軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

威嚇に出始めた人民解放軍

チャンネル桜の「闘論!倒論!討論!2013日本よ今…」の収録を終えて帰宅した。人身事故で電車のダイヤが乱れていて少し遅くなったが、防空識別圏について「解説を求める」メールや留守電がいっぱい。


「闘論・・・」のテーマは「あらためて大東亜戦争を考える」で、パネリストは阿羅健一(近現代史研究家)、加瀬英明(外交評論家)、小堀桂一郎(東大名誉教授)、高山正之(ジャーナリスト)、田中英道(東北大名誉教授)、馬渕睦夫(元ウクライナモルドバ大使)、それに私、司会は水島社長という専門家だった。
私は軍事的観点から意見を申し上げたが、他の出席者の専門的解説が大いに参考になった。
若い方々が見てくれて、大東亜戦争の真実を少しでも理解し、誇りと自信をもってくれたら…というのが出席者の望みだった。
30日の午後8時〜11時にスカパー217チャンネル、So−TV、YouTube,ニコニコチャンネル132ch、オフィシャルサイトで放映される。


さて、傍若無人なシナの防空識別圏設定についてだが、問題は他国(日本)の領土を取り込んだことにある。
その上、ADIZは民間機の航行にも影響を持つから、国際的な影響も大きい。
1983年9月1日に大韓航空ボーイング747が、航路を逸脱してソビエトの領空を侵犯したために、ソ連防空軍のSU戦闘機に撃墜され、乗員乗客合わせて269人全員が死亡した事件を挙げるまでもなく、国際的に安全運航が定着して継続されている最中に、自分の都合で一方的に線引きする国が、21世紀の今も存在するのだという事実を世界は忘れてはなるまい。「自分の物は自分のもの、他人の物も自分のもの」というこの国の自己中心主義な姿が“経済大国”の本性だということを周辺諸国はもとより、国際的に宣伝したようなものだ。
いずれ書く機会もあろうからADIZについて今日は省略するが、中国共産党は、習近平体制が傾き始めたことに危機感を覚えていると見えて、矢継ぎ早に人民の眼を外に向けようと必死のように見える。


大紀元日本は「『防空識別圏』の背後に青島爆発事故か 死者100人超の説も」として、今回の設定をこう分析している。
≪【大紀元日本11月25日】中国国防省は23日、沖縄県尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したと発表し、この空域を飛行する航空機に対し、中国当局に飛行計画を報告することや、中国国防省の指示に従うことなどを義務づけ、従わない場合、武力による緊急措置をとるなどとしている。これに対し、日本外務省は「全く受け入れられない」と中国側に抗議し、米政府も同日、「緊張を高める一方的な行動」と中国を非難した。すでに尖閣諸島問題で日中関係が冷え込んでいるなか、「関係防空識別圏」の発表はまさに火に油を注いだ。このタイミングの挑発行為の背後に、先週起きた青島市爆発事故が影響しているとの見方が出ている。
中国国内で22日、山東省青島市で石油パイプラインが爆発し、25日現在55人が死亡、9人が行方不明、136人が負傷と中国石油史上最大の惨事が起きたばかり。香港紙「蘋果日報」は現地住民の話として、死者が100人を超えている可能性があると報じた。石油パイプラインの修復作業に当たった河北省に本社がある「万田公司」だけで13人の従業員が死亡した。米VOAも死者が政府発表より多いとの目撃証言を伝えた。
(中略)
さらに、事故翌日、現地主要新聞紙はいずれも事故を取り上げていない。事故の視察に訪れた習近平主席の指示も目立たないところで掲載されただけだった。政府メディアはこぞって救助活動に現れた「心温まる美談」を宣伝している。「人命軽視、体面重視」の政府対応に市民らは「不幸がよくも慶事になった」と強い不満を口にした。被害の全容の解明と事故責任を求める市民の不満をそらすため、ミニブログ(微博)で「また釣魚島(尖閣諸島の中国名)を利用する手口を持ち出した」との書き込みが投稿された。
今回の爆発は事故によるものと言えるかもしれないが、最近、不満を持つ市民による爆発事件も多発している。ウィグル族人による天安門広場での突入爆発事件、山西省太原市共産党本部前で起きた爆発事件などなど。そして、党内では共産党政権の存命を図るために腐敗取り締まりに力を入れている習近平主席は既得利益層との闘争に激しさを増している一方だ。国内の危機を海外に転嫁するという中国政府の「伝家の宝刀」は再び抜かれた≫


また、前回私が書いた「中国大使館が在日中国人に登録を呼びかけている」ことについても「在日中国大使館は24日、公式ウェブサイトで在日中国人に対して、緊急事態に備えて連絡先等を登録するよう呼びかける通知を掲載した。中国国防省は23日に防空識別圏の設定を発表したことから、「開戦準備か」との書き込みがインターネットで相次ぎ投稿される一方、「開戦まで至らない」と冷静に見ている中国人も少なくない」と書いている。…
中には「戦争まで行かないだろう。デメリットは多すぎるから」、「日本と開戦?情勢判断を誤るな」、「いたずらに他国のデッドラインに触れないこと。これは絶対犯してはいけないタブーだ」、「これで中国脅威論が再燃し、中国のイメージダウンが避けられない」と批判的な見方や、「虚勢を張っているだけだ。一方的に緊張感を高め、青島爆発事件に対する市民の注意力をそらすためか、または政局に予想外の展開があるかもしれない」、「権力闘争に収拾が付かなくなったため、紛争を起こし国民の命を犠牲にしても、政権を維持したいのか」と国内の政治に問題が起きたとの憶測も飛び交っている」という。


