銀座の一角から、厳しくこの国の行く末を見つめてこられた奈須田敬先生が亡くなった。
保守論壇には憂国論を唱え、国家存亡の危機を憂える方々が多いが、奈須田先生は目立つことを好まず、黙々と自己の信念を通してこられた。
「ざっくばらん」というミニコミ誌(失礼!)を主宰してこられたが、ページ数を誇るどの月刊誌よりも内容が充実していて、事象の根本と、物事の本質をとらえた論を展開しておられた。
それは過去の歴史に基づいたものだったから、だれも反論しようがない真理でもあった。
私は、昭和49年、外務省に出向した時、先輩に連れられて初めて先生にお会いし薫陶を受けた。
百里基地のファントム飛行隊長の時、幹部教育をお願いしてお呼びしたが、田舎なので宿泊が不便だったので狭い官舎にお泊まり頂いたが、この日たまたま長男が盲腸炎で緊急入院したため、急きょ東京から義母が駆けつけて朝食を準備したことがあった。
今では懐かしい思い出である。
30日の新聞で知り、31日夕刻、浅草で行われた通夜に取り急ぎ参列したが、前日までお元気だったという。
以前、心臓にペースメーカーを入れられたのだが、メイドインUSAだそうで、「サトちゃん、これが本当の日米同盟さ!」と笑われたものだった。
なんだか、日米間のぎくしゃくした現状に“これ”が急に不具合になったのではないか?などと気になった…。
信念を貫かれた貴重な存在だったが、≪おれが俺が…≫の世界にあっても常に表に出ることを好まず、一ジャーナリストとして生涯を終えられたことに敬服する。「ざっくばらん」終了を惜しむ会でお会いしたのが最後になってしまった。
ご冥福をお祈りするが、いずれ黄泉の世界でお会いできる。その時、「その後の経過」を聞かれてもいいように、「戦後日本始末記?」を少しずつ取りまとめておこうか?と思っている。
世の常だとはいえ多くの尊敬する方々が消えていかれるのが実にさびしい。
私も先月、宿願だった「雫石事件の真相」をようやく上梓し、隈君との約束が果たせたし、自衛隊に対する理不尽な冤罪の実態を世に出すことができた。これで思い残すことなし!
これからは、異常な現世にとらわれることなく、奈須田先生が渡られた三途の川渡河訓練を始めよう。そしてこれからお世話になる≪黄泉の国≫について勉強し、閻魔大王とのディベートに備えていこう!。
≪産経新聞から≫
猛暑の中、メディアは“国際運動会関連報道”で騒々しいが、我が家周辺では、自然界に教えられることが非常に多い。
たびたびお伝えしている、今やわが“扶養家族”になったキジバト一家は、2羽の雛の巣立ちを待つばかりだが、定時になると必ず親が食事を運んでくる。それがウッドデッキにいる私の直上を低空で飛んでバーゴラに止まり、挨拶してから巣に入るのだから嬉しくなる。こちらから≪挨拶≫しているからか??
≪親を待つ雛たち2羽=うまくカムフラージュされている≫
キジバトはまだしも、今度は足長蜂がいつの間にかオーニングに巣を作っていて、ベランダを飛び回っている。春には害虫退治に活動してほしい…としばし様子を見ていたが、バラの手入れをしている家内に万一のことがあってはならないので、やむを得ず退去願ったが、取った巣を見てつくづく考えさせられた。
この精緻な構造を見ていただきたい。ハニカム構造が人間界にもたらした恩恵はつとに有名だが、この大きな巣に比較してこれを支える付け根の小ささ。
蜂たちが構造力学を習い、強力な接着剤を開発したわけでもなかろうに、何と見事な構造をしているのだろう、と改めて感心した。
人間の中には、有名大学の工学部を出ていわば“高学歴”なのに、無責任で役立たずが多い。それに比べて蜂たちは学校に行きもせず、学習用具も与えられず、ただただ親から子へと受け継がれた“因子”だけで見事に生き続けている。
人間の子だって、人工的な施設や、人間になり損ねた?大人の指導?を受けると、本来備わっていた正常な“因子”が、異常になるのではないのか?などと思った。
誰からも教えられずに、生命をフル稼働させている自然界の生き物たちの姿に、いたく感動した次第。
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