軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

度胸負け!

先日の福島の峠茶屋での話の続きだが、「クマに襲われた時にどうすればいいか?」と尋ねると、おばあさんはこともなげにこう言った。

「驚いて逃げださね〜ことだ。大声出すと熊の方が驚いて襲ってくる。特に子連れの熊の場合は注意が必要。それも生後半年以内の幼い小熊つれの時が怖い。子供は人間を知らないから寄ってくる。
すると母熊は小熊が人間に襲われると心配して人間を襲うからだ。
私が木に登っていた2匹の小熊に気が付いた時、後ろで母熊が鳴いた。驚いて振り向いた時、小熊たちが木から一目散に降りてきて母熊の方に逃げて行った。母熊が『アブネ〜』って小熊に言ったベナ。小熊は木から地面に向かって頭から勢いよく走り下りてきたが、その早かったこと!
この時は人間の怖さを教えられていた小熊だったから、母熊の注意を聞いて逃げたのだろう。もう少し幼い熊だったら、近づいてきていたろうから、オレは母熊に襲われて命はなかったベナ〜…」

そこで熊と偶然遭遇したときどうすればいいか聞くと、「Eさんは、山菜取りで何度も襲われたことがあるが、熊を怒鳴りつけて追い返しているから、きっと熊の方が度胸負けしたね」と嫁さん共々感心したように言った。


そこで帰路に立ち寄ったEさんに直接伺った。
「遭遇して、熊を見てあわてて逃げたらおしまい。特に尻を向けたら終わり。熊を怒鳴りつけ、目を見つめて睨み続け、大声で怒鳴りつけるのさ。そしたら熊の方が根負けして、ぺこり!と頭を下げて逃げていった」と笑う。

家内が「動物とはなるべく目を合わせないようにするのじゃないですか?」と聞いたが「熊でも猿でも、相手が弱いとみると襲い掛かるのさ。だから目を見開いて相手を睨みつけるのさ」といった。すると家内が「でも目を見開いていて瞬きしたら…」などとのんきなことを言ったからEさんは大笑い。
これを聞いていて、茶屋のおばあさんが「熊がEさんに度胸負けした!」といった意味がよくわかった。しかし保証の限りではないから皆さんは試さない方がいいと思う!

私より2歳下だが腹も出ていて恰幅がいいEさんは、熊並みの体格だから対応できるのだろう! 自分と同等か、それより大きいと動物は怖気づくといわれているから。


人間だってそうだ。あのヒトラーも、ムッソリーニも小柄だったから、相手よりいかに自分を大きく見せるかに苦労したといわれている。これが外交の基本事項?であり、そういえば“上げ底靴”を履いて小泉首相(当時)と握手した方もいたではないか。

しかし、体型は生来のものだから変えようがないが、度胸は後からでも身につけることが出来る。体型がよく、声がでかく、物おじしなければ、相手が熊であれ外国の要人であれ、恐れることはないのだ。


昔日本人は「女は愛嬌、男は度胸」とよくいったものだ。
【愛嬌】とは「にこやかで、かわいらしいこと。又は ひょうきんで、憎めない表情・しぐさ」のことで、【度胸】とは「物事を恐れない心。気おくれしない精神力。きもったま」のことだと辞書にはある。
そういえば現代日本人男性から「度胸」は失われつつあるようだし、若い女性からは「愛嬌」が消えつつあるように感じるのは私だけか。


今大活躍中の女子サッカーチーム「なでしこジャパン」のメンバーには、試合中は、あのすばらしい精神力と技術力がほとばしる「度胸」を感じるが、試合以外の時はどことなくにこやかだから「愛嬌」を感じる。
そしてとうとう彼女らは日米決戦にまで勝ち進んだ!
同時に彼女らを指導する佐々木監督には「物おじしない肝っ玉の太さ=度胸」を感じるから、きっと立派な戦いを指導してくれるだろう。
世界はそこに「本来の日本人の姿」を見ているのじゃないか?
勝戦でも、思い残すことなく好プレーを続けてほしい。

他方、永田町でイジイジと「言論の自由」とかなんとか言葉ジリ遊びをしている方々には、度胸も愛嬌も全く感じられないから、この連中は世界中から奇妙な目で見られているに違いない。日本国が誤解されるはずで全く恥ずかしいことだ。一日も早くTV画面から消えてほしいのだが。


