軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

G20、何となく冴えない習近平主席


≪握手する“両雄”!=産経から≫


ロシア・サンクトペテルブルクで開かれていたG20首脳会合は6日、世界経済が成長軌道に再び乗ることを目指して各国が協調するとの “シャンシャン”宣言で閉幕した。シリア問題が最大の焦点だったのでは?と思われるが、どうも意見は二分されたようだ。

≪元気がないぞ、大統領!=産経から≫

孤立無援?のオバマ大統領は「シリアのアサド政権による化学兵器使用に制裁を加えるため国際社会として共同行動をとりたい」と主張したが、軍事力行使を表明後に議会の承認をとるなど迷走したため、いたずらに混迷を深めた感がある。軍事介入方針は維持したものの、足元を見たロシアや中国が「国連安全保障理事会の決議を得る必要がある」として反発したらしい。
国連では常任理事国の意見が「一致する」のは稀有であって、判断の根拠は「国際正義」ではなく、個々の「国益」で決まる。つまり米国は、国際間で禁止したCWで無辜の市民を殺戮する行為に懲罰を与えないと、今後ますます拡散することを恐れているのだが、ロシアはじめ反対する国は、どうせ自分らが反対して纏まらない「国連決議」を重視し、殺害されたシリア国民の命なんぞどうでもいいと言っているに等しい。


この冷徹な国際関係を、お人よし日本人は冷静に受け止めねばならない。
「連合国」を「国際連合」などと誤訳して日本国民を騙してきたツケが噴出しているにもかかわらず、多額の会費を納め、国防の基本方針の第1項目に据えているという矛盾を!
日米同盟を主軸にする我が国の安全保障政策が、今後維持できるのかそれとも消滅していくのか、それこそ東京五輪どころではなかろうに。


私が気にするのは米国政府があくまでも「アサド政権」が使用したという“根拠”にある。その意味で、安倍首相が「根拠を明確にしてほしい」と言ったのは正しい。
確かにシリア国内で「使用」された事は明白の様だが、どちらが使用したかは依然として不明である。
政府軍内の規律もかなりゆるんでいるのは確かのようだから、軍が保有するCWの管理が厳重ではなかったのではないか? この地方ではよくあることだが兵士の一部が同族の反政府活動家たちに横流しすることだってあり得るだろう。イラク戦争の例を見るがいい。
仮にそう仮定すると、政府を倒したい弱小グループが「国際世論」に訴えるために“自作自演”する事はイラク戦争などで体験済みだし、我が国も盧溝橋で体験した。「軍事力行使宣言」に固執して政府を攻撃すれば、米国が最も忌み嫌う「反政府組織=テロリスト」に勝利をもたらし、米国の力を借りた反政府グループが政権を倒す事になり、今後の中東情勢に取り返しのつかない混乱を招きかねない。
米国にとってはあの悪夢であった9・11を間もなく迎える。オバマ大統領にとっては進むも地獄、退くも地獄の様相だが、少なくとも後世、世界の大国・米国が、人権無視のテロリストにうまく利用されたといわれないように、国連の場で真剣な討議をしてほしい。
そうすれば「ロシアや中国がいう正義とは何か?」、各国の「正義」の考え方が浮き彫りになってきて、民主主義国と共産・専制主義国のどちらに人間性があるのかが明らかになるだろう。

≪NYタイムズ紙が伝えた反政府軍勢力によるシリア軍兵士の処刑シーン。どっちもどっち、CW使用だけを責めるのはいかがか?=産経から≫


≪これはシリアではない!人民解放軍の入隊検査風景。君はこれを見てどう思うか?とインターネット上で話題になっているとか=インターネットから≫


ところでG20に参加した習近平主席の顔色が何となくさえない気がするのが気のせいか?
先月12日付の香港各紙は、中国の習近平国家主席が法学博士号取得のために清華大に提出した論文のコピーを入手したとする英紙サンデー・タイムズの報道を引用して「他人が論文を代筆した疑惑がある」と報じたからこれが原因じゃ?と中国ウォッチャー氏に聞くと、70年代の清華大の知能レベルは、日本の中学程度であり、とにかく「毛沢東語録を掲げて戦う」こと以外学ばなかったのだから、彼が学術論文なんぞ書けるわけはないと冷たかった。
彼が気にしているのはそうではなく、薄帰来追い落としを謀った裁判が混迷していて、次回以降の裁判が開けなくなる可能性が出てきたからだろうという。
薄を逮捕したのは警察ではなく国家公安部であり、裁判自体が異常だと言うのだが、この国の裁判システムについて私はよく知らない。
昔上海で聞いたところによると、高級幹部の“女”が、突如裁判官に任命されたことがあり、誰もこの国の裁判なんて信用していないらしかった…
ところが今回は、逮捕した後に彼の罪状を集めて裁判しているというから、なぜ逮捕した時に罪状を明らかにしなかったのか!というのが問題になっていて、事件や被告らと直接関係がなかった山東省の人民法院(裁判所)が「次期開廷」を断ったというのだから面白い。
どうも3日付の中国系香港紙、商報が伝えた「元重慶市共産党委員会書記、薄煕来被告の事件担当チームのトップを務めていた最高人民検察院最高検)の検察官、劉吉恩氏が8月30日に解任された」ことと関係があるようだ。それによると解任の理由は不明だが、「薄被告が8月下旬の公判で捜査段階の供述を翻して起訴内容を全面否認、審理が長期化したことに対する責任を問われた可能性がある」という。


