軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

人質事件、シナリオが崩れた?

今朝のニュースは【イスラム国が後藤さんを殺害した映像】が流れたことに集中した。
産経は≪警察当局は1日早朝、イスラムスンニ派過激組織「イスラム国」に拘束されていた後藤健二さんを殺害したとみられる映像が公開されたことを受けた関係閣僚会議で「本人であるという信憑性が高い」と報告した。中谷元・防衛相が首相官邸で記者団に明らかにした。…≫と流した程度で、TV各社もそこそこ首相談話などを報じたが、その後は平常番組に戻った。
ところが素早く「報道ステーション」をニュース特番で組んだのはやはりテレ朝だった。
朝日デジタルニュースも、≪過激派組織「イスラム国」による人質事件で、拘束されたフリージャーナリスト後藤健二さん(47)=東京都港区=とみられる男性が殺害される様子の動画が日本時間1日早朝、インターネットに公開された。

≪後藤さんとみられる映像、朝日デジタルから≫

新たに公開された動画の題名は「日本政府へのメッセージ」。後藤さんとみられる男性がひざまずき、横にはナイフを持った黒ずくめの男が立っている。男が英語で、日本が「イスラム国」と戦う連合に参加したことを理由に後藤さんを殺害するなどと語り、最後に「日本にとっての悪夢を始めよう」と言って、後藤さんの首にナイフを突きつける場面で映像が暗転。その後、男性の遺体が映し出される。

映像の左上には、「イスラム国」のメディア部門のロゴが映し出されていた。

菅義偉官房長官は1日午前6時に首相官邸で記者会見を開き、「このような非道かつ卑劣きわまりないテロ行為が再び行われたことに、一層激しい憤りを禁じ得ない」と述べ、関係省庁に情報収集などの対応を指示したと述べた。

安倍晋三首相は首相官邸で「テロリストたちを決して許さない。罪を償わせるために国際社会と連携していく」と語った。

後藤さんは昨年10月、トルコ経由でシリアに向かい、「イスラム国」の支配地域に入ったとみられ、その後、連絡が取れなくなっていた。

1月20日に公開された映像では、後藤さんと会社経営者湯川遥菜さん(42)=千葉市=が人質になっている様子が確認された。黒ずくめの男が日本政府に対し、72時間以内に身代金2億ドル(約236億円)を支払わなければ殺害すると警告。同24日深夜には男性の遺体の写真を持つ後藤さんの画像が公開された。「イスラム国」側は、遺体を「湯川さんだ」と説明、後藤さん解放の条件を変更し、2005年にヨルダンで起きた爆破事件に関与した女性死刑囚の釈放を求めた。

27日深夜には、改めて女性死刑囚を24時間以内に釈放するよう求める内容がネット上に投稿された。29日にも、イラク時間の同日日没(日本時間同日午後11時半ごろ)までに釈放を用意するよう要求する音声が公開されていた。

日本政府は、ヨルダン政府などと連携して解放を目指していたが、31日まで、事態が膠着していた≫
と詳しく報じたが、私が特に注目したのは次の■後藤健二さんの足取り(関係者の証言などによる)という記事である。

◆2014年4月 シリアで取材中に湯川遥菜さんと知り合う。その後、いったん帰国
◆10月2日 トルコ経由でシリアに再入国
◆3日 シリア北部で取材した動画をツイッターに投稿。「『イスラム国』が街を取り囲み、攻撃を仕掛けています」と解説
◆6日ごろ 日本に帰国
◆8日 東京でテレビ番組に出演
◆22日 友人に「海外出張に行く。29日午前中に帰国する」とメール


実母を記者会見させたのも社会党の編集者であったし、実母が用意した「メモ」をそのまま[会見詳報]として報じたのも朝日新聞であった。
メモが事前に記者団に配布されていたにせよ、「会見詳報」であれば、実母が語った≪地球や原発≫の話も付け加えるべきだから、この記事は「縛り付」で事前に用意されていたものじゃないか?と私は疑っていた。
実は私は、広報室長時代に、朝日の記者に絡まれたことがあったのだが、彼は私の発言は「国会で問題になる」と脅かし、それを信じた高官(彼に弱みを握られていたという説もあるが)が、懸命に私を説得しようとしたのだったが、記者は当時静岡選出の社会党議員に情報を流して、国会で問題にさせた経緯を私は知っているからである。彼はまさにひっかけ、やらせ、それをネタに脅迫するという独特の手段を持っていた。


