昨年末の24日、ご指導いただいた中條高徳先輩が逝去しておられることを知った。氏は陸士60期、いろいろな会合でご一緒したが、最後は英霊に応える会と日本戦略研究フォーラムで活動しておられたはずで、10月17日のフォーラムではお元気に活躍しておられたと聞いていた。
平河総研創設時の特別顧問であり、国基研でも軍事の先輩として色々ご指導を受けた。
乾杯の後、「新聞はサンケイ、ビールはアサヒ!」というと、君はいいこと言うね〜とご満足だったことを思い出す。
2010年1月、私が緊急入院した後無事に退院してお会いした時、「君は今いくつだ?」と聞かれ、今年の夏で70ですと答えると、「人間には“節目”というものがある。わしもそうだったが、節目節目を無事に過ごせば、あと10年は生きられる。君はそれをクリアーしたのだから80までは大丈夫だ!」と肩をたたかれた。氏は87歳だったというから、残念にも次の節目まで届かなかったようだ…心から哀悼の誠を捧げたい。
≪哀悼!中條先輩=産経から≫
1月11日、息子が知らせてくれた夜のTBS番組を見た。昨年8月15日、特攻隊に関するBSフジテレビプライムニュースでスタジオに呼ばれた時に同席した陸軍特攻隊の板津忠正氏が出ていた。
「私の夢」とかいう番組だったかと思うが、その夢を番組が叶えさせるという内容だった。板津氏の夢は長年連れ添った御夫人に感謝の意を表すことで、夫人に一度もかけたことがない「ありがとう」という言葉と、二人で歌舞伎を鑑賞することだった。
この妻にしてこの夫ありとはよく言った言葉だと、放送を見ていて感動したのだが、歌舞伎座の入場券を渡す時の板津氏のテレ具合と、夫人のサプライズの表情が何とも言えず微笑ましく嬉しかった。
そしてしっかりと手を取り合った画像でエンディング・・・
89歳と84歳の素晴らしい飾らない二人の愛情表現に、なんだか、日本の古き?良き時代の夫婦像をお二人が演じていたように思い、涙が浮かんできた。
≪出撃する板津先輩=インターネットから≫
昨年夏のBSフジテレビでの収録では、12名が出撃するとき「靖国神社の一の鳥居前に集まり、全員そろって神殿に入ろう」と誓っていたのにわしだけが生き残ってしまったので、仲間はみんな一の鳥居前で待っているからと、知覧にやっと戻って早く出撃を!と上申したが、終戦になってしもうた…。
仲間に悪いことをしたと悔やんでおられる姿に、私は鳥肌が立つ思いをしたものだ。
英霊方は、すべて神殿に昇っておられるとばかり単純に思っていた私が愚かだった、と気が付いたからだ。
「靖国で待っている」「靖国で会おう」と約束した通り、未だに境内で仲間を待っている英霊方もいるはずなのだ、と悟ったのである。
しかし、夫人の手をしっかり握って前を見ている板津先輩の姿を見た仲間もきっと笑顔で安心して神殿に向かったに違いない、と思っている。
いい番組だった…地上波にも、中にはいい番組があるものだ。
さて、フランスのテロは、まだまだ予断を許さない。パリに住む友人から、あの新聞はいわばタブロイド紙で、日本で言えば問題がある低級紙の一つだ。
だからといって勿論、テロを容認することはできないが…といってきたから、新聞社の方にもわけありなのだ、と感じていた。
しかし、事件後、EUの首脳が腕を組んで10万人以上ものデモ行進が行われるとは、一体これはなんだろう?と不思議な気がしていたら、今日の産経に曽野綾子女史が、私の言いたいことをすべて書いてくれたから、全文転載しておこう。
≪曽野綾子の「透明な歳月の光」27・1・14 【言論の自由と覚悟】
1月7日、フランスの政治週刊紙「シャルリー・エブド」の本社がイスラム教徒の兄弟に襲撃され、社員ら12人が殺害された事件は、同じ日から、フランスのみならず、全ヨーロッパをあげてのデモによって感動を与えた。私も事件直後から、そのことに深く心を動かされた一人だが、事件が犯人の射殺によって一応終息すると、残った問題はいくつもあるような気がする。
私はごくたまに、主に英語で描かれた政治漫画というものを英字新聞で見て楽しんだこともあるが、半分くらいは、事情がわからない私には理解できないものであり、後味がよくないものもあった。
政治漫画は政治家を批判するむので、政治家は半ば公人だから批判してもいいと考えられるのだろうが、あまりにも不正確で大仰で無礼、というものはやはり楽しくない。
「シャルリー・エブド」紙は普段6万部くらいしか発行されていなかったマイナー紙なのに、この事件をきっかけに一挙に300万部も発行されると聞くと、これも釈然としない。大多数の人が、多分安全な立場にいて、興味本位で新聞を買ったりデモに参加するくらいのことで、自分は自由を支持する人道主義者だという証を得たいのだろうが、それなら普段からこの新聞を買ってあげていればよかったのである。