ところでシナでは異常な動きが起きているようで、権力闘争で習近平氏の右腕として辣腕を振るってきた強硬派の王岐山に赤信号がともったらしい。

軍事理論の懐刀?である劉亜州は、長々と軍事論を公表したらしいが、8月の軍事式典を前に、3軍は連日パレードの猛練習中らしい。どんな実力が公開されるのか楽しみである。

更に経済は上海株の大暴落が始まり、自殺者が続出しているというから、これもまた危なくなってきた。習政権は四面楚歌とは言わぬまでも少なくとも政権安定のための落としどころが混迷してきた。

8千万人程度の共産党員が13億の人民を牛耳る共産主義国である。そこに1000名以上の脱党者が出たという。

≪【大紀元日本7月2日】6月30日、湖南省の国営染色企業に勤める従業員1003人全員が中国共産党に所属する全ての党・団・隊等組織から脱退することを公表し、国内外のネットで話題になっている。翌7月1日は共産党の建党記念日で、その前日に行われた脱党表明について、専門家は、市民の間では共産党による専制体制の弊害についての認識が明確化していると分析した。

 時事評論家・方林達氏は、市民は不正と汚職が横行する共産党専制体制に関する認識がはっきりし、精神運動が広がり始めていると述べた。方氏は、企業ごとが共産党組織を脱退すること自体はこれまでに不可能だったとし、特に中国共産党の建党記念日である7月1日を前に公にしたことに特別な意義があると指摘した。

 またこの出来事について、山東大学元教授・孫文廣氏は、中国の低所得者層の不満と関連すると分析する。中国国内では、低賃金の工場労働者は退職後の生活保障がなく、生活苦のため、政府に生活の基本的権利を訴えてきた。それに対して当局は要求に対応してこなかったため、各地で官民対立がしばしば勃発している。このような市民には共産党への期待感はないとの認識が深まっていると分析する。

 最近、ネットユーザーの間では、中国共産党の誕生が世界にもたらした災難を断ち切るために、「中国共産党に生花を送る」という運動が起きており、全国に広がっている≫


ギリシャという「キリギリス」に対して、EUという「あり」が抵抗し始めている。今や世界には、軍事的対立よりも経済の大変動が迫っている気がするが、そんなさなかに、低次元な言葉ジリ遊びをしている日本の議員さんらの気持ちがわからない。税金の無駄だ。東北復興に歳費を寄付してほしいものだが…
拉致被害者救出問題も暗礁に乗り上げた。喧嘩のできない外交官に頼っていても、暴力団の親分相手じゃ、交渉が成り立つはずはない。
初めから北朝鮮にはわかっていたのだ。日本国憲法をよく読めばいい。

国際紛争解決の手段としての軍隊」を保有していないと宣言しているじゃないか。そんな相手が怖いわけがない。
今の日本人、特に政界人に欠けているのは「度胸」である。マスコミにとり囲まれて、スタジオでちやほやされていては、ギリシャの政治家並みに落ちぶれていることに気が付いていないことを証明してるようだ。

東北の熊に言わせれば、襲うのは簡単だが、襲うに値しない連中だ!とそっぽを向かれる類の人種なのだろう…
滑稽なのはそれでも「いい仕事をしていると勘違いしている」ところだろう。なんでも鑑定団の中島誠之助氏に言わせれば、彼らの仕事ぶりを何と表現することだろうか、一度聞いてみたいものだ。


届いた本のPR
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大東亜戦争と本土決戦の真実:家村和幸著=並木書房¥1600+税≫

