軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

病める米国、崩れる中国

4月も中旬だというのに、“天地人”共に不安定だ。17日に三宅島で震度5強を観測する地震が発生し、東北でも依然として余震が収まらない。しかし天や地の乱れよりもひどいのは人心の方だろう。


ボストンの連続爆破テロで、FBIは18日、現場付近で撮影された容疑者とみられる男2人の写真と映像を公開した。
いずれもリュックサックを背負っており、我が国でも常時見かけるスタイルだからそれとは気が付かない。しかも圧力鍋に爆薬を仕掛けたというのだから、「世に盗人のタネは尽きない」ことを痛感する。


事件発生と同時にメディアから「犯人像に関する意見」を求められたが、一般的にはアルカイーダのテロかと思われていたらしい。
私は反米、恨みの線で候補を挙げると北朝鮮も中国も含まれるが、消去法で見ていくと案外「捕えてみればわが子じゃないか?」と考えた。3億人に膨らんだ人種のるつぼ・米国内では、星条旗だけで人心が統一されなくなりつつある。
メイフラワー号以来の伝統である開拓精神と「銃」の問題は根深く、規制も否決された。一部の証券マン?らが大儲けする“虚業”に対する不満も抑えがたいし、人種差別で就職もままならない若者たちの中に自暴自棄になる者が出てもおかしくない。無抵抗な子供らに銃を乱射する狂人が頻発するのもその表れだろう。


一方、同時に起きた米南部テキサス州の肥料工場爆発は、テロではなく事故の線が強いが、いずれにせよ力を信奉してきたこの大国の現状は病んでいるといえそうだ。

≪テキサスの肥料工場爆発=産経から≫


ところでアジアの病んだ大国も崩れ始めているようだ。
16日に防衛省統合幕僚監部が公表した「沖縄本島宮古島の間を通過する中国海軍のミサイル駆逐艦(上)とフリゲート艦」だが、どうも習近平主席自身が指示して出動させたものらしい。

≪中国海軍艦艇=統幕≫


同じ日に中国国務院は、2年ぶりの国防白書を発表したが、尖閣諸島をめぐる問題は「日本が騒動を引き起こした」と日本を名指しで批判した。この国には北朝鮮同様国際的儀礼なんぞ通用しない。卑怯にも常に他国に責任転嫁して逃れるのだが、これは支那事変以来の伝統なのだろう。
白書には「中国軍は中国の主権と安全、領土を脅かす行動に即応し、断固として防止する」と宣言しているが、やり方は北朝鮮と瓜二つだ。何かあるとすぐに「核心的利益」だと言い張る。
しかも厚かましくも「中国は覇権や覇権主義的な行動を求めないし、軍拡競争にも乗り出さない」と放言し、その一方で、中国人民解放軍の任務は「領土、領海、領空の防衛」などと定義、「海洋管理を強化する」と強調して、「尖閣諸島周辺や、ベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国と領有権を争う南シナ海における活動を、さらに強める方針を明確に」した。
いっそのこと「俺の物は俺のもの、他人の物も俺のもの=他国領土も無断で防衛する」と書いた方がよかろうに!


尖閣周辺に出動した「軍艦」は、やがて必ずわが領海を侵犯するだろう。今は我が国側の様子見なのだが、海軍は主席の指示を尊重する。今は訓練だがそのうちに…と狙っていることは間違いない。怖いのは米第7艦隊、それは国防省の楊宇軍報道官が記者会見で「軍事同盟強化は時流に合わない」と日米同盟をけん制していることから分かる。
また、白書には「現有兵力を陸軍機動作戦部隊85万人、海軍23万5000人、空軍39万8000人」とあるが、戦略ミサイル部隊と武装警察部隊、陸軍の残る部隊の兵力は公開していない。


一般的に人民解放軍は230万人といわれているから、公表された約160万人以外の70万人は戦略ミサイル部隊と武装警察部隊などだとしても、「不透明」であることに変わりはない。
大体人民解放軍のルーツは農民軍でゲリラ戦を得意とするものだったから毛沢東時代には「民兵」と称する約4000万人を持っていた。その後ソ連解体などで「軍縮」されたものの1500万人以上はいると見られていて、そのうちの約800万が「海上民兵」など“便衣兵的存在”として公表されていないとみるべきだ。


