軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

中国、対日姿勢軟化??

まず最初に、3月29日のブログの修正をしておかねばならない。
訪露した習近平夫妻が、プーチン大統領に「…プーチン大統領の上半身を克明に『背広に』刺繍したもの」をプレゼントした…と書いたが、昨日「月刊中国」発行人の鳴霞さんから「これのことでは?」とプリントアウトされた記事が、新著と共に送られてきた。

記事には、「ロシア大統領の“半身像”の刺繍」とあるから、「背広に刺繍したもの」ではない。私の聞き間違いだったので訂正する。
記事によると、昨年末に電話で指示された沈寿芸術館は、制作には6人がかりで3時間交代、24時間休まずに91日かけて完成、刺繍に使った糸は70種類、制作史上最短で完成だと自慢しているが、2009年11月にはオバマ大統領家族全員に胡錦濤主席からプレゼントされ、ベルギー国王ご夫妻贈呈に続く3作目だそうな。


次は送られてきた鳴霞さんの新著の紹介。


飛鳥新社刊:¥1048+税≫


「あとがき」にはこうある。
瀋陽生まれの私は「満州族」である。祖父母は「満州国」時代を体験しており、祖父は「日本軍は世界一規律正しい軍隊だ」とよく口にしていた。自家製の野菜などを売って商っていたが、日本兵は金が足りない場合など、翌日必ずきちんと不足分を持ってきた。国民政府軍や八路軍(人民解放軍の前身)はこうした場合、そのまましらばっくれるのが普通で、時には強奪もあったという。祖母も親日派で、日本人の習慣をまねたのか、窓ガラスも台所もいつもピカピカに磨いていた。日本の折り紙も得意で、綺麗な色紙で作った鶴などを部屋のあちこちに飾っていた。私が最初に日本語を学んだのはこの祖母からである。
大学を卒業し、「中国航天部瀋陽市軍工企業」という、ミサイルや航空機を造る国営企業に入社したのは、父がそこの技術者であったからだが、この企業の前身は、日本の旧「満州航空機株式会社」。
やはり日本に縁があったのだろう。そして、知人の紹介で日本人男性と結婚し、25歳で来日するのだから、運命とは不思議なものだ。
私は高校卒業後、東北の農村に下放されたが、当時としてはある種当たり前で、国家を恨んだりしたことはない。
私が祖国・中国を恐ろしい国だと思ったのは、来日10年後に帰郷し、中国の友人に「あなたは日本で反中国的活動をしているのか」と批判されてからだ。よく聞いてみると、来日直後、日本の大学の先生と、ホテルのレストランで会食した時の会話が原因だったらしい。
つまり、私は監視されており、その記録が10年後も残っていたのだ。
(中略)……
いまや日本は自然権である清浄な大気まで侵略されている。友好親善という言葉は美しいが、読者の方々には、隣国の禍々しい意図と実態も知ってほしいと思う≫

蛇足だが、彼女は日本に帰化して以降、中国への再入国は認められていないという。
本書は日中関係に関心を持つ者の必読の書、特に若者に読んでほしいと思う。
同時に月一度発行されている「月刊中国」の購読もお勧めしたい。(FAX:0795−46−1880)



ところで「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成25年(2013)4月4日(木曜日)通巻第3916号によると、「中国は対日戦術をやや柔和路線に変更か?==麻生副総理を北京に派遣を検討」とある。

安倍晋三首相は自民党高村正彦副総裁を特使として北京へ派遣する意向である。
他方4月6日から海南島のボーアオで開催される「ボーアオ・アジアフォーラム」に福田康男元首相が開幕式で挨拶する段取りとなった。ボーアオには習近平国家主席も出席する予定で、両者会談が実現する可能性が高い。

もし習近平・福田会談が調整されると習近平国家主席就任以後、初めての日本側要人との会談となる。福田氏は「経済フォーラム」の理事長の資格で会談する。
 
また麻生副総理を北京に派遣する予定≫


これを読んでピンときたのが、先日書いた李先念中華人民共和国主席の娘で劉亜州夫人である李小林・中国人民対外友好協会会長の“秘かな来日”である。

≪李少林・中国人民対外友好協会会長=インターネットから≫


3月末から4月3日まで来日したようだが、面談者は福田元首相、山口公明党代表、それに鳩山元首相だといわれていたから、符合するところが多い。

何が話し合われるか不明だが、宮崎氏の“勘”が当たっているとすれば、彼女は習近平主席の幼馴染でもあるから、尖閣問題をしばし棚上げする算段かもしれない。

威勢よく振り上げた拳の落としどころを探るためだろうと思われるが、その背景は、国内問題が多発していて、収拾に時間がかかること、不穏な薄帰来問題、軍の統制が困難なこと等があげられよう。
しかし、この時期にそれを促進したのは「北朝鮮問題」ではないか?


「血の盟友」とは名ばかりで、“中―北同盟関係”は表だけのジェスチャーに過ぎなかったのだが、中国としてはここで暴発されれば、米国が本気になって鴨緑江まで進出しかねない。
つまり第2次朝鮮戦争と云うよりも、決着がついていなかったこの戦争に米韓が本気で決着をつけようとすれば、中国の北における利権は消滅しかねない。
とにかく“若い総書記”の行動が予測できない。それは中国国内事情も全く同じで、文革期に青春時代を過ごした“若い仲間たち”の思考過程同様、先が読めないのだろう。
その上習新主席としては、ただでさえ国内騒乱の様相を呈しているこの時期、全く根拠のない尖閣領有権問題で、これ以上無理難題をごり押しして日本と対決を続けることは得策ではない…と考えたとしてもおかしくはない。

ただ気になるのが、福田氏の登場だ。彼は代表格を務めたインドネシアとの友好関係事業でも折角築かれてきていた過去の日本との良好な関係にヒビを入れてしまい、ユドヨノ大統領に不快感を与えた、とムルデガに貢献した旧軍関係者が嘆いていたことである。
汚名挽回?のためにも、今回こそは成果を上げてもらいたいものである…


いよいよ我が国周辺情勢にくすぶり続けていた「2012年危機」に結末をつける時期になってきたようだ。

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