軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

奇々怪々な航空機事故

スペイン・バルセロナ発、ドイツ・デュッセルドルフ行きのドイツ格安航空会社(LCC)「ジャーマンウイングス」のエアバスA320旅客機が24日午前、フランス南東部のアルプス地域に墜落したが、即座にオランド大統領は「生存者はいない」と述べ、「テロの疑い」も否定した。
同機には乗客144人と乗員6人が搭乗していた。
墜落地点では同機の残骸をフランス空軍が確認し、仏当局は消防などの救助隊を現地に派遣したが生存者は絶望的である。
我が国の地上波TVでは情報もないまま?に、想像的?事故原因探求が盛んだが、日本人が二人含まれていたから悲劇になった。


ところでCNNでは、かなり早くから「もう一人の操縦士が閉め出された疑いが浮上。謎が深まる中で、直接的な墜落原因につながる有力な証拠となる可能性」を報じていた。ヴォイスレコーダーの解析で分かったというが、なんとなく情報が早すぎる気がしないでもない。情報公開が徹底しているのかも…

≪今回の調査に携わる仏軍高官が、離陸直後のコックピット内の会話は「スムーズでとても落ち着いている」と指摘。音声装置には、閉め出された操縦士がコックピットのドアを叩き、次第に大きくなる音が記録されているが、中からは反応がなかったという。
この調査筋は「(コックピットで一人になった)他の操縦士はドアを開けようとしなかった」とも語った≫というのだが、事故調査が開始されて間がない状況を考えると、何か気になる。

これらのAシリーズ機は、本社をフランスのトゥールーズに置くエアバス社が製作しているもので、1970年にフランスとドイツの企業が連合して起業し、その後スペイン、英国が加わった共同出資会社である。

だから事故直後から、英国以外の3か国の首脳が“華々しく”動き回り、今日は現場にも揃って視察に行っているのだろう。


≪25日、ドイツの旅客機が墜落したフランス南部の現場近くに到着した(手前左から)フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、スペインのラホイ首相(ゲッティ=共同)
何か、フランスの週刊雑誌社がテロリストに襲撃された時、欧州の首脳陣が言論の自由!を唱えてフランス・デモをしたことに共通している≫


A320型機はコンピューター制御が主体の近代装置を誇る機種であり、F-16のようにフラーバイワイヤーで操縦される。
コンピューターの塊!と称せられて登場したエアバスA320型は、1988年6月26日にフランスアブシーム空港で性能を展示しようと高度100フィートで滑走路に接近したが、「機長が観客にアピールしようとして」低速度で30フィート(約9 m)の超低空飛行を行った。しかし機首が上がった姿勢だったため、着陸復行時に十分なパワーを出すことが出来ず、失速して空港脇の森に墜落して炎上した。このシーンは克明に記録されて、何度も何度もTVで放映されたからご記憶の方もあろう。


コンピューターの発達で乗務員を削減できたため、2人乗務体制がそれ以降通例になったが、上空では機長と副操縦士のうち「いずれか1人が機体の操縦にあたり、他の一人が通信などの操作やモニター業務」を行う分担運行をしている。
平成12年3月、スリランカに旅行した時乗ったのがこの機体だったが、元軍人だった英国人機長が操縦席を見せてくれたから、「サイドスティックの感覚はいかが?」と聞くと、肩をすぼめてウインクしたからよくわかった。私も三沢時代に体験搭乗したF16で苦労していたからである…。
同時にこんな狭い空間で二人っきりで何時間も過ごすのはなんとなく、特に二人の人間関係がうまくいかない時は地獄だろう!と気の毒になった。
勿論、操縦は2人の内のいずれかが行うが、最終的な意志決定は責任者である機長である。
今回、席を離れて戻れなかったのがどっちだったかわからないが、コパイが厳しい機長に仕返し?をしたのか、それとも他の目的で「ハイジャック」したのかは今後の捜査に待たねばなるまい。


私は現役時代に航空安全管理隊司令を経験し、事故調査を体験したが、いろいろな“理由”から、調査に思い込みを持ち込むことは危険である。
国内的、国際的な政治的理由、メーカーとしての立場、外野席からの“雑音”、関係者の保身などなど、白紙で回収した“ブツ”の検証に当たらねば真相は追及できない。

