軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

備えなければ…


≪強風で倒壊した送電柱=産経から≫


強い冬型の気圧配置による猛吹雪で、北海道太平洋側では大きな被害が出た。27日午後には停電世帯が約5万6千戸に拡大したというが、このニュースを見ていた私は、三沢勤務時代に東北電力幹部から聞いた話を思い出した。
「今停電になったらあなたはどうしますか?」というアンケートを取ったところ、「こたつに入ってテレビでも見る」という答えがほとんどだったというのである。
「こたつもテレビも電気でしょう?」というと「アッそうか」とみな驚くほど「東北電力管内の停電は少ない」というのが彼の言い分だった。
送電線で事故が起きると、真冬であれ真夜中であれ、彼らは現場に駆けつけて復旧工事に取り組む。その成果が上がっているという自負なのだが、私は現代社会に電力は不可欠であり、我が国に侵略してくる国があるとすれば、間違いなく発電送電施設を狙うであろう、と思ったものだ。

≪氷点下の中での復旧作業=産経から≫


≪信号機の代わりに警官の手信号。3・11後は被災地で彼らが大活躍した=産経から≫


自己完結型の組織である自衛隊にしても、航空戦力は基地に依存しているから、電力は命綱だ。
一般国民が「こたつもテレビも電気に頼っている」と意識しないほど、我が国は幸せな電力大国なのだが、それも電力会社の不断の努力で保たれていることを忘れてはなるまい。まさに「備えあれば憂いなし」なのだが、今回の北海道停電で驚いたのは、反射式ストーブや、水、電池などをあわてて買いに走っている市民がいると知ったことだ。
「3・11は遠くなりにけり」「のど元過ぎれば〜」の典型ではないか。大震災後、防災グッヅがあれほど話題になり、政府の「想定外」が流行語になっていたにもかかわらず…。

人間、やはり自分自身に火の粉が降りかからねば行動に移らないもののようだ。防災対策も、かなり不徹底なのが実態なのだ、と考えてかかった方がよさそうだ。この世に「万全」ということはない…


ところでその電気の供給だが、3割以上を占めていた原子力発電が削減されたため、電気料金が値上がりした。
先日、太陽光発電施設を野田総理が見学に行ったが、あいにく天気が悪く、発電量はごくわずかだったという。それでも「決心は変更しない」らしい。
脚光を浴びている風力発電も“今のところ”火力・水力ほどのパワーはない。今商社などは懸命に世界中から化石燃料をゲットしようと涙ぐましい努力をしている。


にもかかわらず、原子力反対活動が盛んで、今度の選挙の争点になっている。
私も軍事知識が欠落した日本人には、原子力平和利用という看板の元での【核分裂利用】はいささか疑問に感じているが、さはさりながら「この運動」に取り組んでいる方々のバックを見ると、むしろ疑問を抱かざるを得ないのが残念で、やすやすと同意できない。
未来に希望が抱けないような「何とか未来」という政党が生まれたそうだが、さっそく乗り換えた落ち武者たちが「国民の生活が第一」だったはずなのに、早々に切り捨てて「自分の生活が第一」とばかりに一兵卒として集まってきて、声高に原発廃止を叫んでいる。


バッジがなくなれば威張れない?のだから気持ちはわかるが、原発廃止というのならばそれまでの間、どのような代替手段を用い、どのような手立てで徐々に?原発を他の手段に切り替えていくのか、その間電気料金はどのくらいまで上がると予測されるのかなど、具体的方針と資料を国民に示すべきだろう。
その昔、「ダメなものはダメ!!」とヒステリックに叫んだ議員がいたが、その結果には何の責任も取りはしなかった。
今回もまさか「反対のための反対」「選挙のための人気取りマニュフェスト」ではないと信じたいが。


その昔、日清戦争で勝利したにもかかわらず、満州の権益、特に海に出られなくなることを恐れたロシアが、清の分割を意識していたイギリス、フランス、ドイツに提唱して我が国に干渉した。
陸奥宗光英米などの協力を得ようとしたが得られず、遼東半島を返還せざるを得なかった。
元より国内世論は激高したが、時の政府は「臥薪嘗胆」をスローガンにこれを対露敵対心に振り向けて軍拡を進めた。
この「三国干渉」が日露戦争のきっかけになったといわれているが、今の政治家はこれに学んでいないようだ。


3・11の「想定外」の被害で放射線漏えいが福島県民を苦しめた反省というのであれば、それを明確に示して全国民を説得し、その間の生活水準の低下が避けられないことを率直に述べ、臥薪嘗胆を呼びかける、そんな政治家が出ないことが実にわびしい。
何が何でも次の選挙で「リストラ」を避けねばならないというあさましい自己収益維持型のスローガンに聞こえてならない。選挙に落ちればただの人、それが怖いのだろう。

人相がそれを表している、とまでは言わないが、何か共通した顔つきの方々が集散離合しているのが何とも滑稽だ。


いずれにせよ有権者の目は、今回はそれほど曇ってはいまい。3年間、実にひどい目にあったのだから。
二度と這い上がれないであろう方々もいるし、選挙後に当選はしたもの孤立無援となって、童話「ありとキリギリス」のキリギリスのようにさ迷い、やがて『ありの巣穴』に暖を求めて迷い込む方々も見え隠れしている。
日本では蟻が食糧を分けてくれる話になっているが、原本では「蟻がキリギリスを食い殺す」ことになっている。


野田首相ハプニング!この時は支えがあったから這い上がれたが、さて本番では誰が支えるのかな〜?=産経から≫


泡沫議員のあわて振りも滑稽だが、虚を突かれたメディアの狼狽ぶりも面白い。2度3度とシャッフルされて、年明け後、いや、春ごろにはどうやら様になるのだろうが、大半は今回で「枯葉」のように散逸するのだろう。


これで目が覚めなければこの国はおしまい!
いつまでも無反省で老醜漂わすシーラカンスにこの国のかじ取りを任せていていいはずはない。未来を背負う若者の発奮に期待したいものだ。
備えなければ斯くのごとし!である。

≪「遼寧」が尖閣を虎視眈々と狙ってますぞ!=インターネットから≫

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