軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

台湾問題の解決

2012年問題の端緒をなす台湾総統選挙は、現職の馬氏が再選されて終わった。現地では巨額のカネが飛び交い、悲観的な予想が支配的であったから、馬氏の689万票対蔡女史の609万票という80万表の差は“善戦”だといえなくもないが、問題は選挙戦の結果ではない。これで中国の台湾併合問題は大きく前進した。


2008年7月、北京五輪の陰に隠れて胡錦濤政権は対米、対日外交戦略を決定した。
その主要な原則は「2012年の台湾問題解決のために効果的な外交措置を採用し、米日に台湾における中国の核心的国益に関する譲歩を促し、その譲歩を引き出すための取引き条件として、一時的に一部の外交上の利益を犠牲にすることも惜しまないことを決定した。同時に中華民国(台湾)と外交関係を保持している小国に対しては、大した問題ではないから外交攻勢を緩めていく。
こうして馬英九の大陸≪外交休戦≫に呼応して、台湾人の目からみた馬英九の威信を引き上げ、台湾人「敵対勢力」の目を欺き、台湾人の馬英九政権の中台政策により多くの台湾人の支持をだまし取り「中華台北」の名で国際組織に加入することを緩和し、この呼称を国際的に使用することで「中華民国」の国際法上の地位を低下させる。

中国外務省はこの計画の最後の部分に「我々がアメリカとの外交取引に重点をおいてうまくすれば、台湾問題解決の国際的条件がそろってくる。この方面において、過去に我々はすでに一定の成果を上げており、今後さらに効果的な措置をとるが、できるだけ早くアメリカと台湾問題における戦略的取引の意向を取り付けなければならない」と記述している。

やがて馬英九新総統は「中華台北」の名で世界保健機構に参加して、台湾人にも喜ぶことを求めるだろう、と「暴かれた中国の極秘戦略=2012年台湾乗っ取り、そして日本は?」の著者・袁紅冰詩は書いている。


台湾のダブル選挙の投票が迫った12日に、台湾に選挙の観察にやってきたダグラス・パール、米元AIT代表が台湾の総統選挙に非公式介入をする発言をしたが、アメリカが他国の選挙に関与するような発言をしてはならないはずだ。
二ヶ月前には国務省副長官のカート・キャンベル博士が、「アメリカは台湾の選挙に対し中立を守り、国民党と民進党のどちらの候補者が当選してもアメリカは当選者を支持する」と公式声明を発表している。
そして14日には、カーニー報道官が素早く馬英九総統の再選を祝福し、「中台関係の安定は米国に極めて重要」とする声明を発表した。大統領選を控え、軍事力再編中のこのような米国の動きを我が国はどう分析してるのか?


いずれにしても、これは台湾人の選択であり、我々日本国民が介入できる問題ではない。台湾人が金に目がくらんで投票したにしても、その結果責任は台湾の有権者にある。ゲバ学生政権を選んだ日本の有権者同様に。


しかし、アジアとわが国の安全保障を考察してみると、この結果からは決して明るい見通しは立てられないであろう。


ホルムズ海峡の危機、原油輸送路の危機、原発再開の危機、半島危機、EUの経済危機、円高、そして一向に進まない東日本大震災の復興…

「絆」ばかり強調し、「がんばろう、日本」をいくらどなってみても、身に迫りつつある危険を回避することは不可能である。


国家防衛の要である自衛隊の指揮官は「素人に次ぐ素人」が選ばれ、治安を預かる警察は、パレードはうまくても足元がおぼつかない。そればかりか真面目な警官が命を張って捕えた凶悪犯人を、刑務所が平然と?取り逃がして恥じないのだから、この国の大元は腐っている。国民は何を信じればいいのか?


今回の台湾総統選挙の結果は、既に2008年に定められていた極秘戦略が遂行されただけで、今年は台湾から中国共産党の極秘戦略の第一歩が推進され、その次は日本である。ロンドン五輪で浮かれている間に…


中国共産党の「対日外交戦略計画」の最後は「戦後半世紀の日本外交の相対的特徴を分析すると、日本はイデオロギー方面の問題について重きを置かない。
もう一つの特徴は十分理性的であり、既成事実は受け入れるという傾向がある。それ故我々は、その他の方面で、日本に十分な譲歩をし、日本に対して、何かしら利益的要求を満足させると同時に、効果的な方法で台湾問題において、日中両国どちらも有利となる理性的選択をするように促すことができる…」


さて、野田総理内閣改造を実施した。この顔ぶれで、予想される国難を乗り切れるかどうか、と危ぶまれるが、他方で戦後の人材不足極まれり、明日は我が身…だと痛感する。

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