私が顧問を務めている兵法研究会会長の家村君の新著である。彼は実務はもとより軍事理論に長けていて、素晴らしい書物を出版しているが、この本は戦後70年目にふさわしい著書だと思う。
私が解説するよりも、彼が書いた「ご挨拶」を添付して紹介に代えたい。
【御挨拶
 この度、並木書房から『大東亜戦争と本土決戦の真実』を上梓いたしました。この本は、古い歴史と優れた伝統を持つ島国・日本の国土と国民を敵の侵攻からいかにして守るか、という古今に通じる難解なテーマにっいて、先人達の苦心の跡を訪ねながら皆様にわかりやすく解説しようと試みたものです。
 大東亜戦争末期、本土決戦を準備していた日本陸軍は、終戦わずか1ヵ月前の昭和20年7月、それまでの上陸地点の後方に頑丈な拠点を構築して米軍を迎え討つ作戦から、海岸沿いに簡易的な拠点を設けて上陸する敵を迎え撃つ「捨て身の作戦」に大きく舵を切りました。突然になされたこの方針転換につきまして、本書では驚くべき事実を明らかにし、さらに大東亜共同宣言からカイロ宣言、ヤルタ密約、そしてポツダム会談に至る彼我双方の「戦争の大義名分」競争の中で、敢然と欧米列強に立ち向かった日本に対する大東亜各国首脳の賞賛や、諸般の事情から対日戦争を少しでも早く終わらせたいアメリカ側の事情などにも言及いたしました。
 終戦後、連合国軍総司令部民間情報教育局は、日本の軍国主義こそが諸悪の根源であり、連合国こそが正義であったという「太平洋戦争史」を朝日新聞などに連載させるとともに「真相はこうだ」というプロパガンダ番組をNHKラジオで流させることで、占領下の日本人に日本陸軍は侵略的で残虐で劣弱な軍隊であり、神風特攻隊はそのほとんどが撃墜され、多くの若者が「犬死」したのだと洗脳しました。その結果、本土決戦における日本陸軍の水際撃滅作戦についても「全く勝ち目のない自暴自棄的な玉砕戦法であった」と、今なお昭和史研究者と自称する人々をはじめ、多くの日本人が信じています。これに対して本書では、できる限り多くの史実を検証しながら、それが「真実」とは全く異なるものであることを明らかにいたしました。
 中国の軍事力増強を背景にした覇権主義的行動や、現在の安保法制をめぐる国会と世論の迷走ぶりなどを見るにつけましても、大東亜戦争終戦から七十年の節目となる今こそ、多くの日本人が「真実」に基づく戦史を知ることで、太平洋戦争史観』というマインドコントロールから解放され、戦争や軍隊を絶対悪としか見ることができない短絡的な反戦平和思想と決別し、今を生きる健全な国民として、祖国のために殉じた数多の英霊に恥ずかしくないよう、正しい戦争観と国家観に根差した日本の国防政策を選択しなければならないと強く感じている次第です。
 本書を一人でも多くの方にお読みいただければ幸甚です。
 平成二十七年七月
               日本兵法研究会会長・家村和幸】



≪SAPIO・8月号:小学館¥700≫

おなじみのSAPIO・8月号である。韓国情勢、シナ情勢は崩壊一歩手前に近づいた感があるが、「なりふり構わず『日本に学べ』と言い始めた韓国の焦燥」はいろいろな分野の集成であり、「ようやく『反日』では何も得られないと悟ったのか」という編集部の副題が面白い。
しかしこの国は伝統的に「告げ口外交」を得意とする国柄だから、一時的“改心”は信用できないと知っておくべきだろう。


ところで見開きに記者会見している大統領の写真が出ているが、演壇についているプレートには「THE WESTIN CHOSUN・・・SEOUL」という文字が見える!

≪SAPIO/8月号から≫

私は、この写真は大統領が青瓦台で会見しているものだと勘違いして「このアルファベットの意味はなんだろう? 少なくとも国名の「韓国」とは日本が使っているだけで、公用語は「サウス・コレア=南朝鮮」の筈だ…」などと書いたが、さっそくjfkさんから指摘されて分かった。
「西側に属する“朝鮮”」という意味じゃないか?と勘違いしたのだが、いい勉強になった。jfkさんに感謝!

 最後の方に私も取材を受けた「世界に誇る『日本の自衛隊』」特集がある。「世界最良の軍隊」と編集部が副題をつけているが“最強の”となっていないところがミソか?
しかしそんな“最良の軍隊”をコントロールできるほどの政治屋がいるのかどうか、その方が世界の軍事関係者が興味を持っている点だろう。勿論“同盟国”である米国をはじめとして。

大東亜戦争と本土決戦の真実

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