別の情報では、習と薄は幼馴染で、特に英国に住んでいる習主席の妹の娘(姪)は英国人と結婚して商売しているから、習自身が殺されたニール・ヘイウッドとも仲が良かったというスキャンダルにつながりかねないのだという。
だから薄が示した指3本は、習の任期はあと3年というシグナルだというのだからこれまた面白い!


それに備えるためか、習主席が急に軍を訪問する機会が増え、軍の高級人事で薄の息がかかった一派を追放して、自分の勢力で固めだした。軍に対して飲酒禁止、パーティ自粛命令を出しておきながら…


≪旅順軍港に集結した潜水艦と艦艇群。北海艦隊内で大きな動きか?という=インターネットから≫


その典型的例が広州軍区のトップに威建国・副参謀長(中将)を充て、その後任に孫建国・副参謀長を当てるという。二人の軍人の名前が「建国」とは、なかなか意味深長だ!
 南京軍区時代に習と親密だったのが威建国で、彼は生粋の軍人で、中国軍人としては珍しく中越戦争の実戦経験があるという。
主席として何とか軍を掌握しようと涙ぐましく努力中であることは分かるが、経済は左前になってきた。


6日の大紀元日本は、「中国のGDP、1兆ドル水増し」と題して、
北京大学HSBC経営大学院のクリストファー・ボールディング准教授は8月、「中国の経済データはどれだけ水増しされたのか?少なくとも1兆ドルだ」と題する論文を発表し、中国の実質国内総生産GDP)は当局の統計より1兆ドル少ないと分析した≫と報じた。
細部はご一読願うとして、「32ページに及ぶこの論文は、中国国家統計局が発表しているデータと第三者機関のものと比較し、当局の統計データが信頼出来ないことを明白に示す例を挙げた」ものだという。

≪対中貿易に慎重になり始めた日本企業=産経から≫


更に8月31日号の英国誌「エコノミスト」は、「中国の国有銀行はまもなく不良債権処理という別の大波に襲われるだろう」と書き、中国の四大銀行の報告は「誰も信じていない」という。
私も13年前に、西安で「公道杯」を買ってもらったガイドの女性に代金を送金して、ひどい目に遭った経験がある。「銀行」とは名ばかりで、「詐欺師集団」だったから、2度も送金して届かなかったものが、彼女が銀行に直談判したところ係りが引き出しから現金をくれたというのである。とっくの昔に届いていたのだ。
彼女からは「日本の銀行と同じ感覚で信頼してはいけません。私たちは全然信用していません」という警告と丁寧なお詫びの手紙が来た。彼女は満州人だったが…

≪唐時代に腹八分を教えたという公道杯≫
エコノミスト誌には、中国の銀行とは「幹部は党から派遣され、次は銀行総裁かと思ったら銀行監視委員会の責任者になったりする」組織だったが、今や「特権にあぐらをかいてきた四大銀行も、国有企業への貸し出しがおもうように出来なくなった」とある。


それを裏付けるように香港最大の企業集団・長江実業グループ創設者兼会長で、その資産は310億米ドル、世界8位の富豪で世界最大の資産家であるとされる李嘉誠が、上海などの資産を売却して得た資金、410億香港$を欧州などに分散して送金したという。

香港の自由な生活と報道活動が、中共政府に重荷になってきたらしく、民主活動家らを「人民の敵」として逮捕する動きがあるらしいから、国外脱出か、とうわさされているらしい。
毛沢東時代からの宿痾か、共産党特有の知識人・民主活動家=悪との考え方が復活したらしい。
自由活動の本拠地である香港人としては耐えられないことだろう。


そんな中、訪中を計画した公明党はドタキャンされたらしいが、こんな国際情勢さえ読めない「与党」と組んでいたら、安倍政権は足を引っ張られること間違いない。その上「集団的自衛権問題」に理解を求めようと訪米したが米高官は誰も会ってくれないという。思い上がりも甚だしい。その国際情勢認識度の低さには与党としての資格があるとは到底思えない。与党というより「野党」ではないか?

間もなく10月1日の国慶節(中共建国記念日)を迎えるが、大陸ではどんな想定外の事象が起きるか、今から楽しみである…

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