軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

尖閣海空域を「射爆撃場」に指定?

6月18日付のブログに、6月14日に河南省南陽市に並んでいる列車に大量の戦車・装甲車・その他ミサイル発射車両(100両ほど)が積載されていたことについて、「ミサイル部隊(第2砲兵)発射旅団の動きがおかしい。今回は100両以上の発射車を引き出している」から「地元紙は東海の緊張関係と関係があると報じている」と書いたが、どうも本気でミサイルを撃つらしい、という噂が伝わってきた。

その背景には、6月30日に徐才厚(前軍事委副主任)が失脚したことで、軍上層部に激震が走り、四大総部、七大軍区の高官たちが一斉に習近平に忠誠を誓って自己保身に徹したことがあるらしい。

7月8日付けの多維新聞によれば、徐失脚によって失脚したのは八人だが、その中に第二砲兵(戦略ミサイル軍)副政治委員の干大清少将も含まれている。08年、彼は遼寧出身で親密な関係にある徐に貢物して少将に昇進、今年は中将に出世の予定だったという。


そのほかに、軍が気ままに大判ふるまいを続けてきた宴会も、昨年来自粛させられているため、“飲み二ケーション”不足となった解放軍内部に不満が高まりつつあることがあり、副作用として売れなくなった酒造メーカーの株価は暴落、世界の空港免税店にはマオタイ酒が“投げ売り”されているらしい。

私も上海の宴会場で、一気飲みして勝った元大佐から一本献上されて保管しているが、今では二束三文の価値しかない?のだろう。


大紀元日本7月9日】によると、
≪6月30日、中国軍の元ナンバー2で党中央軍事委員会前副主席の徐才厚への党籍剥奪と司法機関送致が発表されてから、元最高指導者江沢民が軍に配置したもう一人の代表者・郭伯雄の処遇も注目されていた。その身柄が拘束されているとの見方が強まっている。

中国では軍のトップは実質的に国のトップと言える。02年、当時の軍トップ江沢民は3年後に引退せざるを得ないことを見据えて、軍のナンバー2で党中央軍事委員会の副主席のポストを側近の郭に継がせた。
04年には、徐もこのポストに就いたため、軍の主要人事は江沢民派の人員で固められたことになり、05年から軍のトップになった当時の胡錦濤主席は実質上、軍を支配できなかった。胡錦濤温家宝政権の政令は「中南海(指導部)からは出られない」と揶揄されたのは、こういう裏事情があったからだ。

郭は徐とともに、2012年末現職を引退した。
昨年末、胡前主席の側近で北京軍区第38集団軍の長・許林平氏(57)が、蘭州軍区の副司令員(副司令官)に任命された。6月30日、徐への処分が発表されてから、同軍区はさらに大規模な人事調査を行ったと地元紙は報道した。軍のトップである習近平主席は、軍内部の江沢民派の残存勢力を抜本的に排除していると思われる。
中国国内インターネットでも郭の失脚に関する情報が飛び交っている。

≪郭白雄=大紀元日本から≫

葉剣英=インターネットから≫


このようなシナ大陸内に流れる情報を整理してみると、習近平は今や軍の8割を掌握したように見える。先日書いたように、絶大なる人脈を握る葉剣英一家の支持が功を奏したのだろう。しかしいずれにせよ彼らは「文革」時代の悪影響から抜け出せない“紅衛兵上がり”だから始末が悪い。


まだまだ江沢民一派の動きを楽観視できないが、彼はもともと人民に人気がなかった。ということは軍内からもどんどん離反者が出ると思われる。
次の注目点は胡錦濤派との戦いだが、もともと胡錦濤は武闘派ではないから、結果は出たも同様だ。温家宝元首相も潰されるだろう。


となると、一応大陸“統一”にめどがついた習近平主席の次の手である。
北朝鮮に“こけ”にされた習近平主席は、ADIZなどでもめた韓国を訪問し、満面の笑みを浮かべてリップサービスしたが、なんとなく「引かれ者の小唄」という言葉を思い出した。

≪7月3日、中韓首脳会談。朴大統領よ、SAPIOをご覧あれ!=産経から≫


しかし習主席は、7・7変(盧溝橋事件)集会で「日本に負けない」と豪語した。共産党のシンパ学生や共産党員らを国民党軍内に潜入させて仕掛けた【謎の一発】が原因だったことはすでに自明だが、周恩来などははるか以前にそれを認めて共産党の手柄にしている。文革で勉強していないとこうなるから恐ろしい。

それよりもいささか気になるのが、日本地図の広島と長崎に「きのこ雲」を表示したことだろう。子供のいたずらじゃあるまいから、何かのシグナルだとしたら厳重注意が必要だ。

米国内の中国人用「倍可親」ネットによると、これは日本にミサイルを撃ち込むシグナルだという。

物騒な話だが、南京軍区副司令官は、尖閣まではわずか400kmに過ぎないから、この海空域を制圧するのは南京軍区だけで十分だ!と発言しているという。失脚しないためのアドバルーンだとしても、人民は日本との関係については、盧溝橋事件も、南京事件も、尖閣問題についても教えられておらず、ただただ反日教育を受けているだけだから、日本憎しという点では軍に同調しかねない。


彼らの軍事的可能行動を推定すれば、シナは自国領土だ!と一方的に宣言した尖閣諸島を取り込んだADIZを設定したから、人民は自国領土だと信じている。従って、今では見向きもされなくなっている「羅援・タカ派少将」が以前吠えていたミサイル射撃が現実味を帯びてくる。
つまり、中国が一方的に設定したADIZ内を≪訓練場≫だと再び公示するのである。西側的に表現すれば「飛行禁止空域=射撃場」に指定するわけだ。


