軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

人民解放軍=廃頭(役立たず)?

四川省蘆山県で起きた大地震で、中国の主要メディアが「ロシアの救援隊900人以上が四川省に到着する」と報道したが、その後、中国外務省が報道を否定するなど混乱した。

≪産経から≫


≪日本を含む各国からの支援の申し出に対し、中国外務省は21日、現地の交通事情などを考慮し「当面は外国の救援隊や救援物資は必要ない」との報道局長談話を発表したばかり。報道を受け一時、中国は友好国のロシアだけは特別扱いしているのではないかとの臆測も飛び交った。

 国営新華社通信(電子版)のほか四川省の有力メディアは22日午前、ロシアの救援隊員198人が同日昼すぎ、四川省成都の空港に到着し、雅安市宝興県の被災地で活動する予定だと報道。だが中国外務省の華春瑩報道官は22日午後の記者会見で「いかなる外国の救援隊も四川省にはいない」と述べ、報道を否定した。(共同)≫


肝心のロシアもこれを否定したから、中国メディアと宣伝部間でいざこざが起きているらしい。
少なくとも「人民日報」などは、現地は水や食料、特にミルクなど物資不足だ、と報じているが、外交部が国際援助を断っていることを理由に、宣伝部は救援物資は多量にあると反論、しかし、現地に向かった“精鋭部隊”が、無線が届かないなどの“情報の混乱”で、全然違った地域に進出して、改めて出直しをしているらしく、救助を求めている人民の多くは「人民解放軍はこれで国が守れるのか? 党は守っても人民は守らないのか!」と激しく反発しているらしい。


更に現地四川省のTVが地震発生を伝えることなく、延々と3時間にわたって「抗日ドラマ」を放映し、その後地震発生を伝えたから人民は「人民よりも抗日宣伝が大切なのか!」と500人の村民がデモまでしたらしい。
被災地では水や食料もそうだが、一番困っているのが赤ん坊用の粉ミルクで、幼児をかかえた老婆が、若い女性に乳を求めているという報道もあるらしい。
そしてオーストラリアで200缶もの粉ミルクを買い占めて問題になった例を挙げて、我が国は「ミサイルは作れても粉ミルクが作れない国だ」との批判が高まっているらしい。


その上軍は地震発生時にヘリを2機飛ばして写真を撮っただけだったから「解放空軍にヘリはないのか?」という声に押されて翌日から空中投下を計画したが、あいにく雨で投下地点が判らず不発、「空母を作り、毎年巨額な軍事費を使い、軍人の給与だけ倍増しているのに、人民を救済できないのじゃ≪廃頭=役立たず≫」というのだ。

≪2005年上海軍学校の展示写真=先頭の兵士の額に「廃頭」とボールペンで小さく落書きがあった!≫


「こんな人民解放軍が、ベトナムの島や日本の尖閣を取ることが出来るのか?」という不満にこたえて、今日から3〜4000人の軍隊を新たに増派するらしいが、そんなことよりも宣伝部は、如何に共産党が人民救助に熱心かと李首相の行動だけを強調している。それも首相自身がタクシーに乗って運転手と会話したとかウソの“美談”ばかり取り上げられるので、「宣伝部が牛耳る報道は、南京大虐殺同様、99・9%ウソで固められている」と人民が言っているというから面白い。人民は、南京虐殺が「嘘であること」を知っているのだ。
信じているのはむしろ“変な日本人”の方だということだろう。
更に「党は被災者をほったらかしてそれを権力闘争に利用している」という声もあるらしい。


四川省住民の大半はチベット人である。そこで中央政府が、国際援助を拒否し、お粗末な軍隊投入で救助を遅らせ、外に向かっては首相自ら救援に邁進しているが如き映像を流しているのは、実はチベット民族の抹殺を推進しているのだ、という声さえ流れているという。
そういえば前回の大地震の教訓は四川省では全く生かされていなかった。


ところで我が国では報じられていないようだが、この震災報道に隠れて、先月上海の「公安局長」自らが海外亡命を図って逮捕されていたという。
上海といえば江沢民派の本拠地である。しかもそこの≪公安局長≫といえば絶大な権力を持つ。その局長が香港経由で欧州に亡命しようとして捕まったというのだからただ事ではない。
中国ウォッチャーに確認したところ、香港の雑誌「動向?」に出ていたそうで、彼は欧州行きの航空券と13通の預金通帳を持っていたという。どうやら、江沢民派、胡錦濤派、太子党派の3派による権力闘争は、江沢民派の衰退という最終段階に入ったようだ。