これに対して中国外務省の秦剛報道官は、「この時期に在日中国人に登録を呼びかけたのは防空識別圏の設定と関連があるのか」との記者の質問に対して、「過剰な想像だ」と関連を否定した。在日中国大使館は中国メディアの取材に対し、2011年に起きた東日本大震災の後、登録の準備を進め、11月に正式に開始したと説明し、あくまでも自然災害に備えるための対策だとしている」という。
“自然災害”とはよく言ったものだ。≪不自然災害≫の間違いじゃないのか?


面白い?のは今回のADIZ設定については韓国の金寛鎮国防相も「中国が設定した防空識別圏中韓が管轄権を争う東シナ海の暗礁、離於島(中国名・蘇岩礁)が含まれていることに絡み、離於島を含んでいない韓国の防空識別圏離於島まで拡張する」ことを関係部署と協議するというニュースだ。
このため朴槿恵政権は、管轄権があるとの主張を中国だけでなく日本にも強めていく姿勢を強調し、世論の批判をかわしたい考えだ(共同)というが、朴大統領個人の意見は聞こえてこない。慰安婦問題で忙しいのか、はたまた週刊新潮に、父親大統領がその昔、米軍相手の慰安所の責任者だったことを暴かれたので、歴史の勉強をし直して抗議しようとしているのか? だからわたしは「馬鹿なことを続け、無知をさらしていると天に唾する事になるよ!」と言ったのに…お気の毒に大統領というよりも国のために仕事をしない単なる“親不孝娘”になっちゃった!
 


他方、シナ政府の、人民の眼を外に向けさせるための宣伝操作はさすがに上手で、「共同」によると、
≪中国メディアは26日、東シナ海上空での防空識別圏設定に関する各種世論調査の結果を伝えた。沖縄県尖閣諸島をめぐる日中の対立を念頭に、外国機が識別圏に不正侵入した場合は「実弾攻撃すべきだ」との回答が6割に達するなど、過激な傾向が目立っている。中国の大手ニュースサイト、新浪網が26日に短文投稿サイト「微博」上で実施したアンケートでは、回答者の半数が「将来、識別圏内で日中が衝突する」と回答した。
同日付の環球時報は、識別圏についてインターネットを使って実施した調査結果を掲載。「中国の識別圏に外国機が不正に侵入した場合どうするか」(複数回答可)との問いに、87・6%が「軍用機を派遣して監視、迎撃し、追い払う」、59・8%が「警告に従わない場合は実弾で攻撃すべきだ」と回答した≫という。
数値は信用できるのかな〜


さて問題は次のニュースだろう。
新華社電によると、中国初の空母「遼寧」が26日、山東省青島市の基地から出港した。南シナ海やその周辺海域で科学研究や試験、軍事訓練を行う予定で、ミサイル駆逐艦2隻、ミサイルフリゲート艦2隻も参加。国内メディアは「就役以来、空母戦闘群として南シナ海で初の訓練」としている。尖閣諸島沖縄県石垣市)付近を通過する可能性もある。(共同)≫

このニュースについて中国のウォッチャーに解説してもらったら、空母『遼寧号』が基地である海南島に回航されるついでに、尖閣方面に威嚇航行するのだと言う。
ソ連時代のスクラップ艦など、我々近代海軍を保有する国は歯牙にもかけていないが、「大艦巨砲」に弱い“素人”の東南アジア諸国にとっては脅威に感じる国民が多いだろうから、その意味では効果がなくもない。
尖閣周辺を航行して威圧するのか、上陸??する気か、護衛部隊はミサイル駆逐艦瀋陽」「石家荘」。他にミサイル護衛艦4隻だという。
海上自衛隊の主力でお出迎えすればよかろうが、こちらは今、国際救援活動に参加中でお出迎え出来ないから”失礼”するだろう。それよりも、シナ艦隊はフィリピンの被災地に立ち寄って救援活動に参加すればいいのに。そうすれば少しは世界から「感謝」されるだろうに、習近平主席はどう考えているのだろうか?


尤もフィリピンには、海自の艦艇が既に活動しているから、そんなところで救援活動に加わって、将兵の練度を比較されては困るだろうから、おそらく南シナ海を遊弋して周辺諸国に「示威行動」をとった後、海南島に入るつもりだろう。故障しなければいいが……


今回の航海は、不満たらたらの人民の目を少しは誤魔化すことは出来るだろうが、そういつまでも遊弋しているわけにもいくまい。そんなことをしている間に、陸上では抜き差しならぬ諸問題が起きる可能性が高い。
現地で、アジアの安定とフィリピン国民の救援に全力を尽くしている後輩諸官は慌てる必要は毛頭なかろう。粛々と救援任務を果たして帰国することを期待している。


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