軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「台湾50隻、領海侵入」

今朝の産経一面の見出しがこれである。「領海侵入??」、空自では常識的に「侵犯」と呼ぶ。
反日デモ?」、国際的には通常「テロ行為」と呼ぶ。日本企業を襲撃し、略奪したのだから。
こんな重大な「侵犯事件」なのに、海では「水鉄砲ゴッコ」して、いい大人たちが粋がっている。日本も台湾も…なんともはや。

≪子供のころを思い出す、水鉄砲ゴッコ=産経から≫



8月15日に上陸され、野田首相はいい加減な対応をしたから、今度は必ず50隻以上の漁船団で、台湾などから侵攻してくるぞ、と警告しておいたはずだが、この体たらく。

中には、大陸の息がかかったジャーナリストらが、日中両政府は水面下で了解しているから、事はこれで収束します、などとわけあり顔でコメントしていたから、彼らの言葉を信じたのだろう。

≪お手当が出ているのだから、張り切って侵犯?=産経から≫

≪スポンサーにお礼の報告?=産経から≫


中国の態度は、2008年の北京五輪成功時点でガラッと変化したことに気づいていない。
それまで≪空母を持つのは対台湾攻撃のためだ≫と公言していたのに、それ以後は「台湾防衛のためだ」に変わり、ガス田をめぐる討論でも、「日中中間線は超えていない」と言っていた彼らが、「日中中間線など認めていない!」「尖閣は核心的利益だ」に変化したのだ。


そしてようやく「空母?」を就航させ、いよいよ台湾や南シナ海に“出撃”させるようだが、開発途上国には≪脅し≫が効いても、先進国はその能力を十分に“理解”しているから、バツが悪そう。加えて艦長を、どの派閥から出すのか私には興味津々である。

≪人は乗っていても戦闘機を搭載していない空母は“カラ母”とでも呼ぶべきか?=産経から≫


今回の台湾漁船団の侵犯は、大陸に進出して大儲けした台湾のせんべい屋「旺旺」会長の燃料代“ご寄附”で出撃したものだが、そのほかに一隻当たり10万台湾元を出しているという情報があったが、会長の蔡衍明氏が「活動費500万台湾元を寄付した」と産経は報じているから10万×50隻=500万台湾元と計算も合う。


もちろんこれは彼の「個人的寄付行為」ではない。大陸での商売がうまくいくように、ごまをすったか、あるいは脅迫されたかどちらかだろう。こんな行為を馬総統がどう見ているか、今後の台湾情勢がなかなか面白い。


ついでだが、台湾が領有を主張する根拠は、日本統治下において尖閣で殺人事件があったのだが、その犯人の出身地が宜蘭県であったので、時の政府は裁判を宜蘭県で行った。それが根拠だというのである。今回の漁船も宜蘭県蘇澳鎮から出航しているから、小憎らしい演出?である。


これを知った中共は、「1、尖閣は台湾のものである。2、台湾は中国のものである。3、ゆえに尖閣中共のものである」という3段論法を主張しているのだから、漫画である。

そういいながらも、報道官は今回の台湾漁船団が「国民党=中華民国国旗」を掲げて進撃しているのを認め行動を評価したのだから、「台湾独立」を認めたことになる。
馬総統の狙いがそこにあったのであれば、彼は大した男だといえるのだが…


今回の事件について、わが“親愛なる”官房長官は、「緊張感を持って関係省庁が連携し、情報収集に努めるとともに警戒監視に万全を尽くしたい」とのたまった。

自衛隊の幹部学校で教育されるのは、命令文など(もちろん論文にも)無駄な修飾語は入れるな!というものだが、その観点でこのコメントを読むと、「関係省庁が連携し、情報収集に努める」という程度の内容に過ぎない。
「緊張感」を持っているのは「現場」であり、人員不足にもかかわらず、知恵を絞って「警戒監視に万全を期」しているのも「現場」だからである。


政府の言う「情報収集」とはかっこいいが、実態はテレビを見ている程度だろう。もちろん関係機関はそれなりの情報収集しているが、官邸は次の選挙対策で頭がいっぱいじゃないのか?

「魚は頭から腐る」という。すでに救いがたいほど腐敗が進行しているのだが、肝心の“頭”は気づいていない。

そこで提案だが、今年の冬のボーナスは閣僚はもとより、国会議員の分を含めて海上保安官、特に第11管区にそっくり分配してほしい。働かざるもの喰うべからずだろう。


今回の日中間の“紛争”をどうとらえるかは、昨日の中国大使主催のレセプションに呼ばれて顔を出した方々に聞いてみるがいい。

≪公然たる対日工作!=産経から≫


経済団体の重鎮初め、民主党の元閣僚の面々、そしてやはり、村山前総理や、河野洋平(別名:江の傭兵とか)という方々の顔が見え、大使と嬉しそうに握手していたではないか。

彼らがわが国を破壊に近づけている元凶なのだが、どの新聞も出席者の名前を公開していない。これも【個人情報保護法】に適合するものなのか?ぜひ一覧表を報じてほしい。


何でこんな愚かな判断と行動を日本政府がするのかといえば、彼らの思考の原点に、世界共通の「軍事的発想」が欠落しているからである。自宅に侵入した無頼漢に、こちらが手を出さなければ、乱暴されることはないだろう、という≪憲法前文の諸国の公正と信義≫がこの世に存在すると勘違いしているからである。

弱者は滅びる。戦に敗北すれば、男は労働力に、女はもてあそばれるという、戦争の歴史が教えている事実から目を背けてはならない。


ソ連という、極悪非道な共産主義国に、中立条約を一方的に破棄されて、百万ともいわれる軍人軍属が極寒のシベリアに「強制連行」された事実を決して忘れてはならない。

周辺諸国は、金持ちにはなったが、拝金主義におかされて、人格、徳操は一向に進歩していないのだ、ということを、この一連の紛争から読み取ることができなければ、わが国もそのレベルに堕落する危険性を秘めているのである。

敵は本能寺、日本人もようやく気が付き始めたようだが、まだまだ恐るべき間接侵略が進行しているのだ。

分かりやすい論評として、けさの曽野綾子女史の一文を転載しておくから、周辺で奇妙な土地あさりに気が付いたら、用心してほしいと思う。


スターリンの対日情報工作 クリヴィツキー・ゾルゲ・「エコノミスト」 (平凡社新書)

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