軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

薄一派の“クーデター”か?

ブログの更新が遅れたが、体調不良ではないのでご安心を! 四日ほど更新が遅れると「体調不良か?」とお電話を頂くので恐縮している・・・


さて、11月3日は記憶に残る一日だった。
入間基地航空祭に32万人が集まったのも驚きだが、日本シリーズ楽天が優勝したのは、東北の被災地はもとより、国内に勇気と感動をもたらした。

≪入間航空祭に32万人=産経から≫

星野監督の胴上げ=産経から≫


しかも「3・11」の逆バージョン?「11・3」だったのが何とも因縁めいている。
私も青年時代に剣道を嗜んでいたから、両リーグを戦い抜いてきた巨人と楽天の決戦は、当初から楽天が勝つ、と“家族には”明言してきた。
理由は簡単、双方の指揮官の采配ぶりの差である。巨人はメリハリが効いておらず、選手も“ぬるま湯”的動きが目立ったが、楽天の方は“闘将”が体中に闘志を漲らせていたから、選手がそれに影響されぬ筈はない。
技術的評価は素人の私には出来ないが「指揮と士気」に関しては、長年愛用してきた「統帥綱領」の第一項目、将帥=「統帥の中心たり、原動力たるものは、実に将帥にして、古来、軍の勝敗はその軍隊よりも、むしろ将帥に負うところ大なり」を信じているからである。

≪こちらもよく頑張った!=産経から≫


話は変わるが「食材偽装」事件は収まりそうにない。要するに大企業や有名店などには「商道徳のかけらもない」ことが公になったにすぎないのだが、こんな現象は「バブル期」に各方面で現れていたから驚くにはあたらない。エリート集団と呼ばれた大蔵省幹部の「ノーパンしゃぶしゃぶ」はその代表例で、これまた「統帥の中心たる幹部の無教養と無責任」が表面化したに過ぎない。
今回それは会見した各企業の責任者たち、例えば高島屋常務の「恣意的なものはなく、虚偽とは理解していないが、メニューに対する認識の甘さがあった」という弁解に表れている。彼は「恣意的」「虚偽」「認識」という言葉の意味も理解していないようだ。
「固有の名称」を持つ食材が「別の名前で出ている」ことを“虚偽だと認識しない姿勢”は、正常ではないことを「認識していない」彼の方が異常なのである。
食材の入手が不可能だったのなら一般的な名称である『エビ』と書き、奇妙な人口肉に「ブランド名」をかぶせるよりも「ブランド肉に勝るとも劣らない人口肉」と書いて、お客に格安で提供すればいいのだ。
それが逆に「安物」に「ブランドもの」の名をかぶせるから、客が騙された!と怒るのだが、それさえ気づいていない。彼ら幹部は、青年期から壮年期に至るまで、いったい何を学んできたのか? 多分「勉強はしなかった」にもかかわらず「高学歴」という“メニュー”だけで出世してきたのだろう。彼らの肩書自体が「虚偽表示」だったわけだ…


ところでそんな些事はこの際どうでもいい。隣国に危機が迫っていることの方が一大事だ。
11月1日、中国メディアは、中国の司法部門を統括する共産党中央政法委員会の孟建柱書記が、天安門前での車両突入事件の背後に、ウイグル独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」があったと断定し、「中国を含む多くの国家が、テロの脅威を受けている。北京の暴力テロ攻撃も、こうした国際的な大きな背景の下で発生した」と訴えた。
そして実に手際よく、車両突入事件の容疑者を拘束したことを中国メディアは称賛し、「テロ組織を批判するキャンペーンを開始」したが、これは「テロリストによる犯行」と強調して、国際的な批判をウイグル人にかぶせようとする行為、濡れ衣に他ならない。

天安門車炎上事件=産経から≫


以前この事件について私は「内部に手引きした者がいるのじゃないか?」と匂わせたが、あの警戒厳重な“一等地で自爆”するのは、辺境のウイグルから出てきた夫と妊娠中の妻、それに老いた母親にできるわけはないと思ったからである。

ウイグル地図=産経から≫


現場は、中国政治の中枢である中南海に近いし、この日は100mほどしか離れていない場所で習主席はじめ要人たち7人が会合を開いていた。
不測の事態を憂慮した当局が「広場周辺に警官や私服警官らを配置し、常に不穏な動きに目を光らせていた」最中で、それに合わせるように起きた事件だから、間違いなく“政治的シグナル”だったと言うべきであろう。


「外国メディアが集まる北京で事件を起こせば、世界的に注目される。このため、漢族の陳情者も最近、北京で暴力事件を起こすケースが増えている。今回の事件も政治目的より社会の注目や関心を集めたいとの意図で北京で起こされた可能性がある」と産経は指摘したが、中国のインターネット上でも、「暴走車両が警備を突破して歩道に進入し数百メートル走行」できたのは、「事故」ではなく「計画的な犯行」だとするコメントが相次いでいる。
産経の川越記者は「習近平指導部は、汚職の撲滅などを掲げ、国民の不満の矛先を当局からそらそうと懸命になっている。しかも11月の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)の直前というタイミングだった。
広範な視聴者がいる中国中央テレビの午後7時のニュース番組は一切報じず沈黙。外務省報道官もこの日の記者会見で「状況を把握していない」と苦しい回答に追われた。こうしたこと自体、習政権への衝撃度を物語っている」と書いたが、確かに何か裏がありそうで、勘ぐれば「クーデターの狼煙」だといえなくもなかろう。
その後も中国共産党機関紙、人民日報傘下の環球時報などは、執拗に「テロ組織の目的は社会を恐怖に陥れ、溝を作り出すことだ。その目的を達成させてはならない」と国民に“冷静な対応を呼びかけた”し、新京報ウイグル独立派組織を「全民族と文明世界の共通の敵」と位置づけ「テロ活動への打撃は絶対に手を緩めてはならない」と強調する記事を掲載し続けている。