その意味で急減圧とか、フライバイワイヤーなど、体験したこともないような内容を、キャスターたちが想像で意見を述べているのはいかがなものか?と思った。


昭和46年の雫石事故もこのようなメディア関係者の思いこみ、というよりも自衛隊犯人説が先行して事実を大きく捻じ曲げたし、御巣鷹山事故の際も、位置特定がどうだこうだ、米軍の救援を断った、などと事故調査以外の自衛隊非難で事故の真相が隠された。
今回、当たり前のように「急減圧説」が登場したのには思わず笑ってしまった。御巣鷹山のジャンボ機墜落の時は、隔壁が破壊されて急減圧が起きたのだが、後尾に搭乗していたキャビンアテンダントの落合さんしか気が付かなかったからだ。未だに自衛隊機がミサイルで撃墜した、などという左翼本がはびこっている。

今回の真相には、我が国のメディアが全く想定できそうにない事実が出てきそうだが、犠牲になった乗客の無念はいつも同じである。


マレーシアのクアラルンプールから中華人民共和国北京市に向かっていたマレーシア航空370便がタイランド湾上空で消息を絶った事故も奇々怪々であるが、今後はパイロットがテロリストになるか、テロリストが9・11の時のようにパイロットになって実行するか、大型機を経験した航空評論家は、これらも含めた操縦者の勤務状況や精神状態、会社内の人間関係など、メンタル面の研究も怠らないようにして解説してほしいものだ。


今や「何が起きてもおかしくない時代」が始まっているのだ。政府関係者には、下手をすると中近東で核爆発が起きるかもしれない…というくらいの危機感を持って情報収集と分析にあたってもらいたいと思う。

もちろんこれは、今回の事故と報道を見ていた私の「個人的見解」に過ぎないが…。


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≪ご存じWiLL5月号。毎回毎回シナと韓国に関する問題指摘が林立しているが、今月号の「メルケルを有難がるバカマスコミ」は興味深い。とりわけ久保氏の「朝日はマゾヒスト集団ですからねぇ。『日本が悪い』と書かないと性的満足は得られないんですよ」には正直驚いた。ズバリ!的中しているから。

さらに堤氏の「私がメルケルの記者会見場にいたら、二つの質問をしたい」として、日・中関係と独・ギリシャの関係について「ドイツと日本は同じ立場で、無体な要求を突き付けられているとは思いませんか?」と聞いてみたいというのだが、賛成!
しかし今頃の若い記者では無理だろうな〜
案外日本人は知らないが、日米開戦や日中戦争に至った背景には驚くほどドイツの影があったのだ。
1900年ころのドイツは反日だった。そんな関係だったにもかかわらず、時の松岡外相は「日独伊」3国同盟を締結して意気揚々と帰国した。おまけに日ソ不可侵条約まで締結して…

亡国のイージス」ならぬ≪亡国外交≫だったのだが・・・。
メルケル首相は、東ドイツ出身の60才であることも日本人記者は知らないのじゃないか?
1949年に東西に分割されたドイツ。ベルリンの壁ができたのは61年(その後89年に崩壊したが)。77年に私はその壁を越えて東ベルリン、西ベルリンを探索したことがあるが、東は陰鬱だった。
彼女は生後40年間はそんな陰鬱な共産主義体制下で精神形成期を過ごしたのだから「彼女をサッチャーと比べる奴がいるけど、メンタリティはプーチンに近いんじゃないかな」と久保氏は指摘している。同感である。彼女のシナ詣でを見るだけでも覗える。
そこで堤氏が3つ目の質問を出したがる。
「『中国は新しいファシズム国家です。それに加担したり、ましてやその歴史認識に寄り添えということは、民主主義国家の指導者としていかがなものでしょうか』」と。

良い指摘だ。習近平も12〜22歳の間、文革下放されていて、まっとうな学習はしてしていないといわれている。
情報通の友人は、彼女のルーツにはヒトラーの影があるとまで言い切った。
私は確認してはいないが、少なくとも第2次大戦以降に戦勝国側によってつくられた勝利の歴史には、胡散臭いものが多そうだ。
この9月に「対日戦勝70周年」式典を開くという、過去にしがみつく隣国もその程度の認識なのだ。
時代は、善と悪、光と闇の戦いが始まっていて、やがて闇は一掃される(筈)である。
5月特大号は、これを含めて「韓国、錯乱」特集である。≫

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