なぜ後藤氏が、湯川さんという父親に多大な借財の整理をさせて中東に“逃避?”した彼を救出するために危険を冒してまでもテロ集団が跋扈する地帯に潜入したのか?
それほど親しい間柄だったとは週刊誌記事からでも覗えない。潜入事前にガイドに言われて?撮ったという「決意表明」もなんだか怪しいが、決死隊的表現をしつつ「帰ってきます」と気楽な一面ものぞかさせていて、テロリストと親しげな話もしていた。
その後日本では、これに呼応するかのように、北大生をリクルートしようとして捜索された客員教授が、自信ありげに政府代表として迎えに行く…的な“自信”をのぞかせていたし、いかに首領と親しいかと強調するVTRも流していた…。

と、ここまではシナリオ通りだったが、実の息子が危険にさらされているはずの実母が、息子よりも≪地球と原発問題≫の方が大切だといわんばかりの会見をしたから、テロリストらは「金にならない」と踏んだ。勿論安倍首相も断じて支払うことはないとみた。これはシナリオライターの誤算だったに違いない。極論すれば、実母が実子を見捨てたのである。
そして今は、後藤氏を金になるとみて(あるいはそれをそそのかされて?)捕えた仲間の一部と、指導者グループの間に溝ができているに違いない。

そこであわててテログループは、ヨルダン空軍パイロットとの取引を挿入したのだが、ヨルダン政府は「生きている証拠を見せよ!」と迫った。テロリストたちは敵を拡散(多勢)してしまったのである。
これでテロリストらの計画はほころび始め、この計画を「ご注進?した」極東のシナリオライターにクレームをつけ始めた。
慌てたライターは日本国民に人道主義を強調して、日本国内等に解放を呼びかける応援団を組織したが、クリスチャンが多いとみたテロリストらには通じない。逆にライターらが自分らを利用して、潰れかかっている本国の某メディアを再建しようとしているのではないか?と疑い始めた。
事実、後藤さん救出活動の裏には、実母の話のような胡散臭さが漂っている。そこに週刊誌が、彼ら彼女らの実像を暴き出したから日本国民のほとんどがしらけ始めて、ばかばかしいという意見が流れ始めた。
このころから他のTV局の報道姿勢にもしらけが漂い始めた。スタジオで解説する識者らのネタも底をついてきた。
勿論、今日の夕方からは視聴率稼ぎ目的で、各局とも特番を組むだろう。スポンサーがついているのだから…

目的を達せられないと見たら、始末するのが「アリババと40人の盗賊」の国である。しらけ始めているのに特番を組むのは、スポンサーの支持を失いたくないからではないか?などという屁理屈さえ妙に真実味を帯びてくるだろう。


今朝の産経29面下に「朝日記者、シリアで取材・外務省強い懸念」と次のようにある。
朝日新聞イスタンブール支局長が、シリア国内で取材していることが31日、分かった。「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、外務省は1月21日、報道各社にシリアヘの渡航について「いかなる理由であっても」見合わせるよう求めている。
外務省幹部は「記者も当事者意識を持ってほしい。非常に危険で、いつ拘束されてもおかしくない」と強い懸念を示した。
支局長はツイッターで、同26日にシリア北部のアレッポに入ったと伝え、現地の様子を写真を交えてリポートしている。
朝日新聞社広報部は「当該記者は、シリア政府の取材ビザを取得し、取材のために入った。記者は当初の予定・計画に従って行動・取材をしている。弊社も了解している」と回答した。≫

朝日新聞社は、イスラム”国”同様、「朝日“国”」なのかもしれない。思い上がりも甚だしいが、捕まってもだれも同情しないだろう!!何か今回の事件に関する“密命”でも帯びていたのじゃないか?と疑いたくなる。


さてこれで「一件落着」になった感があるが、国際的な普通の国であれば、自国民が二人も“さらし首”になったのだから、ただちに報復攻撃をするのが常識だ。上海事変時には、多くの邦人が危険にさらされるや帝国海軍は直ちに陸戦隊を派遣して邦人保護にあたった。

