軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

企業戦士に感謝を!

20日は、靖国会館で兵法研究会主催の「大東亜戦争〜」に関する講演をしたが、会場はほぼ満席、若い方々が目立ち嬉しかった。
神社境内も参拝者が多く、特に若者が列をなしていたから、「別の行事」があったのか?と思うほどだった。英霊もうれしかったと思う。


ところでアルジェリアで起きたテロリストの残虐行為は、世界の怒りを買っている。
我が国でも「犠牲者を確認するに至ったことは大変残念で、多くの有能なスタッフを失ったことは無念の一言だ」と7人の犠牲者を出した日揮の関係者は語ったが、本人と家族はもっと無念だったことだろう。
この事件では「外国人の犠牲者」は8カ国37人に上り「イスラム過激派武装勢力のターゲットが外国人だった可能性が高まった」といい、世界中に悲しみとテロに対する怒りが広がっていて、「世界平和」など夢のまた夢なのだと痛感する。無法者が絶えない限り、自分の命は自分で守る以外にはなかろう。彼らに武器を提供している死の商人が、小型核兵器を渡すのもそう遠くはない気がする。


アルジェリアと言えば、私には「…ここは地の果てアルジェリヤ、どうせカスバの夜に咲く 酒場の女のうす情け……貴方もわたしも買われた命 明日はチュニスかモロッコか 泣いて手をふるうしろ影外人部隊の白い服」という、何ともうら悲しい曲「カスバの女」を思い出す。
フランスの植民地だったこの国の治安は、昔も今もこんな雰囲気なのだろう。南部に広がる広大なサハラ砂漠では石油やガスが多く産出されるが、米国に依存せぬ独自の核を持つとしたフランスの核実験場でもあり、1960年2月にサハラ砂漠で初の大気圏内核実験をした。
その後1996年までにサハラ砂漠を主に二百回を超える核実験をしたところでもあり、未だに深刻な影響が残っているというから、○○シーベルトどころじゃないのだろう。


そんな“地の果て”で、わが国民の「平穏な生活」を維持するために“企業戦士たち”が命がけで働いているのだが、悲しいことに今回の事件がなければ、日本人のほとんどは知らなかったに違いない。
原発反対、オスプレイ反対などと、平和な街並みをデモして歩く甘えきった御仁には理解できないことだろうが、これら企業戦士の爪の垢でも飲むがいい。


大東亜戦争では将兵たちは赤紙一枚で家族と別れ、戦地に送られた。そして骨になっても未だに帰還できないままだが、もちろん今回は戦時ではない。
事件は安倍総理が東南アジア歴訪中に起きたが、官邸とは密接に連携しており、展開が早かったこともあって悲劇的事態は終結に向かった。
語学が堪能な城内実外務政務官も現地入りして、日揮社長と連携して動いたが、修羅場をくぐった体験は今後貴重だろう。
そして安倍総理の決断で速やかに「空軍機」が犠牲者をお迎えに行くと決まった。帰還は数日後になるだろうが、国民は謹んで哀悼の意をもってお迎えしたいものだ。


メディアは当初情報混乱を取り上げているが、もともとこの手の事件には正確な情報が公開されるはずはない。自前でとりたければ、普段から偵察衛星を増加し、世界各国に「防衛駐在官」を派遣し、“専守防衛”を主眼にした防衛省の情報本部だけではなく、強力な国家的情報機関を立ち上げて独自の分析ができる体制を作ることだろう。


もちろん、自国民保護のためには、現在の自衛隊法を速やかに改正して「危険地帯を除く」規定や「武器の使用制限」を見直すべきだ。
世界でも屈指の武装集団に「安全地帯」しか行動させないというのが国際的に非常識なのだし、第一自衛官に対して無礼というものだ。
拉致被害者もそうだし、今回のような世界の僻地で活動する“企業戦士たち”を護衛、救出できない武装集団は「ごくつぶし」と言われても仕方あるまい。
アルジェの様なテロと紛争が絶えない危険地帯には、日本独自の身勝手な“平和的思考”は禁物なのだ。

その昔、張作霖を爆殺した息子の張学良は、戦後台湾に逃れて「私は命令してから3日間で旗の用意をさせた。被服工場で青天白日旗を作らせたのだ。当時日本人は自分たちが優れていると思っていたようだが、中国のことを全く分かっていなかった。あの時私が国民党に寝返ろうとしていたことを、日本人は気づかなかった。日本の諜報活動は実にお粗末で、当時諜報活動のために注ぎ込んだ金は、全てごみ箱に捨てたも同然だった」と語っている。


ところで夜のニュースステーション安倍総理が生出演してこの件について話していたが、民放の一番組に出演する暇があるのだろうか?
総理としてやることは山積しているはず、しかも以前は体調不良で苦労したはずだ。
この程度の話を、この程度の番組で話すなど時間の無駄、国家基本の立て直しに全力を傾注してほしいと思う。
日中関係は予断を許さないが、先日『元ルーピー首相』が、やすやすと“敵”の手に乗って日本人にあるまじき“金星人的”行為をしたが、昨日はまたコバンザメの「連立与党」代表が、尖閣について政府と異なる意見を吐いた。創価大学卒業生である中国の駐日大使の依頼を受けたものではないか?と思われるがあまりにも軽率すぎる。
「山ヒル」のように政府に吸い付いて生き血を吸うだけじゃ健全な政党としていかがなものか? 早く乳離れして野党第2党になったらいかがか?
内閣スタッフは、これらの点をしっかり意識して、総理を補佐してほしいものだ。


尤も、アルジェの事件が前政権で起きていたら、取り返しがつかない結果を招いていただろう。鳩ぽっぽはテロリストに「トラストミー」と言ってにじり寄り、空き缶は「情報が遅い!!」と関係省庁を怒鳴り散らし、泥鰌は「変な幹事長に気を使って」決断できないか、スタッフは「暴力装置の使い方」でもめて右往左往して世界のヒンシュクを買っていたろうから、それが防げただけでも政権交代が間に合ったことを国民は喜ぶべきだ。

この時間にも、未だに多くの“企業戦士たち”が、政情不安定な世界各地で黙々と国のために働いているのだということを忘れてはなるまい。

改めて今回犠牲となった“企業戦士”たちのご遺族に哀悼の意を表したい。

イスラム過激原理主義―なぜテロに走るのか (中公新書)

イスラム過激原理主義―なぜテロに走るのか (中公新書)

売国奴

売国奴

尖閣どころか沖縄が危ない! 日本は中国にこうして侵略される! 初めて解明された侵略の原理と歴史法則

尖閣どころか沖縄が危ない! 日本は中国にこうして侵略される! 初めて解明された侵略の原理と歴史法則

習近平が仕掛ける尖閣戦争

習近平が仕掛ける尖閣戦争

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

自衛隊の「犯罪」-雫石事件の真相!

自衛隊の「犯罪」-雫石事件の真相!

日本の空を誰が守るのか (双葉新書)

日本の空を誰が守るのか (双葉新書)