そこで注目されるのが次の産経の記事である。
≪【北京=矢板明夫】日本政府による尖閣諸島国有化をきっかけにした日中対立が半年以上続く中、中国共産党指導部内では日本に対し、強硬姿勢の継続と関係改善を求める2つの意見があることが浮き彫りになりつつある。最近、胡錦濤国家主席の側近である汪洋副首相の“親日的発言”が中国のインターネットで批判されているが、習近平国家主席周辺が意図的に批判を容認している可能性が指摘されている。外交問題における党内の主導権争いが背景にあるとみられる。

汪氏は4月16日、北京を訪れた河野洋平衆院議長と会談した際に「今日の中国の発展は、日本や日本企業の支援と協力に助けられたところが大きい」と日本への感謝を述べたうえで「経済大国である日中両国は、どんなことがあっても経済関係を深めるべきだ」と強調した。
「領土・主権問題はなによりも優先されるべきだ」と繰り返し強調してきた習近平指導部の方針と一線を画したこの発言は日本側を驚かせた。(中略)
 共産党筋によれば、最近になってから胡前主席が率いる派閥は日本との関係改善を強く主張しているという。同派閥の李源潮国家副主席は3月末に日中経済協会の訪中団と会談した際にも「不正常な状態は双方に不利益があり、共倒れだ」と汪氏と同じ趣旨の発言をした。

 しかし、こうした意見に対し軍と保守派は反発している。汪氏が河野氏と会談した同じ日、中国国防省は、日本を名指しして批判する国防白書を発表。翌17日には、2隻の海軍軍艦を尖閣付近に派遣した。日中関係回復の動きを牽制する狙いがあるとみられる≫

≪汪洋副首相=産経から≫


その上人民は、軍だけ信頼して人民を無視している習近平新主席を信頼していない様だから、軍と党の今後の動きに注目しておく必要がある。



さて、安倍政権は、3年3カ月の遅れを取り戻すかのように、エンジンを回転し始めている。長年店晒しになっていて、政争の具にすぎなかった防衛問題についても本来の姿に舵を切り始めた。あわてたのが“ご存じ”の左翼メディアなどで、コメンテーターなどの支離滅裂な解説ぶりにそれが表れている。


そして“恒例”の靖国批判が飛び出した。誰かが韓国側に「御注進」したのかも? チョーニチ新聞かな〜

靖国参拝=産経から≫



≪韓国外務省当局者が、今月末をメドに日本と調整していた尹炳世(ユンビョンセ)外相の訪日と岸田文雄外相との会談を中止することを明らかにした。また、韓国外務省は、安倍晋三首相が靖国神社に真榊(まさかき)を奉納したことや麻生太郎副総理兼財務相ら3閣僚が靖国神社に参拝したことに「深い憂慮と遺憾を表明する」との論評を発表した。
外相の訪日中止は、首相の真榊奉納などに対する抗議の意思表示とみられる。極めて残念で大人げない韓国の対応である。

尹氏の訪日と日韓外相会談は、日中韓3カ国外相会談の見通しが立たないことから、韓国側が積極的に進めていたとされる(産経)≫

≪韓国の伊外相=産経から≫


北の方が、一貫した外交政策をとっている?様に思えるほど、南の対日外交には一貫性がなく、経済は発展(しかも我が国の援助で)したかもしれないが、産経が「大人げない対応」だと書いたように、この国の政治は日清戦争前からまったく進歩していないようだ。

産経は「日本と同じ自由を重んじる価値観を持つ隣国として、成熟した対日外交を求めたい」と結んだが、“日本と同じ”ではない。“幼児”なのだから土台無理、北から脅かされているこの国は、南の日本が支援しなければ先は見えているのだ…。米軍だって愛想を尽かしている。
相手にしないことが一番!委細構わず放っておけば、そのうちにじり寄ってくるだろう。

ただし、この秋の状況変化に備えて、国土防衛だけは油断しないことが大切、情報収集と分析、部隊の精強化に抜かりがないように、と後輩たちにお願いする。


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