4月6日に海南島で行われた博鰲フォーラムの場で、習近平国家主席は積極的なアジア太平洋外交を始動させたが、海南島は海軍の一大基地、ここで海軍を「尖閣は我が領土だ」と激励、これに力を得た海軍はさっそく「訓練」に取り掛かったというのが真相らしいが、同じ場にいた福田さんには読めなかったのだろう。
こうなると空母『遼寧号』の遠洋航海も近いといえる。中国に住んでいるロシアの科学者たちは約1万人以上だといわれているが、彼らは宇宙開発はじめ中国の兵器開発に協力していて、特にウクライナ人は、潜水艦など艦艇分野で活動しているという。だから艤装を終えて出撃段階にある『遼寧号』も、多分秋の台風前後に、太平洋か南シナ海方面への「遠洋航海」に出てくるだろう。
特に海軍の動きが活発な背景には、大陸沿岸部の南海、東海、黄海は、大陸で排出された汚染物質で魚類が絶滅寸前であり、昔は漁業で栄えた浙江省あたりの漁民は自分らの漁場を「死海」と呼び、稚魚まで乱獲、食うに困った休漁中の漁民たちは、アフリカなどに進出して乱獲中だが燃料代が足りない。
そこで今や船を改造して「観光船」とし、島めぐりで儲けようとしているらしい。
その証拠記事が1月24日のこの記事だ。


≪上海=河崎真澄】南シナ海で中国やベトナムなどが領有権を争う西沙(英語名・パラセル)諸島を、中国・海南島からのチャーター漁船で無許可上陸する“闇ツアー”が横行している。同諸島は観光客に開放されておらず、当局が摘発すれば罰金など処分を受けるが、一方でツアー募集は黙認されており、中国当局による実効支配の自信の表れとも受け取れる。
上海の夕刊紙、新民日報などによると、海南省海南島の海口や三亜から、漁船に約30人を乗せて出発するツアーで、約18時間で西沙諸島に到着。自然のままの島に上陸するという。業者によると、年間数千人がツアーに参加している。
5〜7日間のツアーは食事付き1人7千元(約10万円)前後と料金は海外旅行並み。だが「前人未到の中国領土を訪れる」との“うたい文句”が受け、2月9日から9日間の春節旧正月)連休に向けて、宣伝合戦も過熱気味だという≫


現在3000隻以上の漁船が観光船に改造中であり、尖閣が領土に編入されれば勇んで観光がてら出漁するというから恐ろしい。
そして現場で『SENKAKU21』事件を再現して見せて稼ぐつもりかも。そうなると沖縄県も観光客事業として支援するかも?!
何せ日本人は再現シーンが好きな上中国人には優しいから…


ところが習近平主席の海軍への「訓練出動」指示は、漁民たちから「熱烈支持」を得たいという思いからだったようだが、加えて人民日報ネットが自信を持って調査した「共産党人気度調査」が予想を超える81%の不支持だったことが根にあるという。
何しろ人民の8割以上が共産党を支持していないことが明らかになったのだから衝撃だったことだろう。
もちろん「人民日報ネット」はすぐに削除されたが、ミニブログ・微博にはこんなコメントが寄られたという。

≪耶律不花=おなかを抱えて笑ったよ。膨大なインターネット利用者はとても誠実だ。

上海老頑童呉徳余=ハハ、(共産党は)余計なことをしちゃったね。

亮剣兄五世=「意地悪い人民」が多すぎるんじゃないか?5毛党が足りないぞ。

kele-02=これが本当の国民の意思だ≫


≪<中国人の本音>共産党の夢を見たくない中国国民
:人民ネットに掲載されたアンケート(スクリーンショット)【大紀元日本4月17日】。そのうちKJ君も登場するかも??≫



≪水不足…、行く手は険し!=インターネットから≫


他方、中国人民は「そんな立場の習近平に会いに来る日本の河野洋平たちは頭おかしいよ!」と笑っているらしいから、5月に安倍首相の親書を持っていく訪中団も多分成果は上げられまい。止めたほうがいいのに…


まちがいなくこの国は、我が国のかっての“左翼政権”同様、空中分解を始めている。しかし、完全に崩壊するまでの間は、病で苦しむ“友人”の方を助けつつ、我が領土を侵略させないように厳然たる構えを取っておかねばならない。

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