もちろん我が国も米国も認めるはずはないが、今や米国はイスラエル問題で動きが取れない。おそらく第5次中東戦争が始まるだろうが、オバマ大統領はムスリム“同胞”と対峙できまいから、シリア事変の時と同じ流れになりかねない。しかしその後の状況は複雑怪奇になっているから、情報機関の総力を挙げて速やかに状況をつかまなければ、第2のヴェトナム戦争になりかねない。


そんな時、10日に米中戦略・経済対話が実施されたが、何ら成果らしきものはなかった。
「双方の代表による共同記者会見ではサイバー攻撃、中国の対外拡張、為替問題などについて「話し合いによる解決を目指すことで一致した」といった表現が多く使われ、重要問題で前進がなかったことをうかがわせた」ほか「重要問題については違いが際立った(産経)」が、気になるのは、
≪東・南シナ海の領有権をめぐって中国が周辺国と対立を深めていることについて楊国務委員は、「中国は今後も領土主権と海洋権益を断固として守る。米国に対し客観的で公正な立場を取るよう求めた」と言明。さらに「中国は当事国と交渉する」とし、米国を排除する方針を改めて強調した。米中双方の主張が平行線をたどったことで、中国と日本や東南アジア諸国との対立と軍事的緊張が今後も続きそうだ。

一方、報道によると、双方は米中両軍の交流と協力を進めることで合意、重大な軍事行動について連絡し合う通報メカニズムの早期構築で一致した。

サイバー問題については、ケリー長官が「米国は中国のサイバー攻撃による産業スパイで大きな被害を受けている」と指摘したのに対し、楊国務委員は中国も攻撃の被害者であると強調し、「この問題を他国の利益に損害を与える道具にすべきでない」と応じた(産経)≫という報道である。


ここにも江沢民一派との闘争の影響が見て取れる。
中国側の主役・王洋(政治局員、副首相格)は、かつての王岐山(政治局常務委員)にかわって戦略的政治の先頭に立っているが王岐山は今や「反腐敗キャンペーンの責任者」として、軍高官にメスを入れた影の立役者である。

このような背景を勘案すると、8月1日の創軍記念日に、北朝鮮同様、尖閣海域に向けてミサイルを撃ち込む軍事的【花火】打ち上げを実施しかねない。
李登輝総統選挙の時にこれを阻止せんとしてミサイル発射した前例があるが、あの時は第7艦隊と第5艦隊から空母2隻が台湾海峡に駆け付けて事なきを得た。しかし、気弱なオバマ政権下では全くその意思が見られなから、跳ね上がり中国軍人が撃ち込みかねない。


そう考えてみると、この事態に対してわが国には対処のしようがないことがわかる。北朝鮮ミサイル事案の時のように“事前に”ペトリを尖閣に搬入することもできまいから、すべては後の祭りになりかねない。
そこでわが外交官が、勇気ある態度をとるかどうかだが、北朝鮮問題で手一杯、対応できないだろう。
勿論自衛隊は反撃できないから、黙認する以外にない。

これは江沢民一派を追い詰めている習近平主席にとっては、それに決着をつけるためにも「勇気ある指導者!」として軍や人民から歓迎されるまたとない機会にならないとも限らない。

月末から8月初旬にかけて、尖閣を取り巻く中国公船の動きを注目しておく必要があるだろう。海域を離脱し始めたら、備えを厳重にしなければならない。海保の巡視船は「被弾覚悟」で任務に就くことになろうが、海保長官は覚悟しているだろうと信じたい。

今年は天も地も人も、大騒動が起きる気がしてならない。用心するに越したことはない!


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届いた雑誌のPR
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御承知!「SAPIO8月号」。ヴェトナム戦争時代の韓国軍の現地女性に対するおぞましい写真が展示されている。だから私は朴さんに忠告したのだ。ありもしなかった“従軍”慰安婦問題で日本に楯突いていると、ブーメラン現象となって恥をかくぞ!と。
今月号は全体が面白いが、私が注目したのは苫米地英人氏の「日本人だけが知らない≪洗脳の戦後史≫」である。「NHK、東京地検特捜部、旧通産省、すべてはGHQが作った≪洗脳装置≫である」というのだ。興味のある方は是非ご一読あれ!



「軍事研究」8月号。やや軍事専門の内容だが、今月は連載「アメリカの対中戦争」=西太平洋(台湾海峡)有事想定という特集が面白い。画像もふんだんで理解しやすい。



これは「軍事研究」誌の目玉の一つだが、低俗なヤジ合戦や議員の質の劣化(今に限らないが)、集団的自衛権問題について論評し「そもそも政治家の仕事とは何か?細々とした調査や政策立案は秘書や官僚に任せて、大局的な決断さえすればいいのであって、己の言葉に責任を持つに尽きるといっても過言ではない」と厳しく糾弾している。しかし、これを適用すれば「やがて永田町には誰もいくなった…」になるのじゃなかろうか? 立ち直った安倍晋三氏以外は…



週刊誌評は産経の花田氏にお任せしたいが、実は今回は[防衛大学校]学生の中に「中国の女スパイ」がいることについてコメントを求められたのである。
いやはや、何とも親中派校長が就任して以来、防大までこの体たらくか、と絶句した…
強大な武装集団の幹部になるという、我々のころの自覚と責任感はすでに消滅したらしい…。諸国の公正と信義を信頼する軍隊になったか……管轄する防衛省よ、国民を裏切ることなかれ!嗚呼!

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