政府の動きは非常に遅く感じる。果たして来年の国際的な危機に対応できるのだろうか?と気がかりである。


米軍はアフガン、イラクから撤退する。その空白をどこが埋めるかと言えばイランの公算が高い。中東情勢は混とんとしてきたが、EUは頼りになりそうにない。
しかしアメリカの今後の重点はアジアである。南シナ海東シナ海、とりわけ台湾問題は、下手すると来年1月に決着しかねない。それも悪い方向に…

≪アフガンで戦う米軍兵士たち=インターネットから≫


中国海軍はなんといわれようと長距離SLBMを開発して、東シナ海に潜航させ、対米核報復手段を確立するだろう。そうなればさすがの軍事超大国も、経済支配?を受ける現状では、おいそれと手が出せなくなる。太平洋に2匹の龍は住めなくなる!のである。

≪上海の造船所で建造中の中国空母=インターネットから≫

≪中国の原潜=インターネットから≫

その上無二の同盟国である日本は、震災による経済的打撃もさることながら、安全保障には“全く”無関心で、同盟国の足ばかり引っ張っている。
やむを得ず一時的?強化策として米は韓国を利用しようとしている。しかしここは半島であり、橋頭堡に過ぎない。朝鮮戦争でも、あわや追い出されそうになった!
米国は何とか日本というFBS(前進基地)を活用したいのだが、普天間問題さえ15年かかっても解決できない同盟国である。
あの時生まれた子供はすでに中学卒業を迎えつつあるのに。
パフォーマンスで「普天間返還」を打ち出した当時の何とか首相は、今頃黄泉の国でどう思っていることだろう。皮肉なことにその後始末を、当時の野党がやるなんて、まさに漫画以外の何物でもない。


だから現地をつぶさに見て退官した私は、普天間移設より同基地の安全性を高めるようにする以外にあるまい、と説いてきたのであった。
早や15年、南国らしい穏やかな沖縄県民は、いまや国際的に“ゆすり集り”県民であるかのような印象を与えている。
その責任はもちろん当人たちのせいだが、その裏には彼らを貶める[外人部隊]の存在を否定できない。
今、米軍が沖縄から撤退すれば、それは中国に恐るべき誤ったシグナルを与えることになる。[外人部隊]はそれを狙っているのだが、野田首相はそれを打ち破ることができるかどうか…


自分の国はまず自分で守る、これが古今東西、歴史が示す教訓である。わが国にはまず南西方面の防備を固めること、そして、自衛官を増強することが最優先されるべきであろう。これもまた自民党政権によって、なし崩し的に予算削減、人員削減されてきたものだが、古庄氏は≪すでに限界に達している!≫と壇上から叫んだ。
よく言ってくれた、と私はうれしく思った。
前政権の残債を、当時の野党が与党として払しょくするのもまたいいのじゃないか?
野田首相には是非思い切った防衛施策を遂行してほしいと思うのだが、今のままでは期待はできそうにない。政府は陸自部隊を南スーダンPKOへ派遣することを閣議決定した。自国の戦力をどう評価しているのだろうか?
派遣は来年2〜3月になる見通しで、「陸自中央即応連隊約200人と、本隊となる施設部隊約300人。第1次隊として中央即応連隊が入り、宿営地などを設営。その後入国する施設部隊が国連から要請された道路や橋梁などの社会インフラ整備に従事する。比較的治安が安定している首都ジュバや周辺地域を活動拠点とする方向」だという。打出の小槌でもあるかのように、削減されつつ各地に増強派遣される! 黙々と従う自衛隊は酷使されている!
その結果、どんな破綻が組織を襲うか気がかりである。


来年は下手をすれば今年よりもはるかに恐るべき事態にならないとも限らない。天変地異の下で、70億人の食糧を確保しなければならない問題もさることながら、米国、ロシア、中国、台湾、韓国、北朝鮮…の“指導者交代”が重なる。
まさに「天・地・人」が乱れるとき、アジアの大国・日本はどう対処するのか?
自衛隊抜きで“嵐”に対処できるのか?

≪この国には同胞が拉致されたままである…=インターネットから≫

政治家には知恵を絞って切り抜けてほしいものだが、見ているとTPP=「食物月」、円高=「凋む月」、国全体が「末つ月」になりつつあるように思える…。


そんなことを考えながら聞いていたが、懇親会では、皆さんの意見は急がれるのは「憲法改正」だという意見が圧倒的だった。

私は「今や遅し、現憲法破棄しかない」といったのだが、漸く国民の中に、戦後日本人堕落の根源・諸悪の根源が憲法にある、と気が付きだしたようで、その点でも収穫があった会合だった。

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再起

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