そこで「果たして然るか?」と自明の理を疑う癖がある私は、次のような仮説を立ててみた。これは「ウイグル独立派組織」に濡れ衣を着せた「薄煕来支持派によるクーデター」ではないのか?と。

≪約200人が死亡した大規模暴動の発生から5日で4年となるのを前に、新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで厳戒態勢を敷く中国の武装警察隊員=6月29日:産経から≫


それを裏付けるように、外務省報道官がウイグル独立派組織が関与している可能性を示して「反文明的行為」と批判、「中国の民族、宗教政策に関連づけるべきものではない」と強調、国防省報道官も「テロは国際社会共通の敵だ」とし、公然と「軍が出動して“平定する”意思」を示し、真実から目を背けさせようとし始めた。
そこで私は「これは間違いなく薄煕来一派による習近平に対するクーデター事件では?」と見た。
するとどうだろう。中国各地で「国内線旅客機に爆弾を仕掛けたとの脅迫電話が相次ぎ、旅客機が緊急着陸するなどの騒ぎがあった」という。
ウイグル独立派組織だけで、このような連携プレーが取れるだろうか?


産経は「国営新華社通信は、公安当局が容疑者を拘束したと伝えたが、車両突入事件直後のため、当局は警戒を強めている。中国中央テレビによると、31日正午ごろ、内陸部の湖南省長沙から浙江省杭州に向かう旅客機に爆発物を仕掛けたとの脅迫電話があり、旅客機は江西省の南昌空港に緊急着陸した。インターネットのニュースサイトによると、黒竜江省ハルビン発長沙行きと、福建省福州発長沙行きの旅客機にも同様の脅迫電話があり、ダイヤが乱れた」と報じた。
 
ところが3日「新疆日報によると、新疆軍区の劉雷政治委員が自治区党委および常務委員に任命され、現職の彭勇新疆軍区司令官が解任された。
2013年11月3日、新疆ウイグル自治区党委機関紙・新疆日報によると、新疆軍区の劉雷政治委員が自治区党委および常務委員に任命され、現職の彭勇新疆軍区司令官が解任されたとBBCが伝えた」という小さな記事が目に留まった。
彭勇司令官解任の背景は天安門車両突入事件があるのは明白だろう。
インターネット情報によると彭氏は59歳。軍の階級は中将。1970年に普通砲兵として参軍し、2011年に47集団軍軍長から新疆軍区司令官へ昇進しており、習近平夫人の彭麗媛夫人の一族か?といわれるが、彭氏の解任は事件発生を未然に防げなかったテロ対策の甘さが原因だと見られている。
交代した劉雷氏は彭氏より3歳年下で、軍の階級は少将。彭氏と同様、解放軍21軍(現21集団軍)63師の普通士兵から昇進を重ね、今年7月に新疆軍区政治委員へと転任した人物だという。

ただでさえ中国共産党習近平体制が多くの難問に直面している事は知られているが、今や中国ではPM2・5や砂漠化など、全土に広がる慢性的な水不足で人民は苦しんでおり、特に人口の大多数を占める農民は、飲み水や農業用水の枯渇 といった問題に直面していて、その不満は爆発寸前にある。しかし人口増などで水の需要は高まる一方だが有効な対策がない。
豊かな自然に囲まれて、食材偽装表示が常態化するほど「飽食が蔓延している」日本人には理解しがたいかもしれないが、ある専門家は「生命の維持に直結することだけに、軍や人民に渦巻く不満が 暴発する恐れがある。党の新指導部は足元に抱える“爆弾”におびえている」と分析している。


そんな中で毛沢東を信奉する湖南省の人民は、4日に父・習仲勲(元国務院副総理)の生誕100周年に出席した習近平に対して非難を浴びせたから、彼は急きょ長沙に駆けつけた。ところが人民は誰も彼に見向きもせず「あんたは誰?」と聞いたから「・・・国家主席だ…」と答えると、「我々は毛沢東しか知らない」と言ったから、彼はショックを受けたという実しやかな情報さえある。
そうだとすれば「毛沢東」を掲げた薄煕来一派が後ろにいると習近平主席が感じたのではないか?

≪薄煕来は唯では死なない?=産経から≫


既にこの事件以降、クーデター容疑で129人の幹部を交代させられたので「粛清が始まっている」という観測さえある。
さらに武装警察部隊2個師団・2万人が北京の警備に着いたという情報もあるから、9日から12日まで開催される3中総会は予断を許さない。
其の他、薄煕来のバックについているといわれている王軍が「習と戦う」ことを決意したという情報もある。
彼は済南軍区副司令員で中将、武器商売で財を成したといわれているが、八大元老の1人に数えられた王震の息子である。
王震は、湖南省瀏陽県の出身で、中華人民共和国が成立した1949年に新疆生産建設兵団屯田兵に相当)を率いて新疆ウイグル自治区に進駐しウイグル人弾圧と漢族入植事業を推進した人物。文化大革命で冷遇されたが、毛沢東の保護を受け、1975年1月の第4期全国人民代表大会第1回会議において国務院副総理に就任した経歴を持つ人物である。


このように「天安門車炎上事件」以降、“役者”が揃いつつあるから、やがて「新京劇」の幕開けも近いのではないか?


いずれにせよ、今回の天安門車炎上事件は、ウイグル族に濡れ衣を着せつつ、裏で起きている薄煕来派による“クーデター”を隠ぺいしようという政府の動きだと捉えた方がよさそうだ。
日本政府、特に防衛を預かる役所では、「食材偽装」問題などで視野狭窄症になっている場合じゃなさそうだ。

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