私はカトリックの修道院付属の学校で育ったが、まだ幼い時から、欧米人の修道女の先生に、「決して他人の信仰の対象に、無礼な言動をしてはならない。また時には社会に害毒を流すような人が、その宗教の信者にいたとしても、その人の行為一つで、その宗教全体を批判してはならない」と教わった。まだ小学校の生徒だったのに、ここまで冷静な姿勢を教えられたのだから、私はほんとうにいい教育を受けたのだと思う。
他国の大統領や首相の顔を、ことさらマンガチックにゆがめて描くくらいのことは許されるかもしれないが、私は彼らをマンガや映画の中で殺すというのは、悪趣味だと感じている。その意味で、北朝鮮の金正恩第1書記を暗殺する映画を作った米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの品性も好きではない。人を殺すという筋立ては、全く架空の人物やゴジラなどを殺すなら娯楽になるのだろうけれど、実在の人物を殺すという筋は笑いにならない。こんなお手軽な筋立てで客の興味を惹こうとする会社の未来にろくなことはないだろう。
この映画の場合も、上映を予定していた映画館に北朝鮮がテロをしかける恐れがあるとして、一旦は自主規制に踏み切った。しかしそれに抵抗しようという大統領の談話や市民運動が起きて、映画は大当たりし、制作会社は予想外の収益を得た。ただし観客の批評によると、映画そのものは駄作だったようだ。流行としての抵抗運動は、命をかけていない以上、本物ではないのである≫
度を過ぎた“表現の自由”には反省を求めるべきだと、私も思う。
我が国のメディアも、何とかの一つ覚えのように「言論の自由」を連呼しているが、記事によっては人を殺して平気なものもある。今大騒ぎになっている朝日新聞の過去を見れば歴然としているではないか。
書く方だけに“自由”があるわけじゃなかろう。ペンが剣より強いという証拠もない。今回のテロは、そんな安易な風潮に風穴を開けるものであった。
わが国でもメディアにいったん悪く取り上げられたら、二度と復活できないのも事実だ。その意味では行き過ぎたペンの自由が正義を無視しているともいえる。もちろん当事者側は気づいていても修正はしないから、剣が振るわれる…
韓国やシナが、わが国の指導者らに対して罵詈雑言を浴びせているのに、なんの反応も示さないわがメディアには困ったものだと思っているが、彼らはそれには触れたがらない。都合が悪いのだろう。
“宗教”とは無関係だとはいえ、天皇や、安倍首相、さらには“戦犯”とされた東条元首相などに対するいわれなき罵倒なども、テロを呼ぶきっかけにならないとは言えまい。
日本人がおとなしい“紳士”だから救われているシナや韓国メディアもあるじゃないか。反省を求めたいものだ。
≪許される行為だろうか?=インターネットから≫
他方敬虔なイスラム教徒、特に指導者は、なぜこんな騒ぎが起きるのか、よく分析してみるべきだろう。なぜ「イスラム原理主義者」などという、自分らの信じる宗教を誤解させるような殺人グループがのさばるのを許しているのか?
私にはわからない。
宗教が、民衆が最後にたどり着く「救い」であるとすれば、民衆を目覚めさせるために「神」はどうすべきなのか?
「テロリズムの狙いの一つは、民衆を目覚めさせることである」と防大卒で、青山学院大で博士課程、陸上自衛隊調査学校教官を経て、在スリランカ日本大使館勤務体験がある佐渡龍巳氏は説く。
「人というのはその環境に慣れる。しかもその環境が何百年も続くと、人は生まれた時からその環境の中に生きるため、それが自然であると思うに至る。
例え、その環境が奴隷状態であったとしても、何らその状態に疑問を感じることなく、その状態の中で、周りの奴隷よりも少しでも良い生活を送ろうとする。そのようにあくせくして少しの物質の優越性を得て、奴隷は満足する。
このような状態に疑問を抱かせ、自らのことは自分で考え、決定すると言う意思を、そして、奴隷という諦めの状態から脱却しようとする意志を持たせることが、民衆を目覚めさせるということである(「神のテロリズム」佐渡龍巳著:かや書房)」
「出エジプト記」から説き起こす彼の分析は鋭い。9・11事件を契機に、彼は「テロリズムとは一体何か」を追求する。
そして世界からテロリズムをなくすには「イサクの井戸掘り」「話し合い」「『逃れの町』の設置が復讐の悪循環を断つ」とし、「心の戦争」における国家戦略を提唱する。
まだ読了していないが、世界の指導者たちは、行き着く先が「核テロ」にならないうちに対策を立てねばならない。ご一読をお勧めする。
我が国も【対岸の火事】視していてはならないのである。
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