二人の殺害は、日本国にとってはイスラム“国”に対する報復攻撃をする立派な理由ができたわけだから、直ちに戦闘機か艦船を派遣して報復攻撃を加えていいのだが、≪地球を愛する≫平和民族だから、決してそんなことはしない。だからなめられるのだ。

湾岸戦争のときは、同盟国民に軽蔑された≫


仮に有志連合、ヨルダン国と提携して空爆に参加すれば、テロリストはおびえるだろうし、世界は“弱虫日本国民”を見直すことになるだろう。
もっとも朝日のイスタンブール支局長は裏切り者?として殺されるだろうが、誰も同情しまい。むしろライター一味だとバレることになるかもしれない。

自衛隊の出動を最も恐れるのは北朝鮮だろう。次は拉致被害者救出が控えているからだ。勿論尖閣領有を主張するシナも緊張するだろう。
政権争いで、軍上層部は部下を掌握できていないし指揮能力は未定である。部下らの中には、次は我が身だとばかりに国外脱出を図っている幹部がいる。


こうして首相が唱える「戦後呪縛からの脱却」の第一歩が達成されるのだが、報復の代わりに難民らへの資金供与じゃ、逆にテロで日本人が殺されることを「難民らが」期待するようになるかもしれない。日本人が捕まると喜ぶようになるのは、お金を頂戴できる彼らだったりして…

何はともあれ私が勝手に“ほざいた”『報復攻撃』などは夢のまた夢、軍事軽視の桃源郷に住むわが平和国・日本人が目覚めることなどありえへん!


その証拠に天皇陛下パラオなど南洋諸島の慰霊の旅に、海保の巡視船が使用されるという「平和国家」なのだから…
海自の大型補給艦をお召艦として出動させ、その周辺を潜水艦などで警護するという発想さえわが政府にはないのだ。万一のことを想定したくはないが、その時はパラオ国に救援を依頼する気か?


私が沖縄から「復員」した日は香港返還の当日であった。大英帝国は香港での返還式典の後、大英帝国の最後の東洋からの引き上げに際して、フィリップ殿下をお迎えして戻るお召船「ブリタニア号」の警備に空母はじめ艦船20数隻を派遣して、堂々と香港を出港した。

自己責任(一旗組?)で中東に取材に行ったジャーナリストにきりきり舞いさせられる“世界の経済大国”じゃ、そんな発想なんぞ湧くはずがないのだ。


私はこのブログの初めに≪■軍事を語らずして、日本を語るなかれ!!■≫という表題を掲げているが、ミリタリー・バランス感覚、ミリタリー・センスなき有識者のコメントは、株や病気の話題ならいざ知らず、今回のような場面では≪当たらずとも遠からず≫程度の評価しかしていない。


さて、年明け早々「アリババと40人の盗賊」を主題にしてきた中東での“出来事”は、今度は「千夜一夜物語」に収れんするのかもしれない…いや、盗賊らが世界中に拡散する公算の方が高い。

今一番気がかりなのは、“病身”をものともせずに大健闘した安倍首相にしばし休養してもらい、今後は健康第一でわが国内に潜んでいる【テロリストたち】の排除に取り組まれることを切望する。後藤氏がどうであれ、安倍首相が疲労で病を再発し倒れることも“シナリオ”に入っていたと思われるからである。公安関係者の健闘を期待したい。

届いた本のご紹介
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反日マスコミの真実2015:オークラ出版¥1200+税≫
「反マスコミ」シリーズOAK MOOKの最新版である。「朝日新聞問題、最近のテレビ報道、報じられない沖縄の現状など、今のマスコミの偏向報道捏造報道を検証する総決算の1冊」と紹介されているが、産経が報じた外務省の指導を平然と無視した現地「朝日新聞支局長」の無法行為とそれを弁護して恥じない本社の関係がよく実態を表していると思う。
これらは氷山の一角に過ぎないが、そのうちに新聞紙も、地上波TVもインターネット情報に負ける時が来るだろう。いや、すでに負けているといっても過言じゃない。勿論インターネット情報上にもやらせや意図的捏造報道は含まれているが、徐々に選別されていくに違いない。今の若者たちは報道を「盲信」することを拒否しているように感じられるから、少しは期待が持てそうである。


朝日新聞 日本型組織の崩壊 (文春新書)

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日本を守るには何が必要か

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